「さよなら。いつかわかること」
原題/GRACE IS GONE
監督・脚本/ジェームズ・C・ストラウス
音楽/クリント・イーストウッド
出演/ジョン・キューザック、シェラン・オキーフ、グレイシー・ベドナルジク、アレッサンドロ・ニヴォラ、他。
あらすじ/
シカゴのホームセンターで働くスタンレー(ジョン・キューザック)。家族は、12歳とは思えない程しっかりしている長女・ハイディと、
8歳の次女・ドーン、そして陸軍の軍曹で現在イラクに単身赴任中の妻・グレイス。
父がいない時にこっそり戦争のニュースを見るハイディと、毎日母親と同じ時間に互いのことを想うという約束を守るドーン。
スタンレーは母親を恋しがる子供たちとなかなかうまく接することができず、ぎこちなく食卓を囲む日々を重ねている。
ある日、グレイスが亡くなったという報せがスタンレーの元に届く。突然の訃報に途方に暮れるスタンレー。
幼い娘たちにどう伝えたらよいか分からないまま2人を外食に連れ出すが、真実を伝えることができず、
衝動的にドーンが以前から行きたがっていたフロリダにある遊園地に車で行くことにする。
父親の突然の行動を訝しがるハイディと無邪気に喜びはしゃぎまわるドーン。そして、夜中にこっそり自宅に電話し、
妻の声で録音されている留守番電話の応答メッセージを聞くスタンレー。
畑でロードレースごっこをし、ホテルのプールで遊び、ショッピングを楽しみながら、フロリダまでの距離と時間を共に過ごしていく
3人は、徐々に絆を深めていく…。遊園地での至福の時を過ごした後、覚悟を決めたスタンレーは浜辺で娘たちと向き合った―。(Amazonより抜粋)
なんか、昨日変な夢を連続して見てましてね。
何の脈絡もない映像が立て続けに現れては消える、そんな夢だったのですが
その夢の一部分に、何故か音楽が流れておりました。
それも、
爆風スランプの「えらいこっちゃ」。
爆風初期の名曲、えーらいこっちゃ、えらいこっちゃ、です。
単なるメンバー紹介の妙チクリンな歌ですが
グラハム・セントラル・ステーションの影響が色濃く現れたファンク・ナンバーでございます。
それにしても何で「えらいこっちゃ」なんだろうか。
もしかしたら来年僕は「えらいこと」になってしまうのではないかという不安に駆られる大晦日ですがみなさんいかがお過ごしでしょうか??
さてさて今日は大晦日。
2008年最後の1日でございます。一年の締め、でございますよん。
こういう時こそ、「ちゃんとした映画」を観て締めくくりたい。
そんなわけで、この、
「さよなら。いつかわかること」を鑑賞。
原題が
「GRACE IS GONE」という身も蓋もないタイトルなのですが
この「さよなら。いつかわかること」はナイス・邦題でございますね。
系統で言えば「死ぬまでにしたい10のこと」とか、そういう類の「しんみりと泣けてくる」タイプの映画によくある感じですけれどもね。
まずは、映画が始まった瞬間から、
「あ、この映画地味だけどめちゃくちゃ良い映画だ」
という直感。いい映画ってこういうのがあるんですよね、ホント。
その直感は外れる事なく、物語が進んでいくにつれ
「母親の死を、子供にどう伝えるべきか」
苦悩する父親スタンレー(ジョン・キューザック)に深く感情移入していく。
まるで、自分自身が二人の娘を持つ父親のように。
元気ハツラツおてんばな妹、ドーン。
12歳にしては「しっかり者」の姉、ハイディ。
スタンレーは事実を伝えられず、突発的に娘達と小旅行に出かける。
思ってもみなかった事態にはしゃぎまくるドーンとは対照的に、直感で「これは何かあったんじゃないか」と感じ取るハイディ。
ハイディはしっかり者の反面、脆い部分もあり
母親が戦争へ出征してしまった寂しさからか、不眠症になり、夜の街を徘徊したりする。
煙草とか吸ってみたり、とかね。ちょいと不良のまねごとをしたりするけど
思いっきりむせてたりしてね。
さて、この映画は父親スタンレー役のジョン・キューザックが
役者であるというオーラを一切消し切った「くたびれたオヤジ」を演じており、ほんとどこにでも居そうなおっさん匂を醸し出し、そこにとてつもないリアリティが生まれている。
それももちろん凄いと思うのですけど
僕は、娘ハイディを演じたシェラン・オキーフの方に脅威を感じましたね。
どうやらオキーフちゃんはこの映画がデビュー作のようなのですけど
何このベテラン感??
バリバリ子役で稼いでまっせ!ぐらいの貫禄があるのよね。
メガネかけるとチョーかわいい。
僕はこのブログで頻繁に「萌え」という言葉を使っていますが、それは「ええ感じ」ぐらいの意味で
本当の意味での「萌え」ではなかったような気がします。
そ....そうか。これが「萌え」だったのですね、
師匠!(←師匠って誰?
いや、こんな子ならホントに目の中に入れても痛くない!
妹ドーンも同じくらいに愛くるしいし、ちょっとだけ「父親気分」になれる映画でもありますが
「母親の死を伝える」という非情なミッションが待ち受けております。
オレならどうする!?どうするのだ!?
.......そう考えるとほんと胸が痛くなる。
夫は「妻」を失い、子供は「母」を失う。
これは「喪失」をどう受け止めるのか、という映画です。
その大きな穴は、いずれ時間が埋めてくれるのかもしれませんが
「家族の絆」があれば前向きに生きて行ける、というメッセージを投げかける。
それと同時に、
戦場を描かない戦争映画
という捉え方もある。
派手な戦闘シーンよりも、残された者の悲しみの方が、より深く突き刺さる。
浜辺で、ついに決断の時を迎えたスタンレー。
ついに「母親の死」を伝えるのだけど
ここだけ台詞を消している。
さすがだなぁ、と思った。
あなたなら、どう伝える?
きっと、そういう事を伝えたくて、わざと台詞を消してるんだと思う。
もし、あなたが、そういう立場に置かれたなら
自分の言葉で、自分の子供達に、どんなふうに伝えるのか。
....先日、2008年の締めくくりの意味でベスト3など発表してましたが
この映画ベスト4にむりやりねじ込みます。
ほんっと、そのぐらい素晴らしい映画でございました。
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