午後7時半からやっているNHK総合テレビの番組「クローズアップ現代」。今日のタイトルは
「もう病院で死ねない 〜医療費抑制の波紋〜」。ギリギリのお知らせですが、見られる方は是非見て下さい(中身は保障しませんが)。
→
<追加>番組内容の採録がホームページにアップされました(→
こちら)
紹介は次のとおり。
5月29日(火)
【総合テレビ】19:30〜19:56
「もう病院で死ねない 〜医療費抑制の波紋〜」
http://www.nhk.or.jp/gendai/yotei/
------------------
団塊世代の高齢化が始まった日本。現在、死亡する人の数は年間120万人だが、18年後の2030年には160万人へと急増。「多死」の時代が到来する。こうした中、国は「社会保障と税の一体改革」で「施設から在宅へ」という方針を加速させた。平均在院日数を減らし、在宅医療を推進することで、医療・介護費を抑制しようというのだ。しかしNHKの取材で、介護をしてくれる家族のいない一人暮らしや夫婦二人暮らしの高齢者までも、自宅へ戻されていることがわかった。そこには公的な介護サービスも十分に受けられず、自宅で悲惨な最期を迎えなくてはならないという厳しい現実がある。
番組では苦悩する医療現場と高齢者に密着取材し、超高齢社会の中での新たな課題に迫る。
------------------
是非ご覧下さい。
番組ホームページでは、過去の放送がテキストで読めるようになっています。
こちらも併せて活用ください。
(紹介ここまで)
病院という場所は、生きるか死ぬかの時に最も頼りになってもらわなければ困る場所だ。しかし、死ぬことが明らかになってしまうと、今の日本の医療制度上は途端に「ベッドを占有して平均在院日数を増やす厄介者」扱いせざるを得なくなる。
病院職員もそれに慣れてしまって、明らかに生きる力が減って、命の残り時間が少ないことが明らかな人に対しても「そうは言っても、退院してもらわないと困るんですよ。入院を待っている人もたくさんいるし」と言ってしまう。そのことが患者さんをどれだけ追い詰めて不安にしているか。
医療現場にいる人が、最初からみんなそのような「冷たい言葉」を言って平気でいられる人だったとは思わない。誰だって、相手の要望を聞いていたら苦しくなってしまう制度の中では、自分が苦しい思いをするよりは、制度が悪いことにして患者さんにしわ寄せを持っていきたくなるだろう。
私が働いている病院は全病床が緩和ケア病棟なので、命の限界が見えてきた人に「出ていって下さい」と言わなくてもすむ。このことは、現代の病院勤務医としては非常に恵まれたことだと思う。また、在宅ケアも積極的におこなっているので、退院して家に帰るような場合でも、続けてお付き合いできる。これも恵まれていると思う。
一つ前の記事に書いた「大量死時代」は、遠い未来のことではなくて、もう始まっている。現状ですでに「死ぬ時に何回も不安な状況に追い込まれる」医療福祉の状態だったら、今よりも毎年40万人ぐらい多い165万人が亡くなる2030年になったら、死に場所を見つけられないうちに死がやってくる「死に場所難民」がどれだけ出るだろう。
そういう視点で作られた番組かどうかはわからないが、今の私の関心が「多死社会への対応」にだいぶ傾いているところに、この番組の案内を見たので思わずご紹介。私は帰宅途上なので見られないが、録画しておいて後で見よう。
↓このメアド欄はセキュリティが低そうなので、書かない方が無難です↓