「終わりなし」
原題/Bez Konca
監督/クシシュトフ・キェシロフスキ
出演/グラジナ・シャボウォフスカ、イェジィ・ラジヴィオヴィッチ、アレクサンドル・バルディーニ、他。
どーもここ何日か、面白いんだか面白くないんだか分らない映画ばかりを観てきたもので
ものすっごく
ストレスフルなwataruです。
今日は日曜日で、別に昼まで寝ていても構わなかったんですが
なんだかいてもたってもいられなくなって
朝の9時頃に家を出てちょっと遠いレンタルビデオ屋さんへ。
雪が降ってますがそんな事は問題ではないのです。
むしろそんな逆境が燃えます。
今日は。今日こそは!
いい映画を見つけるのだ!!
実はもうアテがありまして、そこに行けば必ず有るのは分ってました。
キェシロフスキ。
むっか〜し、
「トリコロール」三部作のうちの、「白の愛」。ジュリー・デルピー主演のやつを観た事がありました。もうすっかり忘れてしまいましたが、今観ればかなり面白いかもしれん.....
そして、
「デカローグ」。
これはいつか観なきゃならん!と課題にしていた作品群でした。
もともとTVシリーズ用に製作されたデカローグのうちの1話で、劇場公開用として編集された
「殺人に関する短いフィルム」、
これが今回の目当てでした。
んが、しかしこんな時に限ってレンタル中......まあ、ええわ。
代わりに、この
「終わりなし」と
「偶然」、
そして激シブ時代劇
「浪人街」を颯爽とレンタルして帰ってきた次第でございます。
一度キェシロフスキの映画を観ているとはいえ、昔の事で記憶が殆どないので(笑)
今回の、この「終わりなし」が初キェシロフスキ、とさせて頂きますが......
渋い...
めちゃくちゃ渋いですね。
本当に「映画」って感じのする、ズッシリと重たい作品でした。
心臓発作で死んでしまった敏腕弁護士、アンテク。
あまりの突然の死に、アンテク自身が納得できず、魂は現世に留まったまま。
この、「幽霊」弁護士アンテクの視点から、自分の居ない「現世」を淡々と描き出していきます。
一方、アンテクの妻、ウラは夫の突然の死に戸惑い、遺品を整理していくうちに
ウラが知らない
「裏アンテク」の姿を知る事となり、戸惑いは更に加速。
忘れようとしても、「想い」は募るばかり......生きている時には知らなかった「素顔」を知ってしまい
それが逆に想いを強くしてしまう。
そんな中、アンテクが生前抱えていた、ある事件の関係者がウラを訪ねてくる......
こんな感じで、逝ってしまった者、残された者、当時のポーランドの政治や社会問題を織り交ぜながら、物語は進んでいきます。
確かに、政治色はありますが、この映画の場合はやはり、この夫婦の「愛」の話の方に傾いている、と思います。(「偶然」のほうがより政治色は強い、らしい......というようなレビューを読んだ。)
たまたま、「手が夫に似てるから」というだけの理由で、見ず知らずの外国人と寝てしまう妻。
忘れたかったのかもしれないが、逆に想いを強くする。
あんなことしなきゃよかった、と自責の念に苛まれる。
忘れようとして、催眠療法にも手をだすがそれもかえって逆効果。
そのシーンで初めて、妻ウラと夫アンテクはお互いが「見える」ワケですが
このシーンは素晴らしいですねえ....お互いに「中指」立てるシーンが。
そんな愛の話の外側で、生前アンテクが抱えていた事件は後任の弁護士に引き継がれ
色んな「大人の事情」が絡んでくるあたり.....苦いですねえ.....
裁判に勝ったとはいえ、被告人ダレクにとっては「負け」以外の何ものでもなく
釈放されるというのに誰も笑顔を見せない。苦いですねえ......
このあたりの話は、当時のポーランド情勢を知っていればもっと感情移入できたかもしれないんですが
不勉強なもので、なんとなく「ああ、こんな感じだったのね」という程度で。
そして最後、妻ウラは突然、自殺します。
息子ヤツェクを義母に預けて。
アンテクとウラの愛は、ここで永遠のものとなるわけですが.......
ヤツェクが可哀想じゃね!?
と思いっきりツッコミ入れてしまいました。
この夫婦に子供が居なければ、これは夫婦間だけの話でキレイにまとまるんですけど
子供が居るのに死を選ぶのは、どうなのか。どうなんですか。
あなたにとって子供は宝だったんじゃないんですか。
この最後はむちゃくちゃショックでした。
ど.....どゆこと??と疑問だらけですが、ある意味これも「愛のカタチ」なんでしょうか。
この映画、フランソワ・オゾンの
「まぼろし」(僕は未見です.....)と比較されるようですが
両者はまるで真逆のパターンのようで、「まぼろし」は妻が夫の死をどのように捉えるのか、非常に興味が湧いてきました。
さて、次は「偶然」ですが、これは「if〜もしも」的な三部構成で成り立ってるようです。
トム・ティクヴァの
「ラン・ローラ・ラン」の激シブバージョン?な予感。
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