朝日新聞朝刊3面(長野では)に「ドキュメント 医療危機」という連載がある。編集委員の田辺功さんが書いている。今日は「そうだそうだ」と思う内容だったので、そのまま載せます。
「安全」には人もお金も必要
3月15日(木)川崎。
川崎市立井田病院内科の鈴木厚・参事(54)=4月から地域医療部長=を訪ねた。北里大卒。昨年秋「崩壊する日本の医療」を出版した論客だ。
ズバリ、崩壊を止めるには。「厚生労働省が医療費亡国論を捨て、医療に投資すること」と、明快だった。
「医療は安全保障」が持論だ。自衛隊員も警察官も約27万人。費用は全部、税金でまかなわれている。医師もほぼ同数の約28万人だが、病院は診療収入でやっている。「国民は、警察と同じで無料が当然と思っている。医療費から医師、看護師の給料、機械代や材料費が出ていることを知らない」
医療の質を上げ、安全にするには人手や経費がかかる。米国では医療事故が問題になると、医師や看護師を増やした。ところが、厚労省は人員はそのままで、対策を指示しても費用は出さない。医師や看護師の安全のためにするエイズウイルス検査さえ病院の持ち出しだ。
厚労省が決めている医療費の値段は諸外国に比べて格段に安いばかりか、他分野の国内料金よりも安い。長期療養型の病床が1日3食付きで約8千円だ。一番値切られた病床は何と3千円。ビジネスホテル以下で、明らかに「病院いじめ」政策だ。
「病院の食事はまずい」といわれる。鈴木さんの調べでは、刑務所の食事の材料費は1食400円前後、学校給食は300円ほど。病院給食費は640円だが、人件費を引くと250円。刑務所や学校より安かった。
「福祉目的の消費税で医療費を増やす」「医療費に原価方式を導入する」などを鈴木さんは提案する。
(記事ここまで)
大筋はこのブログで書いてきたことと同じだが、具体的な数字を挙げて「日本の医療費はこんなに激安」と訴えている。1日3千円の患者が多い病院は、バタバタと潰れている。医療に無駄なお金を回すことは良くないが、適正な規模のお金を回すことは経済の活性化にもつながるはず。「絞れば絞るほど良い」と考えるのは、絞って浮いたお金を自分の懐に回したい人だけのはずなんだけど、厚生労働省はどうしていつまでも「医療費は適正化、抑制、削減!」と叫び続けているのでしょうか。