年末から緩むことなく冷え込みが続いており、松ヶ尾谷もそれなりに氷結しているのではないかとおもい、行ってみることにしました。「大滝はハングに懸かっているので落ち口は垂直にちかく手ごたえがあり、人気が高い」と記されており、いつの日か登ってみたいと思っていました。
1月15日も九州には強い寒気がながれこみ、大荒れの予報。5時に福岡をでて7時半に仙酔峡着、急ぎ準備をして8時に出発。九州自然歩道をたどり堰堤の続く松ヶ尾谷に降り立ちます。3つほど堰堤を巻いて、本谷を黙々と遡行しますが、氷が薄いので踏み抜かないようにかなり気を使います。小さな滝をいくつか越えると松ヶ尾谷関門が圧倒的なゴルジュで迫ってきます。10mチムニー滝を登りだした瞬間、足元の氷が割れて両足が水没。あわてて足を引き上げたので、水の浸入は間一髪でまぬがれました。さらに小滝をいくつか越えていくと、20mのチョックストーン滝へ。ここもロープを出しましたが、ブルーアイスの気持ちのよいピッチでした。さらに小滝をこなしながら進むと、おまちかねの松ヶ尾谷大滝がやっと現れました。これまでの滝の大きさから言えば間違いなく「大滝」なのでしょうが、しょぼい滝でがっかりでした。そのぶん最後の15mのチョックストーン滝は登り応えがありました。これで松ヶ尾谷が実質終了です。
CS滝上の二股を右にとってラッセルしながら登っていくと、小さな壁に当たりました。鷲ヶ峰がすぐそばに聳えており、アルペン気分は満点。潅木の生えている急斜面を右上していくと、ルンゼにでました。ルンゼを右に回りこむと、雪の斜面が赤壁の基部まで続いていました。天気も猛烈に悪くなり、薄暗くなり初めたところでした。16時半に関門に降り立ち、この日はじめての休憩と食料をとりました。久しぶりの充実感を感じながら、仙酔峡へもどりました。
アイスのルートとしてはそう魅力あるものではありませんでした。大滝には正直がっかりしましたが、ちょっとした小滝がけっこう渋くて、全体を通して飽きない谷でした。最後の抜けですが、第一キレットよりも、赤壁のコルを目指して右股をまっすぐ上がっていったほうがスッキリしているようです。身近な阿蘇に、このようなオールラウンドな雪山技術を要するすばらしいルートがあるとは思いもしませんでした。

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