菅総理は新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言を、栃木県を除く10都府県では3月7日まで延長すると発表した。「これ以上は我慢の限界」とか「そろそろいいんじゃないの?」と思う人もいるとは思うが、ここを頑張れば未来は相当明るくなると予想するので賛成。
記事は次のとおり。
「緊急事態宣言」3月7日まで延長 栃木を除く10都府県 菅総理が表明
2021年2月2日(火) 19:16配信【ANNニュース】
菅総理は政府の新型コロナウイルス対策本部会議の冒頭、緊急事態宣言を発出中の11都府県のうち、栃木県のみを7日に解除し、10都府県については3月7日まで延長すると表明した。
なお、感染状況などが改善した都府県については、3月7日の期間満了を待たずに順次宣言を解除するとし、「必要な方が必要な医療を受けることができるよう、引き続き各自治体と一体となって、病床の確保に全力をあげる」と述べた。
(記事ここまで)
今回の「おまじないのような緊急事態宣言」でも、PCR検査の陽性者数は減少傾向にある。この病気の特徴として、現在の行動の結果は1〜2週間後の数字に表れることや、重症になる人数はそのまた1〜2週間後に変化すること、死亡者数はもっと長く治療を続けた後に結果が出ることから、「これだけ減ってきてるんだからもういいんじゃない?」と思う人も相当数いるのではないかと思う。
私も何となく「1ヶ月も延長すると、経済へのダメージの方が大きくなるんじゃないか」という気が、ちょっとする。でもあと5日でステージ4から3相当の状況にするのは難しそうなことから考えると、延長はやむを得ないと考える。もうちょっと欲張って考えると、延長するならそこそこ長い期間延長して、withコロナではなくゼロコロナを達成したら、ものすごく楽に過ごせるようになるよ。
新型コロナウイルス感染症が世間の話題の中心になってから約1年。その間、経済を止めてはいけないという意見がいろんなところから様々な形で噴出してきたが、それでも「感染拡大を抑えなきゃいけない」という意見の方が、日本では一貫して優勢である。私はこの国民性こそが、欧米諸国より格段に感染割合や死亡者の割合を抑えているんじゃないかと思う。
「2週間後にはニューヨークのようになる」とか「何も対策しなければ42万人が死亡する」、「人との接触を8割削減」などとテレビで言われた時に、声の大きい反対者は「そんなことあるはずない」「適当なことを言って」「経済を殺す気か」と叫び、それに同調する人もそれなりにいたが、多くの国民は「そうは言っても怖いよね」「流行らないに越したことはない」と、結構真面目に行動を自粛して、感染対策も実行した。
前にも書いたけれど、このウイルスは「流行らせちゃった国の負け」で、流行らせちゃった欧米諸国は日本に比べて相当厳しい行動制限を続けているのに、人口あたりの死者数が日本よりも圧倒的に多い。一方、武漢などに限局している頃から徹底的に抑え込んだ中国は、「新しい生活様式」下ではあるが感染にほとんどおびえる必要のない日常を取り戻している。中国とほぼ同時にゼロコロナを目指した台湾なども、外国との交流は止まっているものの、国内では日常を取り戻している。
「おまじないのような緊急事態宣言」と書いたのは、今回の緊急事態宣言では報道を見る限り、人の動きが前回に比べてあまり減少していないのに感染拡大が防げているという摩訶不思議な現象が起きているからだ。去年の4月7日に7都府県に出された緊急事態宣言は4月17日には全国に拡大。5月14日に8都道府県を除いて解除されるまで、全国的に人出が大きく減った。7月22日からGO TO TRAVELキャンペーンが始まって「そんなに怖がらなくても、結構大丈夫なんじゃない?」という空気が出たら途端に感染者数が増えて、お盆の移動は極端に少なくなった。人の動きが少なくなると感染機会が減って流行も落ち着くということだと思っていた。それなのに今回は「緊急事態宣言」と言ったら、人の動きはそんなに減ってないのに感染者数は減少に転じている。冬なのに。
「夜8時以降の飲食店営業自粛要請」が今回の緊急事態宣言のメインのように見えるが、それだけで急増していた感染者数が減少に転じるほど、新型コロナウイルスは生易しいやつではないと思う。ただの印象でしかないが、緊急事態宣言が出されていることによって「今は気をつけなきゃいけない時期」という気持ちになっている人の割合がかなり高まっているのではないだろうか。深夜まで高級クラブをはしごしちゃうような人は、ゼロにはならないけど。
1月中旬に、八王子の病院で働く國松淳和先生という医師が書いた『「コロナ、お前すげーわ」現場医師が見た5つの ”新型コロナ、ここがすごい”』という記事(リンクは→
こちら)を見た。私も「新型コロナウイルスは何が手ごわいのか」をしょっちゅう考えているので、面白く読んだ。(翌週には
「コロナよ、お前はすごくない」というタイトルで、新型コロナウイルスの弱点もまとめている)
その記事に書かれていた新型コロナウイルスの特徴は、
『潜伏期間がほどよく長い』
『最初はまさしく”ただのかぜ”にしかみえない』
『全員が重症化するわけではない』
『高齢になればなるほど死亡率が高い』
『多くの人の、”命”ではなく”距離や会話”を奪うウイルス』
の5つにまとめられていた。
私もこのまとめには同意するが、他に私が新型コロナウイルスを見てきて一番重要だと思うこのウイルスの特徴は、
『(現時点では)相当うつりやすい』
ことではないかと思う。
それに加えて、発症2日前からウイルスを排出して
『かかったと思ったときにはすでに人にうつしてしまっている』
のも、新型コロナウイルスの「すげーな」と思う特徴だ。
次第に普通の風邪になっていくという見方も1年前には見られていたが、普通の風邪になるには「ほとんどの人が感染してそれなりの免疫を持つ」ことと、「死亡率がインフルエンザ等よりも低くなる」ことが必要だけれど、現時点では各国の政策や各国民の努力で感染者数が抑えられていることもあって、どんな悲惨な死亡者数になっていても集団免疫レベルに達した国はない。また、感染者数に対する死亡率は、医療が崩壊している国でもしていない国でも1〜2%ぐらいというのは変わっていない。「弱毒化していく」予測もあったが、感染力が高まりこそすれ、弱毒化しているという報告はまだない。期待したようには行かないものだ。
これだけ気をつけても、流行っている国では実効再生産数が1を切らない(感染が拡大していく)というのは、「相当うつりやすい」ウイルスだというのが一番やっかいな点だと考える。うつりやすいからちょっとの油断で感染者数が急に増えて、隔離しないことには感染拡大を抑えられないために軽症でも隔離せざるを得なくて、病院のベッドや療養施設がいっぱいになる。どの人が重症化するかわからないから、陽性となったすべての人をちゃんと経過観察しなきゃいけない。
ワクチンが今の状況を劇的に改善してくれるかどうかは、まだわからない。ファイザーのワクチンは95%の有効率だというが、これまで新型じゃない昔からあるコロナウイルスの風邪にかかった人も、詳しい調査はないが何回もかかってるんじゃないのかな。ということは、旧来のコロナウイルスの免疫は終生免疫じゃないということで、新型コロナウイルスワクチンだけが終生免疫を得られるというのは期待しすぎかなと思う。すると、インフルエンザのように毎年打たなきゃいけなくなるのかな。
何年かのうちに普通の風邪になるというのも、どうかなと思う。発症から7〜10日ぐらい経ったあたりでウイルスの量は減っているのに激烈な肺病変が進行して、重症化したり急変して死亡したりするというのは、これまでのコロナウイルスでは見られなかった症状なのではないか。その性質が消えて普通の風邪になるのは、確率としては少ないのではないか。世界中で終息させない限り、怖くない風邪にはならないのではないか。
そのように考えてくると、この病気はやっぱり「うつっちゃいけない」「うつしちゃいけない」「流行らせちゃいけない」のではないかと思う。「基本的にゼロになったのでもう安心」にするのが、経済に関しても、人々の心理状態に関しても、気兼ねなく過ごせる理想の状態だ。ワクチンがうまく行き渡って実効再生産数を低く維持できれば、日本はそこをまだ目指せるような気がする。そうなったら日本は、新型コロナ対策では「成功した国」の部類に入れるのではないかと思う。
多分、もうひと頑張り。明るい未来のために、もうちょっと辛抱するのが正しいと思う。
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