以前にも書いた読売新聞の「医療ルネサンス」が、今日めでたく連載4000回を迎えた。今朝初めてそのテレビコマーシャルを見た(病院職員には「その話題は遅すぎ」と言われた)が、当院名誉院長の鎌田實先生がイメージキャラクターになっていてびっくりした。
いきなりだったので内容はよく覚えてないが、飲み屋みたいなところで何かひとこと言うようなコマーシャルだったかな。しかし「医療といえば鎌田先生」みたいな流れになってきているなあ。どこまで行くんだ鎌田實。

最寄り駅であるJR茅野駅にも、医療ルネサンスの巨大なポスターが2枚並べて貼ってある。うちの息子は毎日これを見ながら中学校へ通っている。鎌田先生本人は「恥ずかしいよね」などと言いながら、まんざらでもなさそうだ(私の個人的な感想)。
私は鎌田先生を高く評価している。それは、タレントのようにテレビ・ラジオ・講演会などをこなす身でありながら、医療の現場でもきちんと仕事をしているからだ。私が働いている緩和ケア病棟では、毎週火曜日の午前中に回診をしてもらっている。老人保健施設や外来、往診も、昔ほどの数ではないがきちんと続けている。患者さんの声を聞き、現場の空気の中にいるからこそ、その発言にも浮世離れしていない説得力があるのではないかと思う。
世の中の医療系タレント(このようなジャンルがあるのかどうかわからないが)の多くは、テレビに出て一般市民に迎合するようなコメントを出すこと以外に仕事をしていないんじゃないかと思う人が多い。医療の現場は、国のたび重なる医療費抑制策等々で、非常につらい状況になっている。しわ寄せは医療従事者と医療利用者=患者さんや家族にのしかかっているが、国は責任を感じないどころかまだまだ抑制を強めようという気配だ。
鎌田先生は現場も見て、医療全体のゆがみも感じて、いろいろなところでいろいろな発言をしている。その多くは日本がこれ以上不幸せにならないために適切な発言をしているように思う。また、世界で一番困っていそうなチェルノブイリやイラクを支援する活動も、自らも身の危険がありそうな状況の所へ行って、積極的におこなっている。何が鎌田先生をこのような人にしたのかよくわからないが(失礼ながら元からそういう人だったようには思わない)、ただのコメンテーターに成り下がることなく、正しい発言を続けていってほしい。