「映画『ル・コルビュジエとアイリーン』と、山田健一郎氏講演」
出来事日記

長野県塩尻市にある映画館「東座」で、「ル・コルビュジエとアイリーン
〜追憶のヴィラ〜」という映画の上映と、その時代の建築やインテリアデザインについての講演会を組み合わせたイベントがあり、見に行きました。
映画は2月23日までやってます。
東座は古ーい映画館で、支配人で映画コラムニストの合木こずえさんが良い映画を選んできて、上映しています。ときどき「映画とコラボレートした講演会」をやっていて、私も
2015年1月と
2016年5月に講演させていただきました。今回は、ル・コルビュジエに興味があったのと、山田健一郎氏は知っている建築家なので、聞きに行ってみました。

映画は「ル・コルビュジエとアイリーン
〜追憶のヴィラ〜」というタイトル。ル・コルビュジエ(スイス-仏、1887-1965)は「近代建築の三大巨匠」の一人。他の二人はフランク・ロイド・ライト(米、1867-1959)とミース・ファン・デル・ ローエ(独、1886-1969)。
タイトルから予想していた内容とはだいぶ違う映画だった。どちらかというと主役はアイリーン・グレイという女性インテリアデザイナー・建築家(アイルランド生まれで仏で活躍、1878-1976)で、ル・コルビュジエは脇役の一人。アイリーン・グレイはアール・デコの家具を作っていたが、その後ミニマリズムの流れに入って行く。映画の中では、確固たる主張を貫くちょっと付き合いにくい、でも魅力ある女性のように描かれていて、同じ時代で同じように建築家で家具のデザインもしていたル・コルビュジエとは、お互い敬意も抱きつつ嫉妬もしまくるという間柄のように見えた。
この時代のインテリアデザインや建築に興味があった私としては、もうちょっとその「作品」に焦点を当ててほしかったなという気がしたのが、「予想した内容と違う」と感じた理由かもしれない。でも邦題は「ル・コルビュジエとアイリーン
〜追憶のヴィラ〜」だけど、原題は「The Price of Desire(欲望の値段)」で全然違っていて、原題からは想像できる範囲の内容だった。邦題の2人の名前を見て「見たい」と思った人は、裏切られた感があるかも。普通に「人間ドラマ」でした。

午後1時50分から3時20分までが、建築家山田健一郎氏の講演。「建築デザインとインテリアデザイン」というタイトルで、映画の背景となった建築・インテリアデザインについて、多くのスライドを用いて説明。「映画の中ではコルビュジエはろくでもない人のように描かれていたが、大きな建築を成し遂げるには自分を売り込んでいく必要があり、有名な建築家で人格的にも優れている人は少ない」みたいな解説もあって、楽しい。

アイリーン・グレイが自分と恋人のジャン・バドヴィッチのために建てた住宅
「E.1027」について、映画ではよくわからなかった部分を山田さんが補完して説明してくれて、またその時代に活躍したコルビュジエ、ミース、ライトについてもそれぞれ主な作品を示しながら解説してくれて、映画と合わせることで私の興味は満たされた。フランク・ロイド・ライトは私が中高と学んだ「自由学園」の最初の建物(
自由学園明日館)を建てた人でもあり、取り上げてもらって嬉しかった。

会場には70名以上のお客さんが来て、熱心に講演を聞いていました。途中、今時珍しい「ヒューズが切れる」というトラブルでマイクの音が出なかったりいろいろありましたが、楽しい時間を過ごさせていただきました。
今年のどこかで、私も3回目の「映画と抱き合わせの講演」をやることになりそうです。今度は本業である「終末期医療」の話、というか、病気を抱えながら「素敵に生きた」人から学べることを話そうかな、と思っています。ちょうどそのような映画「LONG, LONG VACATION」との組み合わせらしいし。まだ見てないですけど。日程が決まったらお知らせしますので(お知らせし損ねたらごめんなさい)、興味と時間のある方はおいで下さい。6月とかそのあたりかと思います。
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