雨にもまけず粗茶一服 小説
武家茶道、弱小流派、東京 vs 京都、
酔狂な茶人たち
03/7/23〜04/2/13の間、「京都新聞」朝刊に連載していた「友衛家の茶杓ダンス♪」を改題。
主人公遊馬(あすま)は、剣道・弓道・茶道を修める武家茶道〈坂東巴流〉の跡継ぎですが、弱小流派を継ぐために厳しい修行をする気はなく、家から逃げ出します。にもかかわらず、京都で若く個性的な茶の湯フリークたちに包囲されてしまいます。茶の湯の魅力を表現したかった作品。
1,若様御出奔の段(わかさまごしゅっぽん)
2,与話情京畳の段(よわなさけきょうだたみ)
3,茶人変化の段(ちゃじんへんげ)
4,年寄衆夢跡の段(としよりどもがゆめのあと)
5,友衛家茶杓箪笥の段(ともえけのちゃしゃくだんす)
6,漸出現茶杓の段(やっとあらわるちゃしゃく)
7,競錦茶会の段(はでくらべにしきのちゃかい)
8,霧中恋路果の段(ゆくえもしらぬこいのみち)
9,和尚遺名筆の段(ぼうずがじょうずにじをかいた)
10, 行馬殿遠大計画の段(イクマ・プライベート・プロジェクト)
カバー装画:大石幸治/装丁:鈴木成一デザイン室
文庫カバー画:柴田ゆう/装丁:松岡史恵
ひよっこ茶人の玉手箱 エッセイ
インターネットと〈茶の湯〉の奇妙な関係
●日本の伝統なんか大嫌い…だったはずの著者が、京都に引っ越したことから茶の湯にハマる。〈茶道〉ってこんなにヘンテコで面白くておいしい! ということを、お茶を知らない人々に向けて書いた超お気軽エッセイ。茶の湯のメーリングリストの実体も紹介。150人余のお茶人アンケートと本文より作成に苦労した汗と涙の「流派一覧表」付き。
〈目次抜粋〉
お茶は気取ったおばさまたちのものか?
ひよっこ着物道
お茶会というもの
利休の茶の湯、理系な茶の湯。
男の茶の湯 茶道具とリカちゃん人形 さ
まざまな流派
男の着物教室
お菓子の世界は甘くない。
お茶とインターネット
ひよっこの茶道流派調査
(カヴァー草案:たぐちよしゆき、アートディレクション:細山田デザイン室)
詩人の夢 小説
星月夜、音楽、光の矢、消えた月、
砂漠文書、戦乱、甦る詩人
●『紫の砂漠』続編。前作では書ききれなかった理想にもう一歩迫りたくて、また、あのまま詩人に消えてほしくなくて書き継ぎました。
●真実の恋に出会うことがないまま、詩と音楽に慰められてシェプシはおとなになってゆきます。天変地異や政変の中、なんとか詩人の死を償いたいと望みます。
(文庫カバー画:寺田努/装丁:伸童舎)
生誕 小説
1994年夏、テレビ、胎内記憶、
失われた双子、そして世界中の悲劇
●テレビニュースは日々、戦争を伝え、汚職を暴き、虐げられる人々を映し出す。テレビの前に坐り続けるこどもたちは、世界で起きる全てのことを知っている。彼らは思う。こんなくだらない世界にわざわざ生まれて生きていく必要などあるだろうか?
●テレビ好きな20歳の青年は、自分が生まれる前からテレビ漬けだったことを覚えている。生まれる前には双子だったことも覚えている。その片割れは今そばにはいない。消えてしまったきょうだいを捜すうちに、彼は自らがまだ生まれていないことに気づいた。
(カバー装丁:鈴木成一)
あした、旅人の木の下で 小説
赤道直下、
駐在員の妻たちとシャドーボックス、
情熱、退廃、美青年
●「旅人の木」とは、表紙にも描かれている大きな扇の形をした熱帯樹。暑い暑いシンガポールで優雅に(?)暮らす日本人たちのふわふわした足取りが、いつしか舞踏的ステップに転じるまで。
●30代半ばの大人たちの日常を、思いこみの激しい若き女性とおそろしく美形のインド系青年がかき回し、さらにそれを、小学生の男の子とぶらぶら諸国を徘徊する少年が醒めた眼差しで見つめています。
(カバー装画:磯野宏夫)