「接吻」
監督/万田邦敏
出演/小池栄子、豊川悦司、仲村トオル、他。
あらすじ/
家族とも疎遠で、友達もいない孤独な人生を歩む28歳のOL、京子。ある日、テレビに映し出された殺人犯・坂口を見た彼女は一目で恋に落ちる。彼に自分と同じ孤独と絶望感を感じ取った京子は仕事も辞め、新聞、雑誌を買いあさり、無我夢中で事件と坂口について調べ始める。そして拘留中の坂口に面会を申し出る。坂口の国選弁護人、長谷川は、京子を不審がったが、坂口に手紙や差し入れをする京子に心を惹かれ、二人を面会させるが…。(Amazonより抜粋)
3月3日、雛祭り。
おにゃのこの日です。
なので、女の子が主演の何か可愛らしい映画を借りようと思ってたんですが。
おフランスの、「これは新しいヴァージン・スーサイズ」と何やら評判の
「水の中のつぼみ」とかかなり気になっておったのですがね、なんか、そういう気分ではなくて。
で、邦画の新作をチェケラッチョしておりましたところ、京都みなみ会館でも上映されていて気になっていた、小池栄子主演の
「接吻」が目に止まり......
僕は、役者としての小池栄子は高く評価しておりましてね。
フツーにバラエティとかに出ててもすっごいええ感じなのですけど
こと「映画」となると全然違うんですよねぇ。
ごく自然に「狂ってる」感じを醸し出せる人、あんまり居ないですよ。
とはいっても僕は映画での小池栄子は「2LDK」しか知らないんですが。
この映画自体、かなり理解に苦しむところはあります。
それでも、「孤独な魂」の奇跡的な出会いと繋がり、そしてその先に待っている衝撃的な結末、という所はなんとなくでも分る気がするというか.....
誰にも理解されない・無視される・虐げられ、そして孤独という点では
例の秋葉原の通り魔そのもの。
ともすればそういう殺人者を擁護しているとも捉えられてしまいそうですが
少しでも「孤独」であるという事の本当の意味を知っている人ならば
「思い当たるフシ」がある、という事もあるでしょう。
孤独である者同士が惹かれ合う、それはごく自然な事。
衝撃の結末とか、理解不能な小池栄子のラストのあの行動、とか。
しかしそれよりも重要なのは、結末に至るまでの、小池栄子と豊川悦司と仲村トオルの3人の心の動き、これなんです。微妙で、繊細な心の描写。僕はこういうのに滅法弱い。心拍数が上がってしまいます。
そんな奴は死刑にしてしまえ、というのは簡単な事。
だって僕らはそこまで切羽詰まったことなど無いのだから。
それなりに社会に適応できて友達もいて、死にたいと思う程絶望することはめったに無いし
自殺してしまう人とか殺人を犯してしまう人の気持ちなど、決して理解することなどできないのだから。
理解できない、「心の闇」。
そういうのが垣間見えたような映画でした。
それにしても、小池栄子ですよ小池栄子。
小池栄子おっぱいおおk......
ではなくてですね、なんかTVで観る顔と全然違うのですよ。物凄く地味で、イケてない。
終始感情を押し殺したような鉄仮面で通しているのですけど
ある時点からとてつもない恐ろしい表情を見せ始めます。
そして、この映画はある程度は読めるラストを迎えるわけですが、そこで小池栄子がとったアノ行動、
全然意味が分からない!!
その訳の分らなさがこの映画を傑作へと昇華させているような気すらします。
全く予想できなかったアノ行動によって、完全にこの映画は「理解される」ことを拒んでいる。
それはそのまま、小池栄子と豊川悦司の「戦い」における、「勝利」ではないのだろうか。
理解されない事、それがすなわち二人の存在の意味。
.....と僕なりにこの映画を解釈してみたつもりですが、いかんせんいつも読みが浅いのできっともっと深い意味があると思うのですけど。
邪悪で、しかも純粋。
おにゃのこの日にとんでもない代物を観てしまったという後悔もありますが、観ておいて良かったです。

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