がんになっても、あわてない

 という本(朝日新聞出版)を書いた医者の、なんでもブログ。

 
医療関係者向け資料集「緩和ケア医のらくがき帳」も、よかったらどうぞ。

プロフィール

平方 眞(ひらかたまこと)
 緩和ケア医師
愛和病院(長野市)副院長

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投稿者:山本直樹
マスコミは、インパクトを与えるために、常に放射線量や放射能量の最大値を報道します。Monreal教授のスライドの、17ページ目の左側のグラフを見てくだい。このグラフは公表された放射線量のデータに基づいて作成されたものですが、所々に鋭いピークがあることがわかると思います。これは原発の建屋の爆発や火災が発生し、原子炉から周囲に放射性物質が放出された時に検出された放射線量を表します。マスコミが発表するのは、このピーク時の値なのです。しかし周囲に放出された放射性物質はすぐに拡散して薄められるため、放射線量はすぐに低下します。そして放射線量を減少しつつ空気中に漂い、最終的には地面に落ちて土壌を汚染します。しかし放射性ヨウ素の放射能はすぐに低下し、放射性セシウムだけが、最大で人間23人分(^^;)の放射線量である0.5μSvを30年間ほど放出し続けます。しかしこのグラフのデータを観測した時点では、まだ原子炉からは持続的に微量の放射性物質が放出され続けていたため、放射線量のピークが落ちた後でも、0.1mSv=100μSv程度の放射線が観測され続けています。現在、原子炉で行われている放射性物質の封じ込め作業が成功すれば、放射性物質の放出は止まり、その後は土壌に残された放射性セシウムが放出する放射線だけが問題になります。土壌や野菜から検出されたと報道された放射能量も、これと同様に最大値です。放射能量の測定は、色々な場所の土や野菜を少量サンプリングして行い、その結果を公表します。放射性物質の汚染濃度には必ず濃淡がありますから、色々な値が公表されますが、マスコミが発表するのは必ずその最大値です。
つまりマスコミが発表する放射線量や放射能量は、瞬間最大風速のようなものだと思えば良いでしょう。アメリカに住むMonreal教授が放射線量のグラフを作成できたように、これらのデータは常に公表されています。しかしけしからんことにマスコミは、インパクトを与えるために、あえてその中の最大値しか報道しないのです。今回の原発騒ぎが終息して世間が冷静になったら、おそらくマスコミは、自らが過剰報道によって社会不安を煽り立てたことなど知らん顔をし、世間の過剰反応が社会不安と集団パニックを招き、被災者に被害をもたらしたことを指摘し、その原因をインターネットなどによるデマやチェーンメールのせいにして批判するでしょう。

http://ribf.riken.jp/~koji/jishin/zhen_zai.html
投稿者:hirakata
山本直樹さま、おはようございます2。

マスコミは、その「インパクト」を強めることに力を入れすぎですよね。そこにばっかり力を入れているから、人間的な感覚が麻痺しているし、バランス感覚がおかしくなっている。「業界」というのは、そういう人たちの濃度が濃いために、おかしな人のことをおかしいと感じなくなっているのかもしれません。

まあこれは、医療の世界でも言えることで、がんの治療をしている医療従事者の集団では「がん」も「抗がん剤」も「放射線治療」も「治らない状態」も「死亡」も日常の一部だけれど、普通の人にとっては、どれも別世界の話。医療従事者はそのズレに配慮しているつもりでいても、どうしてもズレは埋めきれない。

マスコミの行動基準を「インパクトを与える」とか「視聴率が取れるようにする」とかじゃなくて、「世の中を幸せにする」とか「笑顔を増やす」とかにすれば、またスポンサーがそういう番組にこそお金を出すという世の中の流れができれば、もう少し良くなるんじゃないかと思ったり。甘っちょろいこと言ってますかね。

公共広告機構のCMばっかり流れてますけど、ひどい報道して平気なテレビ局は、潰れてもらっていいと、本気で思ってます。
投稿者:山本直樹
社会統計結果の誤解と関連して、統計結果を恣意的に曲解させ、人にインパクトを与える手口を少し公開してしまいましょう。ある病気がかかりやすい病気かどうかを表す場合、普通は1年間でその病気にかかった人数を人口で割ってパーセントで表示します。例えば発症率が10%なら、1年間に人口の10%の人がその病気にかかることになります。このため病気の発症率はその病気のかかりやすさを表す危険性の大きさ、つまり「リスク」と解釈することができます。心臓病は、タバコを吸っていない人の発症率よりも、タバコを吸っている人の発症率の方が高く、タバコは心臓病の「危険因子(リスクファクター)」であると言われます。仮にタバコを吸っていない人の発症率が10%で、タバコを吸っている人の発症率が20%だとしたら、タバコを吸うことによって心疾患になる危険性が10%上昇することになります。ところが、心臓病の実際の発症率は非常に低くて1%以下です。そしてタバコを吸うと、発症率が2%弱に上昇します。つまりタバコを吸っていない人が100人いると、その中の1人だけが心臓病にかかり、タバコを吸うと心疾患にかかる人が1人増えて2人になるだけです。これでは、いくら医師が「心臓病にかかる危険性が1%高くなるから、タバコは止めなさい!(-"-)」と警告しても、多分、効果は薄いでしょう。(^^;)そこで病気の発症率が低い時は、発症率の比を計算し、それを「相対危険度」と呼んでリスクファクターの指標にします。心臓病の場合では、タバコを吸っている人の発症率2%を、タバコを吸っていない人の発症率1%で割り、「タバコの相対危険度は2である」と表現します。これならば、医師は「心臓病にかかる危険性が2倍になるから、タバコは止めなさい!(-"-)」と警告して、相手を脅すことができます。どちらの警告も実は全く同じ内容ですが、相手に与えるインパクトの大きさはまるで違うと思います。このように発生率が非常に低い現象の場合は、発生率がどの程度高くなるかではなく、発生率が何倍になるかという相対危険度を用いると、人にインパクトを与えることができます。マスコミが「△△すると××の危険性が○○倍にもなる!」と警告している時は、それは発生率が小さく、あまり気にする必要はないと考えて差し支えないこともわかると思います。

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