ちょっと仕事の話をしたい。
少し堅苦しい話しになるので、「その手」の話しが好きでない方や、そのような気分でない方はこの先を読んでいただかなくてよろしい。
先日、経営の勉強会で、自社の「強み・弱み」を分析するという実習をした。
「強み・弱み」を客観的に分析することによって、来年からそれらについてどう取り組んでいくか・・・というのを皆の前で発表し、ディスカッションする。また、それらから得た答えをもって各事業所の経営についての「理念」などの策定のきっかけになれば・・・というものであった。
経営項目を「商品」「営業力」「人材」「財務」「管理」など数個に分け、各項目ごとに自社の「強み」と「弱み」を思いつくだけ記入していく。
最初僕はこの実習を半ばバカにしていた。つまらないとさえ思っていた。
ところが実際に自分で色々考えて書いてみると、驚くほど自分が経営に関して無知で、しかも前向きでなかったことを思い知らされた。
先ず書こうとした時に、「弱み」はどんどん書けるのに対し、「強み」のほうはほんのわずかしか書けない。
しかも僕がなんとか考えて絞りだした「強み」は、ほとんどが「立地条件が良い」だの、「歴史がある」だの、「競合他社が少ない」などといった所謂先天的な要素のもであり、何故かスラスラと書けてしまう「弱み」は明らかに今の自分達の経営に対する怠慢さが露呈したものであった。
結果すなわち、僕は他社には無い自社の「強み」を自分達で産み出そうとする積極的な企業努力を、ほぼ完璧に怠っていたのだ。
結果だけ聞くとすこぶる簡単な結論に聞こえるかもしれないが、ここまで導き出すのに紆余曲折、勉強になることが多々あった。
例えば「私の会社は自己資本率100パーセントで運営できているのが強みの一つです」と言う人があった。ところがコーディネーターはそれを一喝するように言った。「それはあなたに、借金をしてまで会社を大きくしていこうという自信と勇気が無いだけではありませんか?」・・・図星であった。
会社として借金が無い・・・ということを「強み」として捉えがちだが、ややもすればそれは経営に対して自信と情熱が無い・・・という「弱み」になる場合もあるのだ。
お分かりだと思うが、これはなにも借金をしなさい・・・というものではない。
より前向きな経営をしていくためには、借金をしても返済に支障をきたさないように自身の経営手腕を日々磨きなさい!ということだ。
売り上げが落ちてきた時、大企業であるなら「人材を入れろ」「営業所を増やせ」で解決する部分が、我々のような中小・零細、ましてやウチのような個人商店などではそういうわけにはいかない。
その仕事に携わる全ての人々が、各々の事業所のさらなる進歩発展のため、情熱と良い意味での危機感を以って事にあたらなければいけないと痛感した。
そしてこれはなにも事業所経営だけに限った話しではないのである。
2人以上の人間が寄ってある一つの事を成そうとする時には、それはすでに立派な組織なのだ。

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