2007/2/10  23:49

夢の残骸ー宜蘭にて  台湾

私の叔母の一人に、戦前の日本統治下の台湾で生まれた者がいます。台北懸に隣接する宜蘭懸に終戦までいたそうです。以来62年、今回初めて台湾に里帰りしました。是非宜蘭に行ってみたいというので、予定を組んで出かけてみました。目的は当時住んでいた官舎の建物が未だ残っているかも知れなくて、それを探す事でした。遠い記憶をたよりに、道々日本時代を知っていそうなお年寄りの方々に、当時の様子等を尋ねたりしながらしばらく歩き回ると、思っていたよりも簡単に当時の官舎の一部を見つける事が出来ました。

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Pentax *istDL2 DA20-35mmF4AL

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叔母が住んでいた建物は既に取り壊されていて、現在巨大なマンションプロジェクトの建設中でした。子供時代の思い出の中にある立派な官舎と、現実に目の前にある、今にも朽ち果てそうなボロボロの建物とのギャップに、しばし唖然としていた叔母も、こみ上げて来る懐かしを押さえられず、最後には号泣してしまい、私も胸に迫る物がありました。

先の大戦の是非をここで問うつもりはありませんし、ましてや当時を生きた人々の功罪を論じるつもりは毛頭ありません。叔母や、政府の役人として台湾に赴任していた叔母の父等、一人一人の人間は、その時代の環境下で精一杯生きた一個人であったとしか思えません。大局から見れば些細では有るけれど、時代の激流に飲み込まれて、歴史に翻弄された被害者の一人であったと言う事が出来るのではないでしょうか。

『大東亜共栄圏』という、どう考えても実現不可能な夢想に取り憑かれ、亡国へと突き進んで行った時代。そんな時代の中で多くの日本人が見ていた夢。62年前に木っ端微塵に砕け散った夢の残骸を宜蘭の廃屋の中に見た様な気がしました。
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