がんになっても、あわてない

 という本(朝日新聞出版)を書いた医者の、なんでもブログ。

 
医療関係者向け資料集「緩和ケア医のらくがき帳」も、よかったらどうぞ。

プロフィール

平方 眞(ひらかたまこと)
 緩和ケア医師
愛和病院(長野市)副院長

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投稿者:ガントムキアウ夫
hirakataさん返信頂き感謝します。
こんなにも親切丁寧に返答下さり本当にありがたいです。又不安も和らぎました。
ステージ3(リンパ節転移)と知らされ、何か体調の変化があるたびに再発、転移が頭をよぎり、これが一番の後遺症だなと切に感じています。
退院後の定期検査では腫瘍マーカー(血液検査)を含めCT、エコー共に今迄問題なく、今回の血液検査で93と上昇(CT、エコー追加検査となり問題なし。但し切除部分に炎症がありこの為痛みを感じていた)。ネットで調べるとやや高め程度とあり、主治医に話すと「そんな事はありません。」抗癌剤を再度勧められました。
抗癌剤の副作用と効果を調べていたので、QOLを重視し今回もお断りしました。

これまでの人生、結婚し子供も大きくなり、好きな車をいじり、総合格闘技、柔術と50を過ぎてもできたので(障害者になったので格闘技は諦めましたが)それ程悔いはありません。年金が貰えるのはまだ先ですが、心残りは年金を貰えるようになったら始めようと思っていた油絵にエアブラシ画ですね。

何か取り留めのない話の様ですが、もしも腫瘍マーカーイコール癌の残留であれば、仕事はそこそこに早く始めないと悔いが残ると思ったからお尋ねした次第です。

ステージ3と言う状況なので、最低5年間は安心できない日々は続きますが、hirakataさんのお蔭で少し安心できました。
心配事は体の抵抗力を無くし、良い事はありません。親切丁寧な回答を頂き心より感謝致します。

有難うございました。


http://air.ap.teacup.com/applet/awatenai/1918/comment#comment
投稿者:hirakata
ガントムキアウ夫さま、お久しぶりです。

体の中が今どうなっているのか、症状では知りようがないだけに、ちょっとしたことが大きな不安の元になったりしがちな時期です。不安が過剰になってしまうといいことはないので、余計な不安を抱えないように気をつけて下さい。

そんな中で、腫瘍マーカーは「具体的に見える指標」なので、気にする方が多い印象です。腫瘍マーカーの種類はたくさんあり、それぞれ性質がかなり異なります。

CA19-9は(通常値37と書かれていたので勝手に推測しました)あまり特異度の高くない検査、がん以外でも高値を示すことが多い検査項目です。100程度であれば、膵臓や胆嚢、肝臓などが原因で、がんがなくても上昇することがあります。

腫瘍マーカーの数値が一貫して増加していく場合には、がんによる変化であることが多いです。ただこれも、CA19-9の場合には他の要素による変動も考えられるので、3回以上の検査で増加傾向が明らかだとか、短期間に明らかな増加を示すとかでなければ、心配しすぎない方がいいと思います。

逆にいえば、明らかに増加している場合には、がん細胞がどこかに残っていて進みつつある可能性が高まるので、可能な範囲で検査して、治療できる病変の場合には治療した方がいいと思います。個人名を出してしまいますが、鳥越俊太郎さんは直腸がんの手術後いくつか転移が見つかっていますが、その都度適切に治療して、8年以上経った今でもお元気に活躍されています。

腫瘍マーカーに振り回されすぎない方がいいと思うもう一つの根拠は、私がこれまで診てきた患者さんの中に、腫瘍マーカーは高値なのに、病気が進まない人を何人も見てきたこともあります。ある方は、そこそこ高齢の方で、抗がん剤治療にもかかわらず腫瘍マーカーは上昇し、体力も減ってきたので抗がん剤治療をやめて、緩和ケア病棟に入院されました。その後病気は進むものと予想していましたが、予想に反して病気は進行せず、腫瘍マーカーは正常値ではないものの明らかな再燃もなく、元気に過ごされています。何が理由かはわかりませんが、そういう方もおられます。

腫瘍マーカーが増加していると、病気が進んでいる証拠だと不安をあおるようなことを言ってしまう医者もいるとは思いますが、目安の一つでしかないと考え、過剰な不安を抱えないようにするのがいいと考えています。
投稿者:ガントムキアウ夫
hirakataさんお久しぶりです。
手が空いている時でいいのですが、下記内容ご存知でしたら教えて頂けると有難いのですが、宜しくお願い致します。

以前お書きしましたが、私は大腸癌(直腸)の手術を昨年受け、現在8か月を過ぎました。
癌の怖さって術後も5年以上経過しないと消えないことを実感しています(再発、転移等)。
私はステージ3でリンパ節転移が有ったので危険度は高く、この状況がこの先5年以上続くことになります。
教えて頂きたいのは、腫瘍マーカーの値の捉え方です。癌患者でなくてもこの値の上昇はあるのか?
通常値37が例えば100前後まで上昇するのか?癌患者しかこの変化は無いのか?
ご存知であれば宜しくお願い致します。

http://air.ap.teacup.com/applet/awatenai/1918/comment#comment
投稿者:hirakata
ガントムキアウ夫さま、こんにちは。

たしかに今回ここでおこなった意見のやりとりは、大変有意義な、バランスの良い、噛み合った議論になったと思います。ありがとうございます。

悪い医者にもいくつか種類があって、人としての筋が悪い医者はごくわずか、経営や儲け第一の医者も少数、頭が悪かったり固かったりする医者はそこそこの割合、コミュニケーション下手な医者や気分に左右される医者はそれより多くいるんじゃないかと思っています。

病院の勤務医は、あまり経営のことなんて考えません。それは管理職や事務の仕事という感覚です。多くの勤務医は「質の良い医療を提供する」ことに努力を傾けているように思います。ただ私は以前の病院で、24時間365日いつでも患者さんのために動けるようにしていましたが、それは頑張り過ぎでした。

無理なく長く働き続けられる方がいいと思うのですが、患者さんに対しては無理をしている自覚なく頑張ってしまう人が、医者の中には多い気もします。昨晩の私も(さらに続きです)を書いて寝た直後に呼ばれて一仕事して、寝付けず(まとめ?です)を書きましたが、それで疲れた感じはないんですが、体に良くない気はします。

自営業者でもある開業医は、勤務医に比べるとかなり経営にはシビアだと思います。私は開業医の経験がないので、開業医が収入を得るためにどんなことを考えているのかは、よくわかりません。でも悪徳医者は、いればニュースになるぐらいですし、厚労省も目を光らせていますから、そう多くはないと思います。

薬の出し過ぎについては、ここが本当に難しいんです。ある人が多種の薬を飲んでいたとして、その薬が出された理由がわからないと、無闇に中止できないのです。近藤氏の本には「やめたら元気になった」例が書いてあり、私も不用の薬は減らす努力をしていますが、神経や循環器の薬などでプロの絶妙な処方を崩したために、一時的に具合を悪くしてしまった経験があります。

これだけコンピュータが発達している時代なのですから、データベースさえちゃんとすれば「相互作用」や「危険度」チェックはできるはずですよね。マイナンバーカードでも何でもいいから、早くやった方が医療費も削減できると思うんですが、妨害する人がいるのか頭のいい人がいないのか、なかなか実現しません。

私の頭もずいぶん整理できました。ありがとうございました。
投稿者:ガントムキアウ夫
hirakataさん こんにちわ
良いブログの内容になったと思いませんか。
ブログを書いたhirakataさんの思いと、ブログを読んで違った意見を書いた私とで、これだけの意見交換が出来ました。
私もコメントにしばしば入れた様に、近藤氏の本を全て正しいと受け取っている訳ではありまっせん。
否定本に対する又は私に対する反論や現状説明の中にこそ、医療関係者の苦悩や怒り、真実や同意点が見えてきたと思います。長尾氏の本より内容が濃いとは思いまっせんか?
私の考えとして、悪い医者は全体の医者の数割程度しかいないと思っています。大抵の医者は病気を治すを使命に戦っていると思います。しかし、警察官や役人でも婦女暴行や痴漢、横領、飲酒運転等をするのですから。

所で薬の複数使用ですが、私は高齢ではないので違いますが、高齢者になると(私の両親や妻の両親がそうですが)違った症状で複数の病院に通い、複数の医者から多くの薬を貰っています(義父など数十種類です!!)。1つの病院でも複数の薬を処方される場合があるのですから(危険性の高い薬剤については病院側でも患者に確認をとる場合もある)、怖い結果になると思います(特に高齢者は薬が大好きです)。病院間の連携が必要ですね例えば保険証b入力すると、現在服用している薬のリストが表示される等。そうなれば処方時の配合が安全なものになると思います。

真実に一歩近づけたと思います。良い議論が出来ました。有難うございました。


http://air.ap.teacup.com/applet/awatenai/1918/comment#comment
投稿者:hirakata
(まとめ?です)
ここまで自分が書いてきたことを読み返すと、ほとんどが医療の「弁護」になっています。近藤誠氏の本を読んで丸呑みした人から見れば「医療側の人の言うことは、こんなもんだ。信用ならない」「患者側の視点に立てない人だ」と見られるかもしれないと思います。

でもそこに問題の本質があるのではないかと思うのです。現場にいる医者としては、近藤氏はがん診療医を「疑うべき存在」と思っているように読めてしまうのですが、本来は患者さん一人一人がそうかどうか判断すべきことであって、最初からマイナスの先入観を持って向き合ってほしくないのです。

「近藤氏の書いた文章からは、そのような悪意は感じない」という人もいるでしょう。問題に正面から立ち向かっているという評価も、多く見ます。でも行き過ぎた否定的な見方に問題があることや、持論に偏りがあることなどを、指摘されても煙に巻く技術もかなり優れています。これだけ影響力が大きくなると、丸呑みにした患者さんを不幸にしかねない部分に関しては、修正した方がいいのではないかと思うのです。

近藤氏は、患者さんを幸せにしたいという思いが出発点だと語っています。患者さんを幸せにしたいという気持ちは、否定的に書かれているがん診療医の多くも、もちろん持っています。しかし両者の主張はすれ違い、議論になっていない状態が続いています。

近藤氏は一般誌や著作で持論を広めて、反論する医師の多くは医学系の雑誌などで反論しています。それぞれ「読む人」に合わせて書いていますから、どちらもそれを読む人には説得力があっても、読まない人には何の影響もありません。そうして噛み合わないまま、患者さんと医療者の間の溝は深くなっていく。それはとても残念なことです。

これまでの状況から見て、議論が噛み合うのは今後も難しいかもしれません。でもこのままでは、患者さんをより迷わせてしまうかもしれません。どうするのがいいのかは、私にはよくわかりません。
投稿者:hirakata
(さらに続きです)
医療否定本が世の中に与えた良い影響は、私もあると思います。「医療にはみんなが期待しているほどの実力はない」のは、そのとおりです。「どんなに医療が頑張っても、みんないずれは死を迎えるのは同じ」というのも、よくぞ言ってくれたという感じです。「医者任せにせず、自分で考えよう」というのも、頷けます。

ただ、近藤誠氏が「がんは放置が一番」というのは、放置してきたり末期で発見されて治療適応にならなかった患者さんが症状に苦しむ姿をたくさん診てきた私としては同意しかねますし、がんもどき理論も理論としては破綻している「仮説」だと思いますし、抗がん剤治療を一部の疾患を除いて全否定しているのも、抗がん剤治療の恩恵を受けたと思われる多くの患者さんを思い出すと、言い過ぎだと感じます。

また、がん医療の現場で一人一人の患者さんに真剣に向き合っている医療従事者を、ここまで悪し様に言わなくてもいいのではないかと、医療否定本を読んで率直に思いました。緩和ケアについては肯定的に書かれているので、私としては怒る部分ではないのかもしれませんが、私の回りには好感を持てるがん診療医がたくさんいるもので。

私は近藤誠氏やその他の人が書いた医療否定本を「全否定」はしませんし、世の中を良くした部分については評価しています。ただ、間違っている部分についてはそのままにしてはいけないと思いますし、真面目に患者さんと向き合っている医療従事者に疑いの目を向けさせるような記述は「世の中のマイナスの気持ちを増やす」ので、良くないと思っています。
投稿者:hirakata
(続きです)
医学がもっと力があって、どんな病気でも確実な効果を保証できるようになれば、医者の仕事ももっと楽になるだろうなと思います。そうでない状況で、一人一人の医者は限られた武器で、患者さんと力を合わせて病気と闘っているわけですが、期待した効果を得られずに苦悩している医者は、私の回りにたくさんいます。

近藤誠氏やその他の医師が書かれた「医療否定本」には、積極的治療をする医者は間違っている、金儲けしか考えていない人でなしだ、のように書かれてしまっています。否定本を書く人の回りにはそういう医者が実際にたくさんいるのかもしれませんが、そうでない医者もひとくくりに「悪者」にされてしまうのではたまらないなと思ってしまいます。

抗がん剤治療を絶対に受けたくないという人は、それなりにいます。私が働いている緩和ケアの現場にも、そのような方が紹介されてくることがあります。そのような人から話を聞くと、無理矢理抗がん剤治療を押しつけてくる医者はそう多くはなく、基本的には患者さんの価値観を最重視している医師の方が多いのではないかと思います。

抗がん剤の副作用については、説明が不十分なままで抗がん剤治療に突入している患者さんは多いかなと思います。抗がん剤治療をしている医師の数が足りない上に、抗がん剤治療の成績が向上しているために、忙しすぎるのも一因かなと勝手に想像します。たとえば乳がんや大腸がんでは抗がん剤治療開始後の生存期間が以前の倍以上に伸びていますが、発症する人の数が同じでも、生存期間が倍になれば、その時に治療を受けている人の数は倍になります。

そのため、治療の内容や副作用については、看護師や薬剤師も説明するようになっている病院が増えています。その他の不安や心配や困ったことに対しても、がん診療連携拠点病院などでは「がん相談支援センター」が力になっています。拠点病院のレベルもまだばらつきがあるようですが、全体としては良い方向に向かってはいるのではないかと思います。
(さらに続きます)
投稿者:hirakata
ガントムキアウ夫さま、こんばんは。

たしかに医療否定本や医療を叩くマスコミ報道などがあったので、医療の足りないところやおかしいところが認識されて是正する効果は、高まった部分もあると思います。ただ、近藤誠氏の表現は「単純化」や「言い切り」が過ぎる部分もあると感じます。

たとえば風邪で受診した人に対して、私は症状や経過に合わせて、数種類の薬を処方します。市販の風邪薬は最初から数種類の成分を混ぜてありますが、処方薬は1剤の有効成分は1種類が基本で、市販の風邪薬と同じような効果を期待すれば、数種類を同時に出すことになります。

ところで、近藤誠氏の本には「一度に3種類以上の薬を処方する医師は信用するな」と書かれています。近藤氏の本をちゃんと読んだ人は風邪では受診しないのかもしれませんが、受診したとすると、私の処方を見て「この医者は駄目医者だ」という烙印を押すのではないかと心配です。

抗がん剤の認可については、私は深いところまでは知りませんが、少なくとも以前は問題がありました。全く効果がない抗がん剤がベストセラーになっていた時期もありました。現在はかなり改善されていると認識していますが、製薬会社などによるバイアスがないかどうかはわかりません。

ただ、近藤誠氏が言う「経口抗がん剤は効果がない」はS-1登場以降は間違っていると思いますし、「抗がん剤治療に延命効果はない」も、そうではないというエビデンスレベルの高い研究結果がたくさん蓄積されています。近藤氏の本で「効果がない」根拠にしている報告からおよそ四半世紀が経過して、治療は大きく変わっています。

一般的な商業活動に比べて、期待された効果が得られても得られなくても同じ料金をいただく医療という分野は、たしかに特殊だと思います。ただ残念ながら、今の医療は病気の前ではまだまだ力不足で、どんな人にも「これならOK」と言ってもらえる効果を保証することができません。
(続きます)
投稿者:ガントムキアウ夫
続きです。

抗癌剤の問題点
抗癌剤は副作用を伴う点だと考えます。正常細胞をも破壊してしまう訳ですから当然かもしれません。副作用が少なくなったと聞きますが、治療により延命されたとしても、体がだるい。思うように動けない。しびれる。疲れやすい。QOLが保てない状態で意味が有るのか?抗癌剤を受けず、痛み止めを服用したとしても、動けるうちにやり残した事をやっておいた方が遥に人生の週末を充実した形で過ごせる(全員ではないにしても)と思う人も多いのではないでしょうか?
複数の本を読んで今の抗癌剤では、ガンを縮小させる過程で、正常細胞も殺してしまう。使い続けている内に癌が免疫力を持ち、やがて抵抗力も免疫力も弱った部分で大繁殖(あばれる)。延命効果は一部の患者であっても、副作用で早く亡くなる可能性も高い。という感想です。

医療否定本は何度も繰り返し理解しなければ、勘違い(症状や状態、癌種や内容、年齢Etc)や誤った認識、判断を招く危険があると思いますが、患者自身の意識改革や選択の自由といった患者の為の改革書になると思います。又、少々過激ではありますが、医療関係者にとっても国にとっても反響が高い分、医療の発展の為にはなくてはならない本だと思います。
そんな意味で近藤氏らが起こした行動は尊敬に値する行為だと思うのは私だけではないのではないでしょうか。医療に携わる人達からは嫌われる事を承知で書く事は、大きな勇気と覚悟がなければできない事ですから。


http://air.ap.teacup.com/applet/awatenai/1918/comment#comment
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