
9月29日と30日の2日間、佐久市臼田の「農村保健研修センター」で「佐久緩和ケア研修会2012」が開かれています。ファシリテーター
(講師とか運営補助とかいろいろの仕事)で参加しています。

会場は、さすが「農村」とつくだけあって、見渡す限りの田んぼの中にあります。稲刈りシーズン真っ盛り。
<1日目>9月29日

ファシリテーターは、10時半に集まって打ち合わせと準備をします。

受講生は午後1時半から。事前に欠席がわかった2名を除いて、44名全員が集まりました。まずは「研修会開催にあたって」の説明。

続いて「緩和ケア概論」。上の写真と全然違わないように見えますが、よく見ると席の隣同士で話をしています。これは通称「ざわめき」と呼んでいる討論の形式で、近くの人と意見交換をしてもらっているところ。

私の担当、「がん疼痛の評価と治療」の時間。演者側から見た珍しい写真。予定90分でしたが、3回通し練習をして1回も90分以内におさまらず、おまけに前の人が頑張ってくれて10分余裕をもらったのに気をよくして色々話を盛り込みすぎてしまって、結局110分かかってしまいました。これが今日1日ほぼ最後まで響いた。すみません。

次に「アイスブレーキング」(=「氷を溶かす」)の時間。今回は「人間知恵の輪」というのをやってみました。まず肩を回すなどの軽い体操をして、体をほぐしておきます。次にグループ6〜7人で輪になって、手を前に出します。そして、右手左手別々に、隣同士ではない人の手を選んでつなぎます。

ぐちゃぐちゃに絡んだ人の輪ができるわけですが、これを手を離さずにくぐったりひねったりしてほぐし、一つの輪になるようにしていきます。この写真の手がクロスしている人が、上になっている手を上に上げて後ろを向けば、輪が完成です。2つの輪になったりしたら、もう一度最初からやり直し。これでグループの親近感がぐっと高まります。

次は「疼痛事例検討」の時間。まずは説明を聞きます。

今回の会場は小さめの部屋がいくつもあって、グループの数だけ(7つ)部屋が用意できました。

各部屋でグループが、呈示された症例について、痛みを評価して治療の方針を立てることと、痛み以外の問題についての対応を、皆で意見を出し合って話を進めていきます。部屋が別れているので、盛り上がって大きな声になっても大丈夫。

約1時間グループで討議した後、皆で一つの部屋に集まって、グループ毎に討議した内容を発表します。

1日目の最後は「オピオイドを開始する時」のロールプレイ。初めてオピオイドを処方する小芝居
(意味が違う?)をします。3人一組になって、一人が医師役、一人が患者役、一人が観察者になります。初めてオピオイドを処方する説明をしますが、患者役の人は唯々諾々と飲んでくれるわけではなく、さまざまな疑問や誤解をぶつけてきたりします。全体として、結構いいロールプレイができていた気がします。

さて、今日の研修プログラムが全て終わったところで、同じ建物の座敷で「懇親会」が開かれました。佐久総合病院の伊澤敏院長も来てくれました。

伊澤院長とお酒を飲んで話をしたり、武石村(今は上田市)の矢嶋嶺先生とベートーベン談義に花を咲かせたり、研修医と医療についての考えを言い合ったり、諏訪中央病院のことや長野県内の医療の状況を話したり、楽しい夜でした。

熱く楽しい佐久総合病院の研修医たち。なにかというと集まって、なにやら相談しています。仲よさそう。

いつの間にか9月30日になっていました。この後風呂に入って、1時頃ようやく寝ました。充実した一日が終了。
<2日目>9月30日

朝7時から朝食をいただき、8時からファシリテーターは打ち合わせ。

8時半開始なので8時25分までに集合と言っておきましたが、微妙に遅刻する人もいました。研修医の多くは昨晩自転車で帰って、今日も自転車で来たりしてるらしいから、しょうがないかな。いやしょうがなくないはず。朝の最初は「気持ちのつらさ」の講義。

続いて「コミュニケーション」の一連のセッションに。

コミュニケーションのセッションの中では、患者さん役に「あなたは治らない状態のがんです」ということを伝えるロールプレイを行います。患者さん役の人の中には「ロールプレイだとわかっていても、リアルにショックを受けた」という人が何人もいました。

みんなで記念写真(証拠写真?)を撮ってから
(帰る前に早くも配られました。これはそれをさらに写真に撮ったもの。スキャナがなかったので)、

昼食。おいしくいただきました。

お昼を食べてから、「せん妄」の講義です。ずっと1週間仕事をした後の土日がこの講習会で、2日目の昼食後ともなれば眠気に襲われるのも無理もない、という感じの人もちらほら。
この後「呼吸困難」の講義、「嘔気・嘔吐」の講義と続きます。ちょっと休んだせいか、睡魔に勝てない人は減少した気がする。しかしこの時間帯、私は睡魔に襲われました。椅子から落ちるかと思った。

台風17号が接近していて旗も真横にたなびいています。なので、休憩時間を圧縮するなど少しでも早く終われるように、ファシリテーターも参加者も頑張ってます。風の音も強まってきました。

雨も降り始めた中、最後のセッション「地域連携と療養の場の選択」です。7グループに分かれて、病気による支障がある人が家に帰りたい時にどうするか、話し合って発表しました。
教訓と示唆に富む実際の症例を題材にしましたが、現実の話だけに非常にリアリティを持って経過を考えることができ、受講者にも響いたようです。それと、グループ討論の発言に聞き耳を立てていたら、ものすごくバランスの取れた、患者さんだけでなく家族にも配慮が行き届いた発言が多く聞かれ、役立つ研修会になっていると思いました。

椅子を並べ直して、最後のアンケート記入をしてから、一人一人感想を言ってもらいました。皆さん「勉強になった」「明日からの仕事に活かしたい」「いい研修会だった」など、参加して良かったと思っていただけたようでした。よかった。

佐久総合病院の伊澤院長のあいさつ。伊澤院長はまだこの研修会受けてないようですが、いつかぜひ研修会受けていただきたいと思います
(他の拠点病院で院長先生が受講しているのを何回か見ましたが、多分受講するとその後の仕事がいろいろとうまく行くんじゃないかと思うので。でもお忙しいかなあ)。

受講者代表に、伊澤院長から修了証が手渡されます。医師はこの研修会の修了証をもらうと、オピオイドを処方した時に追加で算定できる診療報酬の項目があります(今年度の改定で導入)。

台風が近づいていることもあり、皆さん速やかに帰って行かれました。今回は県内のかなり遠いところだけでなく他県からの参加もあり、帰り着くには時間のかかる人もいると思います。皆さん無事に帰れたでしょうか。

受講者の皆さんが帰った後、ファシリテーターは振り返りの会で、良かったところ、気になったところ、次回以降に活かしたいことなど意見を出し合いました。

珍しく私も写ってる写真(左の手前から2人目)。
今回の研修会は、がん診療の最前線でバリバリ働き続けてきたベテランの医師も多く、また年齢層も20代の中ほどから80歳近い人まで非常に幅広い構成でしたが、全ての受講者が積極的かつ素直に課題に取り組んでいるように見えました。終わった後の感想としては「いい研修会だったな」と、充実感を持って終わることができました。もちろんファシリテーターの皆さんの頑張りも、いい研修会になった大きな要因だったと思います。
今回の研修会で身についたことを、医療現場でさらに磨きながら、活かしていってほしいと思います。参加してくださった皆さん、ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。お疲れさまでした。
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いつものように、その他の個人的などうでもいい記録。
道案内サイトを見たら、八ヶ岳を乗り越える「麦草峠」経由を推奨されました。でもかなりのくねくね道。時間も余計にかかりそうなので、最初は別の道を行こうと思っていました。しかし、予定していたよりかなり早く出発できたので、のんびり行けばいいかと結局この道を選択。

この道を選んだ理由の一つは、
8月にやった「目で見てわかる、標高と気圧」より高いところを通れること。麦草ヒュッテのところは、2,126メートルと表示されました。ここで蓋を開けて、もう一度閉めました。

予想以上のくねくね道で、ヘアピンカーブの連続。車がほとんどいなかったのであおられることもなく、のんびり行きました。

研修会の現地に着いて、インターネットにつなぐためにE-mobileのWifiルーターの電源を入れてみました。「電波届かないかも」なんて失礼な予想に反して、田んぼの中の研修センターなのに電波はバリバリ3本入ってます。

それもそのはず。研修センターから100mぐらいのところに、E-mobileの高いアンテナが立ってました。Google mapでもYahoo!地図でも航空写真で写ってないから、つい最近立ったのでしょう。最近は各社の高いアンテナがどこにでも立っていて、景観は壊しているなーと思うけど。
研修会終了後、帰りは山を越えて自宅に帰るのは大変なのと、明日の朝電車が動かない可能性や道路が通行止めになる可能性も考えて、まっすぐ職場のある長野の宿舎に向かいました。

中部横断自動車道
(今のところ無料。この地図はNEXCO中日本の地図に勝手にちょっと書き足したもの)がだんだん南に伸びてきているので、「佐久南インター」から中部横断道に入り、上信越道を通って長野へ。本州直撃中の台風17号の大雨に追いつかれる前に、長野に着くことができました。
明日からの仕事も、頑張ろうっと。
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