iPS細胞由来の血小板を、患者さんに投与する治験が始まるというニュース。
記事は次のとおり。
iPS細胞から作った血小板、輸血治験開始「安全性問題ない」京都のベンチャー
6/2(木) 18:21配信【京都新聞】
再生医療ベンチャー「メガカリオン」(京都市下京区)は2日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った血小板を、血液疾患の患者に輸血する治験を始めたと発表した。既に1例目を終え、現時点で副作用などは確認されず、安全性に問題はないとしている。
血小板は血液中の成分の一つで、止血作用がある。体内から血小板が少なくなった場合、輸血用の血小板製剤で治療する必要があるが、国内では献血によってまかなわれているのが現状だ。iPS細胞を用いることで安定供給や感染リスクの防止につなげる。
治験の対象は「血小板減少症」の患者10人で、2023年中をめどに完了する予定。京都大iPS細胞研究財団(左京区)が備蓄する拒絶反応が起きにくいiPS細胞を培養し、血小板を作製する。
1例目は、4月に京大医学部付属病院(同区)で実施した。輸血後1カ月間、経過観察したところ、拒絶反応や副作用は見られず、血小板が増加する効果も確認できたという。今後、2例目以降を順次行い、安全性や有効性を見極める。(記事ここまで)
iPS細胞ができた時は、さまざまな治療に向けて研究が進むことが期待された。しかし実用化への道のりは思っていたよりも困難で、それぞれの機能を持つ細胞に分化させることができても、その効率が上がらなかったり、がん化のリスクが排除できなかったり、さまざまな障壁が立ちふさがって、期待したようには進まなかった。
血小板は、その細胞の中に核を持たないことなどから、一般の血小板輸血でも比較的「こわくない輸血」に分類される。ただし血小板の寿命は10日前後しかなく、献血で血小板を取り出しても有効期間は3日間しかない。また、十分な量の血小板を得るには普通の献血では足りないため、血小板輸血のための献血をしてもらう必要があることも多い。
血液の重い病気では、抗がん剤治療などによって血小板をはじめとした血液細胞が少なくなる。血小板が少なすぎると出血した時に血が止まらなくなり、大出血につながる。そのため血液疾患の治療中には頻繁に血小板輸血が必要になるが、その血小板を献血から得るには、血小板を献血してくれる人をキープしておく必要がある場合もあり、かなりの苦労が伴っている。
iPS細胞を使って血小板を得ることができれば、抗がん剤治療をしている人だけでなく、記事にもある血小板減少症の人や、手術の際に出血が止まらない人などへの血小板輸血への道も広がるのではないかと期待する。そこで研究の最前線にいる江藤浩之先生は私と大学の同期で、オーケストラでも一緒だった。効率良く血小板を得るのが難しいと言っていたが、いよいよ実用化が近づいて来たとわくわくしている。
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