麻生太郎首相は、予想通り解散を明言した。ただし、今週中との予想を外して21日からの週に解散し、投票は8月30日。与党も野党も「予想されたこと」と対応しているのは、何故?
記事は次のとおり。
国民に信を問いたい=「歯食いしばり頑張る」−麻生首相
7月13日20時2分配信【時事通信】
麻生太郎首相は13日夜、首相官邸で記者団に対し。衆院を21日にも解散し、8月30日に衆院選を実施する日程で与党幹部と合意したことについて「2009年度当初予算、補正予算、重要法案を成立させた。ここで国民に信を問いたい」と説明した。
首相は「どの党が国民の生活、日本を守るのかが争点だ」と指摘。その上で、「民主党は政権交代と言っているが、政策も財源も示していない。国民不在の党利党略以外の何物でもない」と批判した。
一方、東京都議選の敗因に関しては「自民党やわたしに対する批判がある」と認めた。しかし、「だからといって直ちに辞職して投げ出す無責任な態度は取るべきでない。歯を食いしばっても頑張らなければいけない」と述べ、自発的な辞任を求める党内の声に反論した。
(記事ここまで)
麻生首相は「直ちに辞職して投げ出す無責任な態度は取るべきでない」と言っているが、直ちに辞職する方が責任ある態度だと思う。どうして今の情勢で首相の椅子にしがみつくのが「責任ある態度」なのか。
首相が退陣して、自民党が新しい総裁を選んで総選挙に臨むなら、混乱続きでグダグダだった麻生内閣時代を清算して新しい自民党(中身は変わらないけど)というイメージを作れる。
ところが退陣しないで麻生総裁のまま総選挙になれば自民党のイメージは変わらないし、無理やり引きずり下ろして別の顔にすげ替えて総選挙となれば、麻生氏を総裁に選んだ自民党の無責任さや見識のなさが問われる。
普通はこんなタイミングで「解散、総選挙」と言えば、与党内から「何を馬鹿なことを言っているんだ!」と激怒する国会議員が続出するはずだと思う。そうならないのは、麻生太郎だからなのだろうか。みんな諦めてしまっているように見えるのは、下野を覚悟しているということなのだろうか。
麻生氏には、きちんとしたブレーンがいないのかなあ。そんな人がいつまでも首相の座から降りなくてすむ日本って、なんておめでたい国なんでしょう。
総選挙で自民党が大敗して、でも民主党も過半数を占められなかったら、その後の勢力分布はどうなるんだろう。個人的な希望としては、総選挙前に政界再編の青写真を「国民に見えるように」示して(できたら再編に向けて動き始めて)から総選挙に突入してほしかった。
今の状況では、総選挙後の政治のイメージが今一つ描けない。民主党が衆参両院で過半数を占めれば、動きは早くなるだろう。それですべてが上手くいけばいいが、自民党の中で「良い国会議員」の力は、民主党への抵抗勢力としてではなく、政治を動かす原動力として使ってもらう方が、より良いのではないかと思う。そういう人が民主党に移ってくれればいいが、多分そうはいかないだろう。そこで期待するのは「政界再編」だ。
自民党 vs 民主党という構図になっているので、政界再編は遠くに忘れ去られて総選挙は戦われるものと思われる。わずか40日の選挙戦(それでも最大日数ではあるが)では、「どうやって自党への票の流れを作るか」に両党とも腐心し、国民に考えさせる選挙戦にはならないだろう。総選挙が終わった後に、日本の国を良くする政治、国民の幸せを最大限に増やせる政治がきちんと回るのか、選挙戦後にきちんと監視する責任が、国民にはある。