「誰も守ってくれない」
監督/君塚良一
出演/佐藤浩市、志田未来、松田龍平、佐々木蔵之介、佐野史郎、柳葉敏郎、津田寛治、石田ゆり子、木村佳乃、東貴博、他。
あらすじ/
幼い姉妹の殺害事件で未成年の容疑者が逮捕される。その瞬間から容疑者の家族は、マスコミや世間の目を避けるため警察の保護下に置かれ、中学生の妹・船村沙織の担当は刑事の勝浦に任される。ホテルや自宅アパート、友人のマンションを転々とするが、マスコミの執拗な追跡に行き場を無くした勝浦は、かつて担当した事件の被害者家族が営む伊豆のペンションに身を寄せる。そこへ沙織のボーイフレンドが駆けつける。(goo映画より抜粋)
ツナ缶大好き志田未来。
なんかテレビに出る度に
「ツナが好きで♪」
と言ってて確か笑っていいともでもツナが好きという話をしていたので個人的に
ツナ子
というあだ名をつけていた志田未来ちゃん。本作で初めてその演技を観たのですけど
この子すげぇな!!
何あの目ヂカラ。観てるこっちが思わず目を反らしてしまうほどに輝いてる。
演じる役柄も非常に複雑なもので
もう観ていて胃が痛くなってくるわ......
そして志田ちゃんよりももっと複雑な役柄・トラウマを抱えた刑事を演じる佐藤浩市さん。
とにかく佐藤浩市さんがいい。
どの映画観ても佐藤浩市は佐藤浩市で、演技の幅は比較的に狭いと思うのですが
(その点で少年メリケンサックはかなり弾けた感じで良かった)
いつもと同じ浩市節なんだけど今回のはちょっと違う。
どう違うのか、と問われれば「う〜ん、なんか。」としか言えないんですが
強いて言うなら「弱さ」を見せている所でしょうか。
少し唐突とも思えるラストの浜辺のシーンも
あの台詞は志田ちゃんに言っているのと同時に自分に言い聞かせているものなのかなぁ、と。
これは「映画」というより「2時間ドラマ」のスケール感で描かれていて
(序盤、無駄に派手なカーアクションがあったりするけど)
正直こういうのどうよ??という疑問もなくはない。
けれども、「罪」とはどういうものなのか
深く深く考えさせられる映画にはなっているかと思います。
未成年の犯罪。
加害者の家族。
マスコミの取材のありかた。
ネットの住民の恐ろしさ。
被害者の家族の気持ち。
想像をすることは出来るけど決して理解ではない。
想像してああだこうだ言うのは簡単だけれども
僕は加害者にも被害者にもなった事がないので
もしもそうなった時にどうすべきか分らない。
だから「世論」に乗っかって、自分だけは「正しい」と思い込む。
正しい事ってなんですか?
自分の胸に手を当ててよく考えてごらんなさい。と、この映画は言っているように思えます。
殺人は決して許されるものではない。
心ではそう思っていても
ワイドショーとかつい見入っちゃうでしょ。だって結局は他人事だから。
他人の不幸は蜜の味。
人間は複雑な生き物だ。ストップ温暖化とか、エコカー減税とか。愛は地球を救うとか。
その一方で人間は殺し合いを続ける不思議な生き物だ。
人間て滑稽で哀しいね。
でも身近なものへの「思いやり」があるから、まだまだ捨てたもんじゃないと思う。
人を信じる事。だから人間って愛おしいのだ。
.....と柄にもない事を書いてしまいましたが、色々考えさせられる所もある、シブい映画に仕上がっておりました。
グッジョブ!!
さて、かたい感想はここまでとして。
志田ちゃんや佐藤浩市さま以外の役者についてちょこちょこと書いていきます。
●木村佳乃。
いつの間にこんないい女になったの!?
役柄としては佐藤浩市さまのカウンセリングの先生、なんですけど
時々フランス語が出ちゃうというめちゃくちゃムカつく女なんですが
(「ウィ」とか言ってた。ムカつく!!)
なんか凄い色気があったなぁ。いやぁいい女になったわ。
えらい!!
●石田ゆり子
いつの間にこんないい女になったの!?パート2。
ギバちゃんの女房役。
●柳葉敏郎
この映画で一番いい芝居をしていた。
ちょっと泣きそうになった><
●松田龍平
「青さ」が残るひねくれた役柄はもうピッタリよね。悪夢探偵といい。
もっと歳をとって、「青さ」が抜けた龍平クンを早く観たいなぁ。
●佐野史郎
冷徹な上司、を演じさせたら天下一品。
このヘビのような冷たさ、ゾクゾクするわぁ。きゃー!!
●佐々木蔵之介
ドス黒い記者。「アフタースクール」といい、汚れ役が実に良い。きゃー!!
●東MAX
軽。
そんな感じで豪華な役者陣でおなかも一杯でございます。
映画的に上手くまとめたな、という感も否めないですが、こういうのはせめて「救い」ぐらいは欲しいですよね。
もしこれミヒャエル・ハネケが撮ってたら
一生立ち直れないぐらいのトラウマ背負いそう
なので、このぐらいが丁度いいと思います。

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