選挙の投票が締め切られたので気兼ねなく書くが、今朝の信濃毎日新聞には、自民党の全面広告と民主党の全面広告が載っていた。自民大敗になりそうだが、党本部がこんなこと書いてちゃ入れたくなくなるよね。(どんなことかは「続きを読む」で)
自民党は選挙戦の終盤、やけくそとしか思えない徹底したネガティブキャンペーンを続けてきた。麻生太郎氏の街頭演説も、うっぷんを晴らすかの如き言いたい放題だったが、自民党のホームページの中のネガティブキャンペーンは、それはそれは悲しくなるぐらいひどいものだった。

←今朝の新聞の広告がこれ。
・景気を後退させ、日本経済を壊してはいけない。
・バラマキ政策で、子供たちにツケを残してはいけない。
・偏った教育の日教組に、子供たちの将来を任せてはいけない。
・特定の労働組合の思想に従う、“偏った政策”を許してはいけない。
・信念なき安保政策で、国民の生命を危険にさらしてはいけない。
投票日当日の新聞でこれ。選挙中盤からは、テレビCMでも麻生太郎氏を前面に出すようになってきて「これは逆効果なんじゃないか」と感じていたが、今日の新聞を見て、自民党は「思いっきり負けよう」作戦を展開中なんじゃないかと思ったぐらいだ。
たしかに、書かれていることは、民主党の懸念材料ではある。しかし、景気対策という名目であのような補正予算を組んだ麻生内閣に「バラマキ」と批判する資格はない。「信念なき安保政策」というが、私の見る限りでは、軍事力を含めた国と国との付き合い方については、麻生太郎さんより小沢一郎さんの方がよく見えているように思う。

←これは同じ今朝の朝刊に載っていた、民主党の全面広告。
「本日、政権交代」というキャッチコピーも、結構危険な表現だ。「勝ってもいないうちから何様だ?」と反発を食らってもおかしくない。世論調査で「民主党300議席をうかがう勢い」などの下馬評がなければ、このようには書けなかっただろう。よかったね裏目に出なくて。
ところで、公職選挙法では「特定の候補への投票を依頼するような行為」は、勝手にしてはいけないことになっている。候補者と直接関係ない個人ブログで特定の候補に対する意見を表明することは、総務省の見解としては「問題ない」ことになっている。でも選挙違反の疑いをかけられたりするのは迷惑なので、このブログでは特定の政党や候補者を推したり貶めたりすることは避けてきた。
今回の衆議院議員選挙は、比例区もあるので政党について強い意見を述べることも「選挙活動」に当たるんじゃないかと思っていたが、自民党も民主党も選挙期間中にホームページを頻繁に書き換えていたし、投票日当日にこのような「選挙結果に大きく影響しそうな新聞広告」を出している。これらは、これまでの公職選挙法の解釈では「選挙違反」の可能性もある。
公職選挙法の「選挙活動の制限」は、「資金力の大きい政党や政治家がより多く広告を打てる」という状況を避ける意味合いが強い。しかし昨今のインターネットの発達により、多くの人に意見を届けるのに、さほどコストをかけないことも可能になってきている。せっかくインターネットという「現代の便利なツール」があるのに、前時代的な公職選挙法の規定に縛られて活かせないのではもったいない。
時代の変化に対応した公職選挙法の改正も、新しい国会で話し合ってほしい。ただ、自分たちが選ばれるための法律を、自分たちで決めることができるというのは、構造としておかしいのではないかという疑問も残る。だとしたら、誰が決めるのがいいのかな?
明日になれば全議席が確定するだろうが、ここまでの速報では自民が100議席そこそこ、民主は300を超える勢いである。となると、すべての大臣が民主党になり、官僚と渡り合っていくことになる。自民党は「あの人が落ちたんだ」「あの人もいないんだね」という状況、逆に民主党は「この人、誰?」という状況。
しばらくは混乱するだろうが、どうかスムーズな政権交代ができるように、自民党も官僚の人たちも協力してほしいと思う。それが今回の国民の意思であるし、現在の世界の状況の中では、政権交代が決まっても足を引っ張り合っているようでは日本がどこまでも没落してしまうだろうから。