そう、循環論法になるんだよ。
「
『共謀罪』がスムーズに成立する背景」(小田嶋隆)
「共謀罪」法案を成立させようとする(およびそれに賛成する)側にとっての一番の理由は
「
『共謀罪』法案に反対する奴らがいるから」
なんだと思う。法案の細かい中身自体に対するこだわりがやたらアバウト(対象犯罪数が後から277に減らされたとか法務大臣の答弁がひっちゃかめっちゃかだとか)なのもたぶんそういうことで、ようするに通すこと自体が目的なのだ。
まあ、そこは10〜11年前の「共謀罪」反対運動の時にも個人的に感じていたことで、繰り返しになるんだけどね。
実際、今回のことでもネット上で法案に賛成する側が、反対する側を揶揄する際に、よくこんなことを言っていた。
「
反対する連中は、この法律が通ったら自分たちの活動がやりにくくなるから反対してるんだろう」
“アホかお前は”と、そういうのを読むたび思った。別に思想的に左であろうが右であろうが上であろうが下であろうが、自分のやってることや考えてることを取り締まろうとする法律には普通、誰だって反感を覚えるに決まっているではないか。
逆に言えば賛成する側も、この法案が「法案に反対する側を取り締まるための法案」だから賛成だと認めているわけだが、さすがにそれを明け透けに言うのも気が引けるのか(いくらなんでも表向きそんな理由での法律なんか作れないしな)、実際それ以外には今回もあんまり目新しい主張が出てこなかったようだ。あとはせいぜい「テロ対策に必要(もうじきオリンピックもあることだし)」「他の国はもうほとんど条約を批准してるのに」という、政府・与党側が前から挙げているお題目を強調するだけで、そこから延々と嚙み合わない議論が続くだけだったしな……。
(ただ、賛成側も反対側に対してもっといろいろ突っ込めるところがあったんじゃないかという気がする。例えば「そんなに言うなら民主党政権時代に何で批准しなかったんだ」という部分は、早くからもっと突っ込んでくるかと思ったんだけど、何故かあんまりそこは強調しなかったしね。ようするに賛成する側もあんまり真面目に取り組んでいないってことなのかもしれないけど)
んで、この小田嶋さんの論考に対しては反対する側からも「『あきらめる』だなんて」といった批判が出てくるかもしれない。私も、反対運動に(今回はほとんど名前だけの参加になってて申し訳ないのですが)関わっているし、反対運動を行う必要はあると思うので、彼の主張に全面的に賛同するものではない。ただ、反対していくからには「これから覚悟がいりそうだぞ」とのメッセージだと受け止めることにする。

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