2021/9/17

境界を越えるバス/関八州編(その2)  バス

境界を越えるバス 関八州編(その2)
相模・伊豆国境 泉大橋


前回の「千歳橋」から千歳川を2kmほどさかのぼった地点です。
タイミングが悪く?、バスが川を渡っている瞬間は撮れていません...m(_ _)m

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橋の遠景
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橋の全容

下流の千歳橋と違って、この橋を通る道は、国道どころか県道ですらない模様。地図を見ると判るのですが、川の両岸を各々湯河原町道/熱海市道が走っていて、それを結ぶようにかかっています。熱海市泉地区から最寄りの市街地である湯河原町中心部方面へ行く主要ルートの1つです。

ここを通るバスは湯河原駅から熱海市泉地区の「ゆずり葉団地上」まで行く路線です。行き止まり路線で、終点から先熱海地の中心街方面は、静岡県道102号線が続いてはいますが、峠越えの険路になります。もちろん、バス路線は途切れています。路線が途切れてるのは2km程度で、山道とはいえ舗装されており、向こう側もほぼ1時間に1本程度熱海駅からバスが来ているので、実用性を損なわない?範囲で徒歩連絡できる??、といったところですが...(←「?」マークの数に留意。歩くのに慣れてる人なら楽勝ですが、普段ほとんど歩かない人だと無理かも)

「ゆずり葉団地上」から山を下りてきたバスは、まず千歳川の西岸をしばらく走り、左折して泉大橋を渡るや否や右折、その先に泉大橋のバス停があります。逆に湯河原駅から来たバスは、千歳川の東岸を走ってきて、左折して泉大橋を渡るや否や右折、その先が泉大橋の停留所です。

つまり、泉大橋の停留所は、どちら方向の路線も橋を渡った先に停留所があります。そして、この橋が県境なので、上りと下りで停留所が違う県にある、という面白い事態になっています。


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上流側(静岡県側)の停留所と泉大橋
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下流側(神奈川県側)の停留所と泉大橋

どちらの画像も、反対方向の停留所が映り込むように撮ったつもり、なんですが、解像度の関係でよく判らないことになっちゃってますねぇ...(汗)

ちなみに、この停留所に来るのは、こんなバスです。担当は箱根登山バス。同社の箱根地区以外の他の路線と同様、系統記号はついていません。コミュニティバスにありがちなサイズですが、市町村境どころか県境を越えるバスなので、コミュニティバス=公営バスにするにはハードル高めです。

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ゆずり葉団地上の折り返し場に進入する路線バス


1日の運転本数は、平日11往復/土休日10往復と、海岸線の国道を行く熱海駅〜湯河原駅の系統(全日7往復)よりも多いです。

以下、この地区のバス路線を、県境=旧国境と合わせて考察した「報告書」(もどき?)です。前回同様かなりの長文ですので、お時間のある時にでもどうぞ。


別個に執筆していたため、上の本文と内容が重なる部分がありますが、ご容赦を。

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鉄道路線は、東海道線の熱海までとその先の伊東線がJR東日本であるため、熱海から先伊豆半島東岸は関東地方?、と言いたくなってしまう。実際、伊東までは東京方面から直通の普通電車は入ってるし、その先、伊豆急行線の伊豆急下田まで、特急列車が直通している。ただし、丹奈トンネルを抜けてJR東海管内東海道線の沼津までは普通電車の直通があるし、三島から先伊豆箱根鉄道駿豆線の修善寺まで直通の特急が通ってることに留意する必要はある。

伊東線・伊豆急行線は伊豆半島の東側を行くが、山が海に迫りすぎて地形が険しすぎるため、トンネルを多用して切り抜けている。実は東海道線も小田原を出ると、早川〜根府川〜真鶴間や、湯河原〜熱海間も似たような感じである。明治前期の技術ではここに鉄道を通すことはできず、1889(明治22)年に東海道線の国府津―静岡間が開業した際には、箱根の北側を迂回して沼津に至る現在の御殿場線のルートを通っていた。熱海線として熱海まで開通したのが1925(大正14)年、丹那トンネルを抜けて沼津に至ったのが1934(昭和9)年である。伊東線が熱海から分岐して伊東まで開通したのが1938(昭和13)年であるが、この時点では伊東から南に路線を延ばすことはできなかった。東急傘下の伊豆急行が下田まで鉄路を通したのは、1961(昭和36)年のことである。

このエリアのバス路線であるが、県境となる湯河原町と熱海市の境界を越えて行く路線は2つある。1つは、海岸沿いの国道135号線経由で湯河原駅と熱海駅を結ぶ路線である。国道135号線は小田原から湯河原・熱海・伊東を経て下田まで続く街道で、その一部区間を走る路線となる。1日7往復の運転で、系統番号として"A51"が与えられている。"A"は熱海Atamiの頭文字で、英文字+数字の組み合わせによる系統番号は担当する東海バス各営業所共通の仕様である。県境の2つの街を結んでいる路線であるが、山が海に迫る区間であるが沿線に集落が点在しており、需要はそこそこある模様。東海バスの熱海営業所が担当しているため、湯河原駅へ到着すると程なく折り返すダイヤになっている。ちなみに東海バスは現在では小田急傘下になっている。

もう1つの県境越え路線は、上述した熱海市泉地区の「ゆずり葉団地」と湯河原駅を結ぶ路線である。コミュニティバスによくあるサイズのマイクロバスでの運行であるが、平日11往復/土休日10往復の運行で、朝から夕刻にかけてほぼ1時間に1本運転されており、国道で県境を路線より本数が多い。担当は箱根登山バスの湯河原営業所である。系統番号は与えられていないが、これは箱根地区以外の箱根登山バスの路線全般に共通する。

「ゆずり葉団地上」がこのバス路線の終点で、路線としては行き止まりである。ここから静岡県道102号線を七尾峠まで登り切るまでの2km強は、路線が途切れる。舗装はされているが1〜2車線程度の道幅で、きついカーブが多数ある。徒歩30分程度の距離で、交通量多くない。気合を入れれば歩いて歩けない距離ではないが、普段歩きなれていない人にとってはちょっときつい距離かもしれない。

七尾峠の熱海市街地側にある七尾団地には熱海駅からの路線バスが入っている。路線は循環線になっていて、2021年9月現在では災害復旧臨時ダイヤで大幅減便されているが、それでも1日11本ある。東海バス熱海営業所の担当で、系統番号は"A41"(反時計回り)もしくは"A42"(時計周り)。

このように県境ではそこそこつながっているバス路線だが、実は小田原地区のバス路線網とは平日しかつながらない。

湯河原町から東北隣の真鶴町にかけては市街地が連続しており、バス路線網もほぼ一体である。真鶴町の北隣が小田原市になるが、小田原市は広く、市街地は遥か彼方である。

真鶴町から小田原駅まで路線バスで行く経路は2ルートある。ただし、そのうち海岸線の国道135号線=真鶴道路旧道を行く路線は、あろうことか、平日の朝に湯河原駅発小田原駅行片道1本だけの運行で、逆方向は無い(2020/07/21改正ダイヤ時点)。行けるけど帰ってこれないわけで、実用性はほぼゼロである。以前は1日1往復はあったように記憶してるのだが、いつの間にこうなった?

故に真鶴から小田原市街地を目指すバス路線は、実質的に国道の旧道である神奈川県道740号小田原湯河原線を辿るルート一択であるが、真鶴町の小田原市との境に近い石名坂の停留所にて、真鶴町のコミュニティバスと箱根登山バス石名坂線とを乗り継ぐ必要がある。真鶴町のコミュニティバスの方は循環線になっていて、石名坂がちょうど真鶴駅から見るとループの頂点になっているので、どちら回りでも使える。両周りを合わせ、平日6便/土休日8便。土日もしっかり走る。

土休日運休なのは箱根登山バスの方である。小田原駅からやってきて、真鶴町に入ってすぐの石名坂の停留所で折り返す。平日下り11便/上り9便のうち、下り2便/上り1便は途中の根府川駅が始発/終着なので、小田原駅と真鶴の町はずれの石名坂を直結してくれるバスは、平日下り9便/上り8便である。土休日は無い。

で、真鶴コミュニティバスと箱根登山バスの石名坂線は、当然?ながら、接続は考慮されていない。十数分程度で接続しているといえる便が上下両方向で各2便のみ。1時間以内に拡大しても上りが2便/下りが1便増えるだけである。

ちなみに真鶴駅から石名坂の停留所まではおよそ3kmの距離。その先小田原駅までは十数kmも残しているので、徒歩連絡するならば真鶴町内の方である。土休日はそういうわけにもいかないが。

実際の地形も小田原の町外れの早川を過ぎると平野がつき、その先根府川から真鶴市に入るまでは、山が海に迫った厳しい地形が続く。江戸時代に箱根の関所を補完する関所が置かれていた地は、根府川である。実は、もう何十年も前のことだが、終電が無くなった(厳密には当時存在した自由席の夜行列車に乗り遅れた)後、小田原から熱海を目指して歩こうと試みたことはある。次駅早川までは順調に来たが、その先地形が厳しくなり、根府川駅に到達したところで断念した、という体験がある。この時の体験からすると、小田原から先は、もう、伊豆でいいんじゃないの?、温泉沸いてるし、という案が出てきてしまう。

では、熱海から西方向へ行く路線はどうであろうか?

長らくの間、熱海市から同じ静岡県内である函南町や三島市方面へ行く路線バスは開設されていなかった。2018(平成30)年11月に、熱海駅から静岡県道11号熱海函南線のバイパスである熱函道路を走り、三島市のはずれにある伊豆箱根鉄道駿豆線大場駅まで運転する系統が新設された。東京地区の路線バスと同系列の漢字+数字による系統番号"熱15"を与えられたこの路線は、上り熱海方向が朝に2便、下り大場方向は夕方に2便の運行。伊豆箱根バス三島営業所の担当だが、三島営業所は伊豆箱根鉄道・バスの本社がある大場駅、すなわちこの系統の端点に併設されている。この路線の設置経緯は未調査で、何らかの通勤通学用と推察されるが、土休日も運転される点に注目される。平日でないと路線がつながらない小田原方面よりも結びつきが強いと言えるかもしれない。

地形で見た場合、上述した熱函道路は伊豆半島の中央山稜をトンネルで貫いて抜けている。熱函道路は1973(昭和48)年に静岡県営の有料道路として開通、1997(平成9)年に無料開放された。元有料道路だった区間にはバス停は無い。ちなみに熱函道路の旧道となる静岡県道11号線のこの区間は、かなり険しい山道・峠道である。自動車は通行可能である。

これ以外に熱海市街地からとりあえず西に向かうバス路線は、市街地西側の熱海峠から稜線を北に行く静岡県道20号熱海箱根峠線を経て十国峠・湯河原峠を経由、箱根峠から国道1号線にて元箱根に至る路線がある。峠の東側へ降りてきてしまうため西に向かって境界を越えるバス路線と見做しにくいが、起終点を見ると静岡県と神奈川県を結んでいる。伊豆箱根バスの担当で全日6往復の運転。熱海―湯河原間のバス路線のつながりと同程度である。土休日はつながりが途切れる真鶴―小田原方面と比べれば遥かにしっかりつながっている。ただし熱海峠―箱根峠の稜線を行く区間はほとんど停留所が無い完全なる観光路線で、系統記号としては箱根地区の系統と同様、英文字のみの"AT"が与えられている。

静岡県道20号線の稜線を行く区間は、伊豆箱根バスの親会社である伊豆箱根鉄道の前身である駿豆鉄道が、自社バスを走らせることを念頭において作った「十国自動車専用道」がルーツである。1932(昭和7)年開業で、1964(昭和39)年に静岡県が買収し、以降は静岡県道として供用されている。伊豆箱根鉄道は西武傘下である。

同じ神奈川県内同士である湯河原と箱根を直結するバス路線は、伊豆箱根バスによる路線が1日1往復のみ残っていた。登り箱根方面行は「椿ライン」の愛称をもつ神奈川県道75号湯河原箱根仙石原線/降り湯河原方面行は現代も伊豆箱根鉄道が経営する有料道路「湯河原パークウェイ」を経由する。ただし、2020年3月よりコロナ禍のため運休中である。同区間には登り降りとも椿ラインを経由する箱根登山バスの路線があって、本数もそこそこあったはずなのだが、2020年3月31日の運行をもって季節運行路線に格下げされ、実質的に消失している模様。1月2日にだけ運転される予定らしいが、何故元旦ではなくこの日なのだろうか?

最後に、熱海から伊豆半島東岸を南に進む場合について考察する。

鉄路はJR伊東線と伊豆急行線で下田まで繋がっているが、熱海からのバス路線網は同市南端の網代で完全に途切れる。海沿いの峠を越えた先の宇佐美からは伊東地区の路線バス網が始まるが、伊東市の南端の赤沢海岸でまたしても路線が途切れる。ただし、伊東から西に走って冷川峠を越えて修善寺駅に至る路線が、東海バスの担当で全日6往復運転されている。修善寺からは伊豆箱根鉄道駿豆線で三島に出られる。毎時2〜3本程度は運転されている。

この南側の、東伊豆町・河津町エリアには、修善寺駅から下田街道の天城峠を越えてくる路線が全日10往復運転されており、修善寺から西海岸の土肥・堂ヶ島・松崎方面を結ぶ路線と共に、伊豆半島地区の基幹系統を構成している。河津町内のみの折り返し便も設定されている。河津から下田エリアは1日数往復のみでつながる。

まとめると、バス路線は豆相国境=神奈川静岡県境=湯河原町熱海市境ではそこそこつながっているが、神奈川県内の小田原市―真鶴町の間で非常に疎になっており、土休日は途切れる。ただし、熱海へは箱根経由でそこそこつながっている。熱海から函南方面は一応全日つながっているが、南の伊東方面へはつながっていない。





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