
諏訪中央病院では、いろいろな職種の職員や一般の方に向けても、さまざまな勉強会が開かれています。毎週水曜日の朝には医局の勉強会があります。救急外来などで役立つ各科の知識をまとめた講義が多いのですが、その中に「がんの症状コントロール」について話す機会を、毎年設けてもらっています。

一つ前の記事でもお知らせしたとおり、来年度から諏訪中央病院は非常勤勤務になり、長野の「愛和病院」というところを中心に緩和ケアを続けることにしました。まずはそのお知らせを医局の医師にして、今後の協力をお願いしました。

今日の話は「がんの症状コントロール」をまとめたプリントに沿って、要点だけをスライドに詰め込んで話しました。このプリントは、諏訪中央病院ローカルな部分もありますが、マニュアルとして使えるように作ったので、このブログのタイトルの下に入り口がある「緩和ケア医の落書き帳」の中の「緩和ケアの基礎」のところにPDFファイルとして置いておきます。使えそうだと思ったらご自由にお使い下さい
(Macintoshで記事から直接リンクしようとするとうまくいかないので、回りくどくてすみません)。

これは、話す機会がある時には最近必ず出している「緩和ケアの“今の”定義」です。「緩和ケアは末期の人専用の医療」という誤解を世の中から消し去りたいので、必ず提示するようにしています。「がんなどの病気で困ったことが起きていれば、それに対応するのが緩和ケア」というのが、現在の定義です。つまり病気で困っていることがあれば、緩和ケアを受ける「資格がある」ことになります。

←医師としての基本的な考え方は、突き詰めるとこれになります。

モルヒネは、痛みがある人に処方すると、純粋な痛み止めとして働きます。より上手に使えるように、基本的なポイントをスライドで示して話します。詳しいことはプリント(「らくがき帳」の中)に書いたので、わからない時にはプリントを読んでもらって、それでもわからなかったり不安だったりしたら私に聞いてもらうという3段階があれば、経験の少ない先生でも適切に使えるだろうと思います。

当院では非常に利用率の高い「痛み止めの貼り薬」ですが、今回製剤の形が変わって、同じ効果で規格の表記が違うというややこしいことになったので、間違えないようにそのお知らせです。「デュロテップパッチ」が「デュロテップMTパッチ」になりました。これまでのデュロテップパッチは、もうしばらくで世の中から姿を消すので、両方がある時期だけ間違いがないように気をつける必要があります。

全体のまとめです。
◎ 緩和ケアはどの医療現場にも必要である
◎ がんの痛みを取り去ることは医療者の義務である
◎ 基本的なオピオイドの使いこなしを身につけよう
◎ オピオイドの副作用は初めから予防する
◎ 痛み以外の症状についても治療を怠らない
ということを基本として、緩和ケアを必要としている人がいたら、適切に緩和ケアを提供することを心がけていこうと話して、勉強会を終わりました。
せっかくの勉強会なので、聞いた人には「聞いてよかった」と思ってもらいたいし、今後にも役立つようにしたいし、緩和ケア病棟の雰囲気も少し知ってもらいたいので写真も取り混ぜて、なんてやっていたら、またまた時間オーバーの分量に(いつもこれで苦労します)。削れるところは削って、読み原稿を別に用意して、それでも時間が足りない時に端折るためのスライドも用意して、と準備を重ねたら、本番は30分の時間制限のところ、27分で収まって質問も2つ受けてぴったり30分でした。
研修医の先生たちには、ちゃんと伝わったかなあ。