2013-2014シーズンのインフルエンザは、気温が一気に春めいてきた3月になっても例年より患者数が減っていないと報道された。
記事は次のとおり。
インフル「だらだら流行」の恐れ 患者数なお高止まり
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140330-00000005-asahi-soci
2014年3月30日(日)7時1分配信【朝日新聞デジタル】
インフルエンザの流行が春になっても収まらない。国立感染症研究所が28日公表した調査によると、1医療機関あたりの患者数は最新1週間(17〜23日)で18・59人。前年同時期の6・75人に比べ3倍近い。ピークは過ぎたが、専門家は注意を呼びかけている。
都道府県別では、42都道府県で前週よりも減少した。ただ、福井39・97人、岩手33・72人で警報レベルの30人を超えているほか、宮城29・42人、青森27・83人、福島27・57人、新潟26・30人など、東北や北陸地方で多い状態が続く。
今シーズンは1月下旬から2月上旬がピーク。その後は減ったが、2月下旬に再び増えるなど例年に比べ減少するペースが遅い。感染研によると、複数のタイプのウイルスが同時に流行しているのが今シーズンの特徴で、2009〜10年に新型として流行したH1N1のほか、B型の割合も多い。そのため、同じシーズンに複数回かかる恐れもあるという。
感染研感染症疫学センターの砂川富正室長は「学校が春休みに入り、患者数は減るかもしれないが、だらだらと流行が続く可能性もあり今後も注意が必要だ」と指摘する。(土肥修一)
(記事ここまで)
内科外来で診察していても、インフルエンザ患者の来院は、まだコンスタントに続いている。インフルエンザウイルスは、湿度が高いと早く消滅することがわかっており、今日の全国的な雨で勢いはある程度おさまってくれないかと、ちょっと期待している。
インフルエンザの診断は、以前は症状や診察所見によってしていたが、現在では「インフルエンザ迅速診断キット」によって、多くの医療機関で15分程度でできるようになった。
インフルエンザの流行状況の集計は、定点観測によっておこなわれている。インフルエンザ定点に指定された医療機関に、一定期間内に何人のインフルエンザ患者が受診したかによって、注意報や警報を出している。この方法はずっと続いているようだが、医療現場にいる人間の感覚としては、あまり正確ではないように思う。
厚生労働省は「風邪などの疾患では、なるべく近くの診療所などを受診し、大きな病院を受診しないように」という誘導を進めている。一方、インフルエンザ患者数を計測している定点医療機関は大きな病院が多いのではないかと思われ、全体の何%を把握しているのかが不明である。
インフルエンザ迅速診断キットが広く普及したために、以前は「普通の風邪かなあ?インフルエンザかなあ?」と悩んだ症例でも、インフルエンザかそうでないかを短時間で診断できるようになった。これによって診断数が増えた可能性もあると考える。
昨年、私が働いている愛和病院でもインフルエンザが流行し、発熱している人だけでなく全員にインフルエンザの検査を受けていただいたことがあった。その結果は驚くべきもので、全く発熱が見られない人の中にも、インフルエンザ検査が陽性となる人がちらほら見られた。
その結果を受けて、外来でも微熱程度の人にも少し適応を拡大して検査をしてみたところ、普通の風邪と思っていた人の中にも、インフルエンザの人が結構混ざっていることがわかった。私が去年の1月にインフルエンザにかかった時も「これがインフルエンザなら、これまでかかった風邪は全部インフルエンザだ」と思う程度の症状だったが、検査の結果はA型インフルエンザだった。
また、去年はシーズンが終わって4月になっても、「こののどの所見は怪しい」と思った人にはインフルエンザ検査を受けてもらった。その結果は、シーズンが終わったと思っても、大した症状がなくても、インフルエンザ検査が陽性に出る人が少なくなかった。
そこで私は一つの推論を立てた。冬は乾燥したり閉め切ったりして環境中のインフルエンザウイルスが増えやすいこと、寒さで体力が低下しやすいことなどから、インフルエンザにかかる人も多く、重症になる人も多い。しかし流行が終わってもインフルエンザウイルスはいなくなるわけではなく、軽微な流行を繰り返しながら生き残り、次の冬まで生き伸びているのではないかと。
今回の「だらだら流行」は、実際に患者数が減っていないのかもしれない。でももしかしたら、以前なら「この季節ならインフルエンザじゃないだろう」「この熱ならインフルエンザじゃないだろう」と思われた人にも検査をすることによって、インフルエンザ感染者が以前より多く拾い上げられている可能性もあるのではないか。
とはいえインフルエンザは、普通の風邪に比べると、症状が重くなることが多い。体力が少ない時や重症化した時には、命にかかわることもある。昔と違って、発熱の期間を短縮できる治療薬も普及してきた。「これは普通の風邪じゃない」と思った時には、人にうつさないように注意しながら速やかに医療機関を受診して、インフルエンザだった時には適切な治療を受けて欲しいと思う。
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