「
3年連続赤字の大井川鉄道 24日株主総会」
(読売新聞2014年06月20日付)
まあ、普通に考えれば大鉄(
大井川鐵道)がこれまでやってこれたことのほうが凄いことだと思うんだけど、昨年あたりから「経営危機で連射本数削減もやむなし(何でも以前の群馬でのツアーバス事故以降にSL乗車ツアーの客が減ったとかいう報道も読んだけど)」という話も伝え聞いていたので、かつて子供の頃によく乗った地元出身者としては「う〜む」と思うところです。
個人的には筆頭株主の
名古屋鉄道(名鉄)に任せるより、県や周辺自治体が「地域の貴重な観光資源」かつ「公共交通」との認識のもとに経営の再構築を図ったほうがいいような気がする。
かつて名鉄が岐阜市内〜近郊の路面電車を廃止したのは、岐阜市議会の「名古屋嫌い」と、大昔に「路面電車廃止」を議決したことがあったためとも言われているが、静岡の場合は「名古屋嫌い」(これは岐阜以上にあると思う)はともかく、SL運転で全国的知名度を誇り映画や番組のロケにも使われる大井川鐵道を「廃止したい」とは地元自治体も思ってないだろう。同じ島田市内にあんなに無理して(儲かるわけないのに)県主導で静岡空港を作ったりしたんだからんだから、経営建て直しに向け、少しは智恵の絞りようがあるだろう。
ちなみに、同鉄道北部の実質トロッコ鉄道的な「
井川線」(千頭〜井川)などは普通に考えれば鉄道としてやっていけないのだが、あれは大井川にいくつものダムを建てた中部電力が確か線路を資産として持っていて、赤字分も中電が穴埋めしたうえで、観光用鉄道として人気を集めている。
かつて新たにダムを建設するに際しては同路線の途中区間が水没して「廃止か?」と思われたが、新たに新線が(それもJR信越線の「横川ー軽井沢間」が廃止された今では国内唯一となる「アプト式」による急勾配鉄道として)建設され、「鉄」ヲタ向けを含めた新たな観光スポットととして甦らせた。その背景には、かつて名鉄で看板車両だった「パノラマカー」の開発を手掛け、大鉄に移った後も1970年代半ばの時点でSL動態保存を進めて同社の経営再建を進めた
白井昭さんの経営判断も大きかったと聞く(その意味では今も名鉄が経営のイニシアティブを握っているのは無理ないところなのかもしれない)。
『
黒部の太陽』で有名なダム建設に使われ、今も観光客に人気の高い
黒部峡谷鉄道(関西電力の関連会社)ともそこは通じるものがある。電力会社に依存しているという意味では気に食わないところはあるが、中電も関電も今は原発動かせずにいるし(^_^;)、もともと両路線とも水力発電のために作られた路線だからな(それはそれで問題もないわけではないけど)。
だから大井川鐵道が運営する路線の「廃止」は現実的ではない。だとしたら「観光資源」であると同時に「公共交通」としてもいかに蘇生させるか、だ。
私は前から「大鉄本線(金谷〜千頭)」の始発駅を金谷駅から島田駅に変えればいいのに」と思っていた。現在ではJR東海・東海道本線の静岡駅を中心とした区間は日中でも10分間隔で電車が走るし、通勤時間帯には8〜9両編成が走る。
その西の終端が島田駅なのだが、大井川を渡って西に5分の隣駅・金谷は旧金谷町(現在は島田市と合併)の街外れで、今では名物のSL列車も大鉄で一つ隣り、旧金谷町の中心街にある新金谷駅が起点。他県からのSL乗車ツアー客もだいたいこの駅でバスを降りてSL列車に乗り継ぐ。
しかも新金谷駅のほうが大井川沿いにあって、金谷駅まではむしろ静岡・東京方面に背を向けるように大きなカーブを描いて線路が繋がっていく。だったらむしろ線路を付け替えて、今や同じ市域となった島田駅から新金谷駅まで、静岡駅からの直通電車を走らせるようにすればいいのだ。あるいはSLが島田駅まで直接乗り入れてもいい。そうなれば静岡市民や、静岡で東京からの新幹線と乗り継いでSLに乗りにやってくる客にも便利。なおかつSLに関係なく、新金谷駅ほか大鉄沿線から静岡駅へ通う通勤客需要なども取り込めるだろう(新金谷からなら40分弱で静岡駅まで着けるだろうし、そこから新幹線に乗り継げば1時間弱で東京だ)。
……というわけで少しはそういうことも考えてくれって株主総会にもし俺が出たら言っちゃうんだろうけど、こうして書いてるとなんだか毎号40〜50通の投書しかない『
鉄道ジャーナル』の読者欄(「タブレット」と呼ばれているが、それは今日一般的になっているデジタルデバイスとは全く無縁の、それこそSLが「蒸気機関車」と日本語で呼ばれていた時代に路線運行上も必要不可欠だったアイテムに由来する名称)あたりへの投稿とおんなじような感じになっちゃってるなあ(>_<)。

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