はい、先日(24日)で55歳になりました。いろいろとお祝いのメッセージも頂戴し、本当に感謝致しております。ここまでやってこれたのも本当にみなさんとのご厚誼、いただいた応援やご支援があってこそ。改めまして、心より御礼を申し上げます。
それにしても55歳ですか。四捨五入すればとうとう60歳。いやはや、こういういい加減な男が良くもこんな齢まで生き延びてこられたもんだ……。
もっとも、今年の誕生日に関して言うと年齢よりも「10年経ったな」という節目の意識のほうが、個人的には実は強いんですね。
というのは、昨年の初めに出したこの(↓)自叙伝みたいな本(『
炎上! 一〇〇円ライター始末記』)の中にも書いたけど今から10年前、45歳の誕生日だった2009年の4月24日の夜、当時仕事の面でも精神的にもかなり追い込まれた状況にあった私は、初めて心療内科というところを受診しに行きましてですね(^ ^;
そこから鬱病ということになったわけだけど、その後は抗鬱剤の量も種類もどんどん増えていったものの症状は改善せず、一方で仕事もほとんど失い、やがては1日ほとんど床から起き上がれないような引きこもり同然の状態となって、とうとう生活保護を受給するに至るという、まさに階段をガタガタと転げ落ちるような歳月へと突入してしまったのだった。
なんでそんな精神状態に陥ってしまったのかというあたりの話は、それこそ上の本の中に(本当に思い出すだけでも気が滅入りそうになりながら)書いたので、ここでは繰り返さない。ただ、簡単に言えばようするにそれまで「俺はこれからも成長していくんだ」と思っていたのが、45歳になったその日を境に「ああ、俺ってもうポンコツになっちゃったんだ……」という「下げ」モードに入ってしまった、という感じだろうか。
かつて30代の初めにフリーライターになったばかりの頃の私は「本当の意味で良い仕事ができるのは40代の、それも後半の頃になってからじゃないかな」と内心思っていた。で、その40代もいよいよ中盤に差し掛かる頃には「さあ、これからだ」と思っていたのだが、実際にはその日を境に「かくん」となってしまい、本体なら一番元気に働くつもりでいた歳月を完全に棒に振ってしまう格好になった。そういえば先日もこういう記事(「
45歳以上はクビ!? NEC、富士通、コカ・コーラetc.でリストラが進行中」)なんて記事を読んだけど、確かに45歳というのは人の一生においてある種の折り返し点のような時期にあたっているのかもしれない。
世の中的にもその間には「3.11」があったし、自分が育ってきた出版業界がもはや産業として壊滅的な状況にどんどん陥っていったということもあった。従来のような「フリーライター」という職業自体がもはや成り立たなくなりつつあることも、既に5年前に50歳になる前あたりから既に明らかになってきていたし、そうした中でポンコツリストに入ってしまったような自分も、早晩淘汰されてこの業界、あるいは東京という街からは去っていくことになるんじゃないか……と、正直なところ一時はほぼ諦めモードになっていたのだ。
ところがそれがどういうわけかーーというか、そんな私にも応援や支援をしてくださる方々がいたおかげだと思っています。ありがとうございますーー何とかかんとか生きながらえて昨年あたりは本まで出させていただいたほか、去年あたりは「静岡に帰ります」と自ら宣言のうえ「これでもう俺のキャリアも終わるのかな」と思っていたのに、気が付いてみれば今もまだ東京にいて(すみません。本当に -_-;;)フリーライターはもとより、なぜか週刊誌のパートタイム編集者仕事もやったりしながら「あれから10年」の節目を迎えることになってしまった。しかも驚いたことには「平成」のほうが先に終わるというんだからな(・_・;
まあ、ポンコツも10年生き延びれば逆に骨董品としての価値も少しは出てきたんじゃないかとヤケッパチのような受け止め方をおりますけれども(^ ^;)。ちなみに、今でもたまに「生活保護を貰ってるんだって?」と訊かれることがあるんだけど、そちらは既に5年も前の2014年初めには脱している。経済的には相変わらず低空飛行だけど、まあ何とか1人で食えていけるぐらいには稼げるようになった。療内科や精神科に通っていたのもその2014年の末あたりまでで、抗鬱剤も含めて薬の類は(風邪を引いた時の風邪薬などを除けば)この4〜5年は全く飲んでいない。そういえば酒も付き合い以外ではほとんど飲まなくなり、特に自宅ではここ2年半は一滴も呑んでいない。そういう意味では、だいぶ心身ともに改善されてきた感じはする。
(もう一つちなみに、上記の本で過去に仕事してきた雑誌や版元の話をいろいろ書いたせいか「そうしたところから何か言われたりしなかった?」とも時おり聞かれることがあるんですけど、そういうリアクションは私の知る限り、発売から1年以上たった今でも絶無です。はい ^ ^;)
とはいえ、周囲からはこれまでお世話になったりご縁のあった方々、あるいは私がまだ若かった頃に世間の第一線で活躍していた方々の訃報が次々に飛び込んでくる昨今である。私自身だけでなく身内や友人、知人のみなさんも気がつけばだいぶ齢をとってきた。日本の社会全体もはっきり言って先の見通しが明るいとはとてもいえなさそうな雰囲気である。10年前の誕生日を境に「もうこれからは?下っていく”季節なんだ……」というモードに入った状態からは、これはもう抜け出せないのかなとも思うんだけど、ともあれちょっと辛かったこの10年という季節を何とか乗り切ったことの手ごたえも確かめながら、これからも何とか生きていければと思っております。とりあえず、誕生日を少し過ぎてからのご挨拶でした。ではでは。

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