前々から気になってたんですよ・・・・この映画。観よう観ようとしてて、観ようと思うと何か別の気になる映画を見つけてしまって、結局 借りずに今日まできてしまいました。
僕の音楽映画のナンバー1は「ブルース・ブラザーズ」、
ナンバー2は「ザ・コミットメンツ」、
この映画はナンバー1.5ぐらいにもってきたい!!
「僕のスウィング」
監督/トニー・ガトリフ(「ベンゴ」とか「ガッジョ・ディーロ」などのジプシーを描いた映画を撮っている。この2つは観ていないので、これから観てみようと思う)
いやね、もうギターがカッチョいいんですよ。ジャンゴ・ラインハルトみたいなスウィングしまくるギターが。演奏シーンで涙でそうになったの初めてですよ、マジで。
夏休み、祖母の家に遊びに来ていた少年マックス。
ある日、彼はジプシーの娘スウィングと知り合う。彼女はジプシーの一家でトレーラーで暮らしている。彼女の一家は音楽一家で、父親は物凄いギター弾きでもあった。
マックスはスウィングの父親にギターを習いに通う。と、同時にスウィングに対して淡い恋心も芽生えるのだが、夏休みの終わりは2人の別れの時でもあった・・・・・
というのが、だいたいの粗筋。
圧巻なのは、ライブのシーン。
ジプシー仲間が寄り集まれば、そこはコンサート会場さながら。
スウィング、というより強烈なグルーヴで観る者をグイグイと引き込んで行く。
まさに、パッションである!!音楽はパッションなのダ。
スウィングのオヤジさんはギターを練習しているマックスにこう言った。
「譜面で覚えようとするな。ここと、ここで覚えるんだ。」
と、頭と胸を指差す。ハートで弾け、と言っているのである。
あまりに 当たり前の事なのだが、この言葉は僕の心に突き刺さった。
「ああ、そういう気持ち、忘れてたよな・・・・・・」
僕自身、ベース弾きでもあり曲を作っていたりするのだが、最近はDTMにハマっていて、音楽の本質を見失っていたような気がする。
ベースという楽器にはギターほどの表現力はないが、また頑張って練習してみたくなった。そうすればジャコ・パストリアスの高みに近づけるのかな・・・・なんて思ってみたり。
しかしジャコは永遠にジャコなので、僕でしかなし得ない何かを探さなければならないが。一生かかっても無理っぽいけど、やるしかないのである。それがミュージシャンというものだから。
このオッサンがスウィングのオヤジ。チャンボロ・シュミットという有名なギタリストだそうだ。もうムチャクチャに上手い。渡辺香津美も上手いんだけど、この人の場合、命削ってるというか、魂で弾いている。CD探してみようっと。あ、あとジャンゴ・ラインハルトも。
で、このオッサン、マックスがギターを練習している最中、脳卒中かなんかでポックリ逝ってしまう。それはマックスの目の前ではなく、オッサンがコーヒーを入れるために席を外したときに、突然やってきた。倒れ込んだオッサンの意識は遠のいていくが、耳は確実にマックスのギターの音を聴いていて、そのリズムに合わせてトントントン、と指で地面を叩いている。
やがて意識は体を離れ、オッサンは空へ飛んで行く。美しいギターの旋律とともに。
オッサンは、喜びに溢れた表情で、高く、高く飛んで行った。
ミュージシャンらしい死に方である。
ジャコ・パストリアスはベースで世界の頂点に立つが、その後転落し浮浪者になった。
道ばたで彼は、昔の自分の曲のテープを流して、小銭をせびっていたという。
コカインとアルコールでボロボロになっていた彼に、音楽仲間たちは何度も救いの手を差し伸べたが、彼はそれを拒否した。そして、ライブハウスに無理矢理入ろうとしてボディーガードに殴られ、それが原因で死んでしまう。
病院に駆けつけたジャコの父親は、すでに脳死状態だったジャコの胸に手をあててこう言った。
「さすがだ。心臓は正確にビートを刻んでやがる。」
だあああーーーー!!もう号泣である。
神様はなんていぢわるなんだろう。ほんとうに才能ある人を若いうちに奪って行く。ジミヘンだってそうだ。
この映画とケースはだいぶ違うけど、これもまたミュージシャンの死に様。この悲惨すぎる死は彼を永遠のものにした。誰も、彼を越えることはできないだろう。この先ずっと。
なにげに、マックスとスウィングの淡い恋もいい感じなのだが、ミュージシャン視点だった僕には単なるスパイス程度どまり。
この映画は、このオッサンが主人公なのだ!!

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