外山滋比古の「知的な老い方」だいわ文庫 今年2月刊 を読んだ。私のような老人にとって参考になる話に満ちている。
私製の原稿用紙を作ろうと思った。そのとき、平櫛田中の逸話を聞いた。このすぐれた彫刻家はそのころすでに95か6歳だったが、新たに十年分の木材を購入したという。彼はそれから十年以上生きて百7歳でなくなった。外山氏はこの話につよい感銘を覚えて、十年分の原稿用紙として3千枚を注文した。それがなくなって、また新しい原稿用紙を作らなくてはならなくなった。すでに外山氏は93歳である。ふたたび田中のひそみに倣うこととして、3千枚を注文した。
75,6歳のころから早寝をするようになった。今は8時になったら寝る支度をする。起きるのは夏なら4時ごろ、冬でも5時半になるのは体調のよくないときだ。電灯で夜が明るくなった現在、8時に寝るなど正気の沙汰ではないように思われるが、人間は、もともと、日没とともに寝るようになっていたはずだ。
初心にかえって、いろいろな趣味に手をだした。書道、焼き物、テニス、ゴルフ、囲碁を始めて、いずれもものにならなかったが、60の手習いということばにあるように、それを承知であえて手習いを始めるのは老人の壮志であり、それによってその人は若々しくなる、
老人ホームには行きたくないので、ホテルを考えている。試験的に来月あたりからホテルの短期滞在に入るという。この2月か3月だろうか。またその感想を聞いてみたいものだ。

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