5月22日の記事につづき、今日も朝日新聞の「ドキュメント医療危機」には説得力がある。
今日もそのまま転載させていただきます(ネット上では、あるのかもしれないが見つけられないので)。
「危機感的中『もう持たない』」
「『世界一』の医療費抑制政策を見直す時期」という本がある。著者は、医師で医療経済学者の二木立(にきりゅう)・日本福祉大教授(59)。「厚生省の頃から会議に一度も呼ばれたことがない」のは、国の政策に常に疑問を投げ続けてきたからだ。
いまの医療危機のほとんどは、94年出版のこの本に書かれている。「当時は日本医師会も病院団体もまったく危機感がなかった」と二木さん。
80年から93年の13年間に日本の人件費は43%上昇し、消費者物価は30%上昇した。病院の人件費は約50%だ。しかし、医療費・診療報酬の引き上げはたった5%。診療報酬が10年以上も事実上凍結された国はない。
日本ではなぜそんなことができたのだろうか。80年代に厚生省局長の「医療費亡国論」が出て、医療・福祉費の総枠抑制論が力をもった。医師会が弱体化し、強い国の規制の下で病院は診療報酬の誘導について行くのがやっとだった。
「医療費を抑制して質は保てない」と二木さんは書く。だから欧米より医師、看護師は少なく、医療の質も低い。
先日、二木さんに意見を聞いた。
「いま利益を出せる病院は、経営ノウハウや労働強化など特殊な要因がある。団塊世代の医師は馬車馬のように働いたが、若い医師はだめ。医療費抑制策を転換しなければもう持たない」
「現実的な財源は保険料だ。企業負担を欧米なみに上げればよい」
消費税の扱いでも国は病院に冷たい。病院は物品や設備に5%の消費税を払うが医療費には消費税がつかないので、その分が持ち出しになる。
輸出でも似たことは起きるが、財務省は企業に「戻し税」として消費税分を返還している。湖東京至(ことうきょうじ)・関東学院大法科大学院教授の推計では、05年度はトヨタ自動車など上位10社では9900億円。
一方、病院には戻し税はない。約30の自治体病院の調査では、04年度の消費税の持ち出し分は1病院平均5200万円だった。
(編集委員・田辺功)
私もこのブログで厚生労働省のふがいなさをしょっちゅう嘆いている。
厚生労働省からいくつか緩和ケア関連の仕事のアプローチが来ていたはずなんだが、つづきの話が来ないのは、厚生労働省の仕事の進め方が遅いだけだろうと思っている(今のところ。断りの連絡もないので)。でもこの記事を読んで、もしかしたら二木さん同様「アンタッチャブルな存在」扱いされているのではないかと、チラッと思ったりした。
まさかね。