日本時間の30日午前5時頃、WHO(世界保健機関)はメキシコから拡大している新型インフルエンザの警戒水準をフェーズ4から5に引き上げると発表した。
記事は次のとおり。
新型インフル、WHOが警戒水準「5」に引き上げ
4月30日5時23分配信【読売新聞】
世界保健機関(WHO)は29日夜(日本時間30日朝)、全世界で拡大を続けている新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)について警戒水準を「4」から「5」に引き上げた。
新型インフルエンザの警戒レベルは6段階あり、マーガレット・チャン事務局長が記者会見し、大流行一歩手前を示す「5」への引き上げを発表した。
(記事ここまで)
新型インフルエンザの警戒レベルは、危険性の低いウイルスが確認されたフェーズ1から世界的大流行のフェーズ6までで、そのうちの5番目になった。
「警戒レベル」の引き上げであり、状況が悪化したという発表ではない。しかし、警戒をより厳重にすべきだということである。このままでも最悪のフェーズ6に進む可能性もあるが、各国が協力して警戒することでフェーズ6は防げるかもしれない。
フェーズ6に進むかフェーズ5止まりで収束するかは、ウイルスの性質と、現在の状況が本当はどうなのかがはっきりしないことには、明確な見通しが立てにくい。
ウイルスの性質は大きく分けて二つあり、一つは感染のしやすさ、もう一つはウイルスの強さである。
感染のしやすさについては、多くの人がつけているようなマスクで防げるものであれば、パンデミックは防げる可能性が高い。しかし、高度の防御をしても感染者に接触した人が高率に感染するウイルスであれば、封じ込めは難しい。
潜伏期がはっきりしていないことも不気味である。感染拡大を防ぐ観点からは、どちらかというと潜伏期が長い方が厄介だ。メキシコやその他の国で感染しても、日本に入国する時に発熱していないくらい潜伏期が長ければ、今の水際作戦では侵入を防げない。
ウイルスの強さがはっきりしないことも、見通しを悪くしている。メキシコで多数の死亡者が出ているが、メキシコの死亡者がすべて新型インフルエンザによるものと判明したわけではない。これは検査の体制が追いついていないためで、死亡者の検査が進むにつれてはっきりした数字が出てくるだろう。
また、本当の感染者が何人いるのかも、現時点でははっきりしていない。新型インフルエンザのウイルスは同定されてからまだ日が浅く、新型インフルエンザだけを正確に判定する簡便なキットができていないからである。空港などの機内検疫で用いられているのも簡易検査であり、偽陰性(感染していても陰性と判定される)が問題視されている。メキシコ国内でも軽症者には検査がおこなわれず、感染者数が少なく出ている可能性が指摘されている。
これらの不確定要素が確定するまでは、今後の見通しをはっきりさせることは難しい。ここまでの情報を個人的に判断すれば、ウイルスの感染力はそれほど強くなく、また死亡率もものすごく高くはないと感じている。これを広げて世界的に見れば、大流行はメキシコに限られ、他の国では封じ込めに成功するという可能性が高いかと思う。
一旦封じ込めた後で心配なのは、ウイルスのさらなる変異と、一般のインフルエンザになった後の対応である。
今回の新型インフルエンザウイルスは「豚インフルエンザ」と呼ばれるが、ただの豚インフルエンザウイルスではない。豚インフルエンザは人から人にはうつらないが、今回は明らかに人から人にうつっている。ということは、新たにその能力を獲得したということで、今後もうつりやすさや死亡率が高まる変異をしないとも限らない。(当初、このウイルスは豚・トリ・ヒトのインフルエンザウイルスからできたと報道されていたが続報がなく、情報の正確性はわからない)
また、今回封じ込めに成功したとしても、ヒト―ヒト感染を起こす新たなインフルエンザウイルスが発生したことは間違いないので、今後人間社会の中に定着する可能性が高い。そうなると、今までのA香港型、Aソ連型、B型に加えて、このウイルス(メキシコ型とかになるのだろうか?)への対策も必要になってくる。ワクチンなどの製造が間に合って、これまでのインフルエンザと同じような対応ができるようになれば、そんなに怖くはないのかもしれない。しかし封じ込めに一応成功して気がゆるみ、対策が完了しないうちにどこかの国で大流行されたら、再び被害が拡大する可能性は大きい。
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今電車で出勤している最中ですが、マスクをしている人が2割くらいいます。咳をしている人や赤い顔をしている人はいません。国内で感染者が確認されたら、電車通勤はひとまずやめて車で通勤しようかと思っています。皆様も「その日」が来たらどうするか、考えておいた方がいいと思います。何回も書いていますが、しばらく外出しなくてもいいように食糧の備蓄はお忘れなく。