どこで誰から感染したかわからないとされる新型コロナウイルス陽性者の多くが、何かしらの「リスクが高い行動」をしていたという調査結果が示された。そうだろうなと思う。
記事は次のとおり。
入院した“感染経路不明“の人 多くが感染リスク高い行動
2021年8月1日【NHK】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210801/k10013174281000.html
新型コロナウイルスに感染して入院した人のうち、感染経路が不明とされた人に対し、国立国際医療研究センターのグループが詳しく聞き取ったところ、多くが複数で会食するなど、感染リスクが高い行動を取っていたことが分かりました。
国立国際医療研究センターの森岡慎一郎医師らのグループは、ことし6月末までのおよそ1か月間に、新型コロナに感染して入院した20歳以上の患者のうち、感染経路が不明とされた22人に、発症前2週間の行動の詳しい聞き取りを行いました。
その結果、およそ3分の2の14人は、友人など複数での会食や、大人数での誕生会、それにマスクなしで室内での音楽ライブに参加など、感染リスクが高い行動を取っていたことが分かりました。
またマスクを着けずに、仕事のあとで職場で会話していたケースもありました。
こうした行動を取ったことについて聞いたところ、「外食が感染のリスクだとは知らなかった」とか、「職場ではマスク着用は不要だと思っていた」などという回答があったということで、対策の知識が十分行き届いていないことや、意識の低さが見られたとしています。
研究グループは、感染力の強いデルタ株によって、リスクはさらに高まっているとして、改めて基本的な対策を徹底してほしいとしています。
結果をまとめた森岡医師は「危ないと言われてきた場所が、やはりリスクが高いことが分かってきた。誤った知識で行動して感染し、一定の人は重症化する。正確な情報を知って行動することが大事だ」と話しています。
(記事ここまで)
現場で発熱外来や新型コロナ患者の診療に当たっている医師からは、「どこでうつったかわからないって言っている人も、詳しく聞くと『多分あの時だと思う』って思い当たることが大抵ある。その多くは会食か、マスクなしの会話」という話を、いろんな人から聞いた。私が診察して陽性だった人にも、似たような状況だった人が何人かいる。
濃厚接触者の追跡で感染拡大を抑制できることは、昨年の第2波あたりまでで実証されていると思う。しかし市中感染が拡大してしまうと、その方法では追いかけきれなくなる。そうなると「なるべくたくさんPCR検査して、陽性者は隔離して感染者が増えないようにする」「感染確率を下げる行動を習慣化してみんなで守る」しかなくなる。
飲食店、特に居酒屋などでは、店側も客も「これ以上我慢は無理」と言っている声を、マスメディアは多く取り上げているように感じる。慎重な姿勢の店やルールを守っている店の声も取り上げているが、「厳しいですよね」という苦悩の言葉が大抵入る。でも流行が続いている限り飲食業界が以前のようには営業できないのは、世界中どこでも同じだ。
私がいる長野は今はそんなに感染の勢いがないが、飲み屋の前を通ると大声で騒いで楽しんでいる人たちの声が聞こえる。飲みの席で大声を出す前にマスクをしているとはとても思えないので、一人ウイルスを撒いている人がいればクラスターになるだろうなと思う。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出されている地域は、ウイルスを撒いている人のいる確率が多い地域だ。そこでルールに従わずに夜中まで酒を提供したり、大勢で集まってパーティーしたりしているのは、いつまでも流行が収まらないことで結局自分たちの首を絞めることになっているのに、気付かないのだろうか。
7月29日(木)には新規陽性者数が全国で1万人を超え、そこから8月1日までの4日間、1万人以上の状態が続いている。4日続くと慣れてあまり驚かなくなってしまうが、去年各国で流行が拡大していた頃なら「ロックダウン」していたレベルだ。でも東京の街の様子からはそんな緊張感は全く感じられない。今日8月2日から緊急事態宣言が東京・沖縄だけでなく大阪・神奈川・千葉・埼玉に拡大され、8月31日まで継続されることになったが、具体的な内容を報じる前にオリンピックの話題に移ってしまった。オリンピックは楽しいけどね。
新規陽性者数は急増しているが、高齢者にワクチンがだいぶ行き渡った効果で、70代以上の新規陽性者数はほとんど増えていない。高齢になるほど重症化率や死亡率は高いので、以前の流行に比べれば陽性者数に対しての死亡率はだいぶ下がるだろう。抗体カクテル療法も使えるようになり、以前に比べれば「怖くない病気」になりつつある。それでもインフルエンザよりはまだ段違いに怖い病気である状況は続いている。
現在重症化している人の多くは50代や40代の、まだワクチンが届いていない世代が多くなっている。言い方は悪いが、これまで重症化することが多かった高齢者は、新型コロナウイルスに感染しなくても人生の残り時間がそれほど長くない人たちだった。しかし40代や50代といえばバリバリ働いている世代である。その人たちが死んでしまうかもしれない状況は普通ではないし、感染がもっと拡大すれば、いろんな国で起きた「よく知っている人が次々に死ぬ」状況が日本にも起きてしまうかもしれない。
日本は先進国の中では抑えてきた方ではあるが、流行のたびに感染規模は拡大して、先進各国を数ヶ月遅れで追いかけている状況だ。「日本はうまくやったね」と言われるためには、今の感染拡大をなんとか押さえ込んで、ワクチンが「何とか間に合った」状況に持って行きたいところだ。ゆるむのは、まだちょっと早い。
何回か書いているが「今まで大丈夫だったから」「これくらいなら大丈夫だろう」「少しは息抜きしないと」は危ない。今まで大丈夫だったのは、それほど流行っていなかったから、目の前に感染者が現れなかったからだ。ウイルスが環境中に多い状況に何回もさらされれば、完璧な防御をしていたはずでも感染するのがこの病気。
基本的なことを、きちんと続けていきましょう。
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