がんになっても、あわてない

 という本(朝日新聞出版)を書いた医者の、なんでもブログ。

 
医療関係者向け資料集「緩和ケア医のらくがき帳」も、よかったらどうぞ。

プロフィール

平方 眞(ひらかたまこと)
 緩和ケア医師
愛和病院(長野市)副院長

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投稿者:hirakata
北越さま、こんばんは。

臓器を温存すると、そこががん細胞を増殖させる培地となり、がんはどんどん進行してその臓器の機能を失わせます。それはがん患者を診ていれば明らかで、特に肝転移を放置したりすれば、やわらかくて血管が豊富で栄養も豊富な肝臓の中で増殖して、命を失わせる病変になります。

近藤氏の論だと「誤診や、検診による大量の被ばくにも大きな問題がある」ということですが、誤診はあれば問題ですが「例外」であり、日常的に誤診があるわけではありませんし、リスクの少ない人にCT検診は推奨されていません。リスクよりベネフィットが上回ると推測される場合のみ、CT検診がおこなわれるのが原則です。

日本人に胃がんが多いのは、ピロリ菌の感染割合が多いためで、上皮内にとどまっているがんの中にも放っておけば粘膜下層より深く広がって、転移を起こすがんになる細胞は多数見つかります。実際に放置した人で、進行がんでどうしようもない状態になってから再受診する人もたくさんいます。粘膜内にとどまっていれば内視鏡的粘膜切除術で根治できるのですから、近藤氏の言っている「上皮内にとどまっている非浸潤がん」をがんと診断して治療することは、非常に合理的な治療だと私は実感しています。

「検診自体に意味がない」という諸外国の報告を探してみたんですが、逆に「日本より検診率が高いために、がんで死ぬ人が少ない」という報告はいくつか見つかり、近藤氏の言っている「検診には意味がない」という論文は見つけられませんでした。私が知っている限りでは、近藤氏の主張を裏打ちするような研究結果はないです。私の探し方が不十分なのかもしれませんが。

胃のバリウム検査は早期がんを発見するのにはほとんど役立っていないという分析はずいぶん前からなされています。そのため、厚生労働省はようやく「胃内視鏡を検診方法として推奨する」と、つい最近発表しました。検診の有効性を高めるための工夫も、次第に進んできています。「社会全体に均してしまうと意味がない」という結果になってしまう検診でも、それで病気が根治可能な状態で見つかって治療できた人にとっては、これ以上にありがたいものはないと思います。検診の意義を否定しようと必死な人はたくさんいますが、検診で早期がんが見つかって治せた人に言わせれば、笑止千万ではないかと思います。
投稿者:北越
hirakata先生、近藤先生がこんなことを言ってます。

中村勘三郎さん がん検診したことで死期が早まったとの意見のも  2014.02.21 07:00

近著『医者に殺されない47の心得』が108万部のベストセラーになっている医師の近藤誠さんは、25年間、独自のがん治療法を訴え続けてきた。

「初期であろうと末期であろうと、がん患者はなるべく臓器を温存したほうが生活の質も上がり、むしろ寿命が延びる」──それが近藤医師の考え方だ。さらに、がん検診について、すればするほど、がん患者にされてしまう。誤診や、検診による大量の被ばくにも大きな問題がある。がん検診をしても寿命は延びない、とその不必要性を説く。

「がん検診をすると、患者にされてしまう可能性があるので注意が必要です。例えば日本では、胃がん細胞が上皮内にとどまった状態の非浸潤がんでも、がんと診断されます。しかし欧米では、周囲の健康な組織までがん細胞が浸み出すように増殖した浸潤がんのみをがんと定義しています。欧米では認められていない8〜9割の症状を、日本ではがんと言っているのです」(近藤医師、以下「」内同じ)

がんと診断されると、医師の勧めで手術や抗がん剤を施されることが極めて多い。また、がん検診は誤診も問題にされてきたが、近年は「検診自体に意味がない」というのが世界の医療の潮流だという。

「がん検診したグループとしないグループの死亡率には、変化がないというデータが出ています」

CTやPET検診は放射線の被ばく量が多く、それが発がんの引き金になるという指摘もある。

中村勘三郎さん(享年57)は自覚症状がない状態で人間ドックに入り、食道がんが見つかった。すでにリンパ節への転移があったが、食道全摘手術を選択。誤嚥により肺炎を併発、亡くなった。「検査でがんとわかり、手術を行ったことが死期を早めた」というのが近藤医師の意見だ。 ※女性セブン2014年3月6日号

※少し前の記事ですが、近藤先生が言っているようなエビデンスや欧米での診療実態はあるのでしょうか?
投稿者:hirakata
カルストさま、こんばんは。

マンガにしろドラマにしろ、活字になっているものはなおさら、日本人は「これが真実だ」と信じてしまう傾向があるように思います。日本人に限らないかもしれませんが。

初診時に近藤誠氏の著作を見せれば、そりゃあ医師の顔色は変わって当たり前です。近藤氏の著作の中身を知らない医者なら「何だその荒唐無稽な理論は」ですし、知っていれば「最初から医者を信用しない人が来てしまった」ですし。私は一つ一つ説明しますが、とても時間がかかりますし根気がいります。でも多くの人は私を信じた方が損をしなくて済みそうだと思ってくれているように感じますが。

医者はたしかに高収入です。でも24時間いつでも患者さんの求めに応じて対応するために常に緊張しているし、実働時間もべらぼうに長いことを勘案すると、決して高くはないと思います。そう思ってくださる方がいることがわかって、少しほっとしました。
投稿者:カルスト
hirakata様

今週号も読みました。読者を上手く誘導する構成になっていましたね。
この作品の単行本の書評をamazonで読みましたが、近藤理論信奉者の方のレビューが興味深かったです。初診時に近藤氏の著作を見せたら医師の顔色が変わるはずと書いておられましたが、そりゃ変わるでしょう。患者のためによかれと思って提案するつもりだった治療法を頭から否定してかかるのが目に見えてるんですから。しかし、近藤理論を信奉する方は、医師が痛いところを突かれるからだと決めてかかるようです。そもそも医師の提案をすべて否定するのなら、何のために病院に行くんでしょう?理解不能です。
ところでこの方の過去のレビューを読むと、どうやら医者はすべからく高収入で社会的ヒエラルキーの上位者であると思っておられるようです。私自身の感触としては、我々がもっとも接触する機会が多い(と思われる)病院の勤務医の方は、仕事のハードさに比べて薄給だと思うのですが。
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