毎日新聞によると、野党四党は後期高齢者医療制度廃止法案の骨格を固め、26日までに参議院に提出する方針だという。成立する見込みはまずないが、そのせいか若干詰めが甘い気もする。提出までに詰め切れるのだろうか。
記事は次のとおり。
<後期高齢者医療制度>廃止法案の骨格固まる 野党4党
5月16日21時8分配信【毎日新聞】
民主党など野党4党は16日、後期高齢者医療制度廃止法案の骨格を固めた。(1)保険料の年金からの天引き中止(2)同制度を廃止し、従来の老人保健制度に戻す−−が主な柱。実施時期についても、保険料天引き中止は10月から、制度廃止は来年4月からとする方向でおおむね一致しており、20日の次回会合で最終調整した上で正式決定し、26日までに参院に提出する方針だ。
16日、国会内で開かれた4党の政策責任者会議では、制度廃止の時期を巡って意見が分かれた。議論のたたき台となった民主党案が「来年4月から」としているのに対し、社民・国民新の2党が「10月に前倒しすべきだ」と主張。これに対し、民主党は「地方自治体の予算措置も考えねばならず、年度途中は現実的でない」と反論し、次回会合までに前倒しが可能か再度検討することになった。
法案に制度廃止だけでなく、保険料天引き中止を盛り込む狙いは、来年4月の制度廃止までの「経過措置」。従来通り保険料を銀行などで振り込むというシステム上の変更にとどまることから、財源に穴を開けないという利点もある。
またこの日の会議では、制度を廃止して老人保健制度に戻した後の代替財源策など、医療制度の抜本改革を巡っても議論があったが「それぞれの党内で意見がまだ定まっておらず、4党での合意は難しい」として、法案への盛り込みは見送られた。【小山由宇】
(記事ここまで)
元に戻すだけでは、解決しない問題がたくさんある。4月から後期高齢者医療制度は動き始めてしまっている。そこには多くの税金と人材が投入されている。ただ元に戻すだけでも、これまで投入したものは無駄になってしまう。また天下り先であったとしても、各都道府県の広域連合には働いている人がいる。その人たちを一斉解雇するのに、タダというわけにもいかない。
やはり動くのが遅すぎたのだ。今から廃止したのでは損失が大きすぎる。2年近く前からこのような制度になることは
公表されていたのだから、制度が施行されてしまう前に何らかの対抗手段を実行してほしかった。今となっては、廃止すれば元通りという状況ではなくなってしまった。
廃止法案を提出するからには、それに代わる持続可能な社会保障政策を立案して、国民に見せてほしい。民主党を中心とした野党には、それを期待している。与党には何でも反対、でもそれに代わる具体策は提示できない、というような政治を続けているから、「自民党はダメだけど、でも民主党も頼りない」といわれてしまうのではないか。
記事の最後の段落にある
「代替財源策など…4党での合意は難しい」というあたりが詰め切れていないまま提出されて、万が一衆議院でも多くの与党議員が賛成して可決されてしまったら、法案を提出した人たちは混乱の責任を取れるのだろうか。
ポーズだけの「反対」は、もういらない。民主党も表に出てきて派手な論戦を闘わせる人材だけでなく、国家百年の計を練ることのできる人材を育てていくべき時期なのではないか。見えないところで既にやっているなら文句はないが。