「決勝前ウェイティング」

僅差(0.060秒)で、#24にポールを獲られた予選だったが、予選終了後、冷静に敗因を分析出来ていたので平常心を保てる事が出来た。#24のレースへの取組み方は、粛々とクルマのセットを出しレースに合わせ込んで来る。それだけに、ほぼ完璧なセットを仕上げてタイムも安定している。ネオ参戦から2年程で、ここまでのパフォーマンスを出せるだけ、ドライバーの資質が優れているということだ。年齢も私の1歳上であり素晴らしいジェントルマンレーサーだ。逆に、私のバフォーマンスが10数年かかってやっとここまでかと思うと凡人と認識せざる得ない部分である。
6時間のウェイティングをどう過ごすか? これによってレース時のパフォーマンスも変わってくるであろう。前夜からそんな仮説をたてていた。今迄なら、他チームへ情報収集に行ったり、ライバル達と冗談を交えながらの前哨戦をしたりしていたが、それらを一切やめて、ただひたすらチームのテントで過ごす事に決めていた。それを今回実行した訳だが、心静かに落ち着いた環境というものもあるものだと改めて感じる事が出来た。良くいわれる事だが、「アドレナリンが出ている。アドレナリンを出す」等の例えがあるが、過去を振り返るとレース当日一日を通じて興奮状態に陥っていたように思った。また、興奮状態にしておかないとテンションが下がっている感じがあり、これではレースを闘えないという意識もあった。冷静になるという事は過去の多くの失敗を振り返られるものだ。興奮状態を押さえ、ただひたすら心静かに待つ。ただこれだけだったのだ。
そうすると、回りが見えて来る。それによって更に冷静になれたり、再び心が乱される要因も出て来るという事もあって、一朝一夕ではままならないものだという事も結論のひとつだった。

