
昨日9月20日(日)の夜9時から、NHKスペシャルで「老衰死」という番組が放送されたことを、さっき知った。「見逃した〜!」と思ったら、明日の夜(というか明後日になってすぐ)の23日午前0時10分から再放送される。まだ見てないけど、おすすめしておきます。
番組ホームページは→<
こちら>
日本はこれから「多死社会」になります。国家財政の危機から社会保障費は抑制せざるを得ず、十分な医療が受けられずに「姨捨山社会」になるのではないかという危惧もあります。

しかし私は、そんなに心配しなくてもいいのかなと思うようになりました。そう思うようになった一番のきっかけは、このグラフです。
このグラフは、完全生命表に基づいて作られたもので、女性の「何歳で死亡する人がどれくらいいるか」という年齢分布を示したものです。わかりやすくするために、昭和22年を水色に、平成22年をピンク色に塗ってみました。
これを見ると、昭和22年には小学校入学前に亡くなる人が最多で、働き盛りで亡くなる人もそれなりに多く、高齢者のピークは75歳でした。平成22年になると、乳児幼児の死亡率は非常に少なくなり、働き盛りで亡くなる人もうんと減り、ほとんどの人は「ピンク色の大きな山」の年齢で亡くなるようになりました。
この山のピーク、即ち最もたくさん亡くなる年齢は、91歳になっています。女性の平均寿命は86歳代ですが、裾野が若い方に広がっているため、ピークは91歳になるのです。このグラフを見た時に私は「現状ですでに、ほとんどの人が寿命まで生きたといえる国になっているんだ」と思いました。
もう一つこの番組に注目する理由。老衰に抗うのではなく、老衰を一つの「バランスの取れた死の形」として尊重していくことも、これからの医療・介護・福祉には必要な視点だと思っています。どうやっても年を取るのを止めることはできないのですから、死を避けられない場面はたくさん発生します。その時に「老衰にできるだけ近づける」ことが、一つの目安にできるのではないかと考えているのです。

←私が7月に出した「看取りの技術」の帯にも「納得いく看取りケア それは『老衰に近づける』こと」と書いてもらいました。これからどんどん進む多死社会では、老衰を「目指すべき最期の姿」として認識しておくのが役立つような気がしていたので、今回の放送はタイムリーに映りました。(アフィリエイトは貼っていないので、画像をクリックしても他のサイトには飛ばず、拡大画像が表示されます)
多死社会と無縁で生きていける人はほぼいないはずなので、医療介護福祉などを仕事にしている人はもちろん、すべての人が見ておいて損はない、というより得をする番組になっているのではないかと期待します。まだ見てないですが。夜遅いですけど、翌日も休みの人が多いでしょうし、お勧めしておきます。
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