「劔岳/点の記」
原作/新田次郎
監督・撮影/木村大作
出演/浅野忠信、香川照之、松田龍平、モロ師岡、仲村トオル、宮崎あおい、鈴木砂羽、國村準、笹野高史、井川比佐志、夏八木勲、役所広司、他。
明治40年、地図の測量手として、実績を上げていた柴崎芳太郎は、突然、陸軍参謀本部から呼び出される。「日本地図最後の空白地点、劔岳の頂点を目指せ」―当時、ほとんどの山は陸地測量部によって初登頂されてきたが、未だに登頂されていないのは劔岳だけだった。柴崎らは山の案内人、宇治長次郎や助手の生田信らと頂への登り口を探す。その頃、創立間もない日本山岳会の会員も剱岳の登頂を計画していた。
測量に携わる人たちの情熱と尊厳を描いた、新田次郎の同名小説が原作。『八甲田山』『火宅の人』などの撮影を手掛けた日本映画界を代表する名カメラマン・木村大作が、50年の映画人生全てをかけて監督・撮影に取り組んだ。日本地図を完成させるために、未踏峰の劔岳山頂を目指す測量手と山の案内人をそれぞれ浅野忠信と香川照之が演じるほか、松田龍平、仲村トオル、役所広司など名だたる俳優たちが集結。CGに頼らない本物の大自然を撮影することにこだわり、危険を冒しながら圧巻の雪山シーンにも挑んだ。出演者が異口同音に「今までで一番つらい撮影だった」と語る妥協を許さない過酷な撮影を想像しながら、その映像美に酔いしれたい。(goo映画より抜粋)
超☆感激。
感動とかそんな生易しい感情ではありまへん。
感激です。
おそらく、こういう映画はもう二度とない。
一人でも多く、この映画を観てもらいたい。
そんな気持ちでいっぱいになります。
この映画は「エンターテイメント」ではない。
それを期待していくと痛い目にあいますよ。
もちろん「デート」目的などもってのほか。
いい歳こいたおっさんが一人で観る
そういう映画なのです。
まさに
「おっさんの為のおっさん映画」。
仕事をしている男は、この映画を観るべし。
働き盛りのアラフォー男子とか。
バリバリ働いて仕事にやりがいを見いだしてる人とか。
自分の仕事に疑問を抱いている人とか。
仕事上の人間関係に悩んでいる人とか。
この映画、公開前からメイキング映像をちょくちょくテレビで目にしていて
それにやけに「本物、本物」と連呼していたので
そこまで「本物」を強調するのも逆にいやらしいじゃないか、と否定的な感情があったのですけど、実際映画館で観るこの映画の映像の素晴らしさは
ハンパねぇー!!
圧倒的という言葉はまさにこの映画のためにある。
あまりの美しさに身を乗り出してため息を洩らしてしまった映画は初めてだ。
おそらく、ターセム監督の
「落下の王国」も劇場で観ていたならきっと、身を乗り出してため息洩らしてたでしょうね。そういう意味で落下の王国を劇場で見逃したのは大変に悔やまれる。
実際にこの劔岳も
劇場内で「すげぇ....」とため息を洩らす客多数。
この凄さは、劇場でしか伝わらない。
ちっちゃいテレビモニターで観るのでは全く意味を成さない。
CG全盛のこの時代にこそ、必要とされるもの。
それがこの映画にギッシリ詰まってる。
それにしても
宮崎あおいちゃんの可愛らしさはもう反則ですな。
普段は「ツン」な木村大作も「デレ」になるのが分る。
そう、木村大作はツンデレなのである!!
.....まあ冗談なんすけど、めざましテレビで見た木村監督のデレデレぶりには笑ったなぁ。
「台詞どんどん変えちゃっていいからね♪」
ですってよ。もし僕がこの映画の監督やったとしても同じ様にデレッとしちゃうでしょうね。それに、木村監督は宮崎あおいちゃんの撮影シーンには伸ばしっぱなしの髭を剃ってきたっていうじゃないですか。
分りやすいわ!!
寡黙である事で、全てを語る「山男」たち。
それとは対照的に、山男たちを支える人々が生き生きと描かれている。
役所広司、宮崎あおい、鈴木砂羽らがその「支える人々」の役割なのだけど
この人たちが居てこそ、寡黙な山男たちの生き様があるのです。
その寡黙な山男たち。
浅野忠信、香川照之、松田龍平、モロ師岡、そして仲村トオル。
特に香川照之が素晴らしい!!
控え目で決して出しゃばらず、お人好し。しかし胸の内はアツい想いがたぎってる。
僕が初めて香川さん上手いなぁ、と思ったのがホラー・オムニバス
「コワい女」
での傑作短編
「鋼(はがね)」の怪物鋼ちゃんのお兄ちゃん役。これは最高におもろかった。観てない人は観るといいよ。
「ゆれる」とかも観なくちゃいかんなぁ、これから。
浅野さんや龍平くん(悪夢探偵2観たいよ〜〜)ももちろん良いのですけど
モロ師岡。
モロ師岡!!
この人最高に良い味出してまんがな。まさに名バイプレーヤー。最高っす。
この映画は、エンターテイメント性には欠けるが、というかそもそもそんな事も意識していない。
「これは撮影ではない。行である。」と言った木村大作監督の映画に対する情熱を感じるための映画である。
この映画で行われる地図を作成するための測量作業は、そのまま映画の撮影に置き換えられる。物語を追う事は、すなわち映画を作る作業を追体験するという事である。
映画人のための映画
と言ってもいい。そこが逆に間口を狭くしている感もあるのだけど
実際に観てしまうとそんな事どうでもよくなる。
奇跡としか言いようがない風景に酔いしれ、信念を持って仕事に取り組む男たち、そして彼らを支える人々の物語に思わず目頭が熱くなる。
映画自体、派手さはなく、どちらかというと地味である。
これまで観てきた山岳映画のような、ハラハラ・ドキドキの展開もない。
ひたすら、ゆっくりと、地味な山登りである。
しかし、映画を観ている観客は、「前人未踏の山」に果敢に挑戦していく山男たちになり切って、ひたすら耐え忍び、与えられた仕事をこなしていくのである。
実に、「ファニーゲームUSA」以来の久々の劇場鑑賞作品。
文句なし!!

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