さる1月19日午後に行われた「
【西川口〜蕨】中国人ほか外国人の入国全面禁止要求デモ」という、レイシストというより基地外と呼んだほうがよさそうな趣旨のデモ、およびそれに対するカウンター行動の映像レポートです。
■1.19レイシストデモ@西川口〜蕨1(39:55)
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しかしあまりのデモのお粗末さに呆れたのかどうかしらんが(まあ、どうせやることはいつもとおんなじだからな)機材もUstも呆れたのか、このパート、音声が入ってなかった(泣:ただし最後に回復し、次のパート以降は問題なく音声も)。
集合地点の西川口駅近くの公園に13時過ぎに着くと、現場責任者の有門大輔氏(冒頭でさらりと在特会の悪口言ってた)と、共催のチーム悪即斬・荒巻丈氏が挨拶してたが人数は見たとこ40人くらい? やはりこの界隈も内ゲバとかのせいもあるのか、動員力が落ちているようだ。
機動隊や公安は例によって大勢いるが、それこそ新大久保での警視庁の厳戒ぶりを思えば、埼玉県警のはいかにもユルく、私も止められることなく公園を柵越しにぐるりと囲んだ機動隊の合間から中の様子を中継。
様相が一気に変わったのは13分頃からカウンターが公園前で一気に「デモ中止!」と気勢を上げはじめてからだ。山口祐二郎さんなどお馴染みの面子も集まって「レイシスト帰れ!」「日本の恥」「近所迷惑だぞコノヤロー!」等々、この時点で既にデモ参加者の2倍以上のカウンターが集結。
機動隊にがっちりガードされながら、カウンターがいるのと反対の公園出入り口からデモ隊は背中を向けるように出発(
【後注】後で「
かめちゃん」から「反対側にもカウンターはいましたよ。僕、そっちにいた。機動隊に手前で止められて公園には近づけなかったけど」と教えていただきました。ありがとうございます m(_ _)m)。
それを、続々増えてきたカウンターたちがデモコースに回り込むべく西川口駅前の市街地を(私も含めて)大勢でどかどかと走っていく光景は明らかにこの街にあって異常事態だったことだろう。私も中継を続行しつつひいこら言いながらカウンターのみなさんと一緒に全力疾走。
そしてデモコースの通りに出たら、いつものごとく機動隊が通行規制。公安らしき若い警官にドンッと押されて「どけ! 離れろ!」と言われたんで「命令すんなバカヤロー!」って思いっきり怒鳴りつけたが、先方はそれどころじゃなかった模様。
■1.19レイシストデモ@西川口〜蕨2(42:05=ここからは音声あります)
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西川口のJRを跨ぐ橋の上で機動隊に足止めされるシーンから。跨線橋をゆうゆうと歩きながら西川口の西側に回ったデモ隊に対して、こちらはガード下の遠回りを強いられてまたしても全力疾走でみんなで先回り。
4分30秒頃、デモ隊が右折して蕨へ北上する交差点へ。カウンターの女性が息を切らしながらも「ただいまこの街に差別主義者のデモ隊が通過しております」と道往く人たちにアナウンス。「
ナチス=KKK=在特会一派」の横断幕が交差点角に貼られる。何しろ連中の先頭には白装束にガスマスク、背中にハーケンクロイツをデカデカと描いた旗を背負った男がいる。
(
【後注】上記では「ハーケンクロイツ」と書いたが、ふと下の写真をよく見たらハーケンクロイツとは裏返しの「卍」だった。わざとやったんだか、間違えて裏返しに作ったんだか羽織ったんだか知らないが、いずれにしてもイカれた糞野郎である。とはいえ、書き手として4日後まで気づかずにいたことは素直に反省する次第)
機動隊がカウンターに「歩行者から苦情が来ています。下がりましょう!」と呼びかけるが、一歩行者としてさっきからお前らに苦情言ってる大多数は俺たちなんだよ(笑)。デモに参加していた某女史が「あなたがたこそ日本人でありながら日本人を差別してんじゃないのよ!」(7分35秒頃)とか言ってたが、まあ、こういうバカ発言は本人にそのままお返しすればいい(んだけど、こういう人にはそれを理解するための謙虚さや知的努力が欠如しているので、せいぜい疲れてくたばるまでやらせておけばいいだろう。どうせそう長くはもたないだろうし)。
しかし、はっきり言ってデモ参加者の数倍いただろうカウンターが終始沿道から抗議の声を浴びせていると、連中が単に「外国人が日本にいるのが気に食わない」以上の、いったいここで何を主張したいのかが、まるでわからない(^_^;
埼玉県警の機動隊も混乱してるらしくて「信号が赤ですから!」と我々を止めようとするのだけど、目の前には青信号が点灯しているので構わず渡る(7分50秒頃)。
11分50秒頃から蕨市へ。そもそも今回のデモは「蕨市内の芝園団地に中国人が多い」という言いがかり的な理由で昨年9月に行おうとしたものが今日まで先送りされたというものなのだが、何か見てるともはやそんなのは単なる方便にすぎず、自らの不全感を近くにいる他民族・他国民を罵倒することで解消しようという醜く哀しい人たちの集まりにしか見えない。
(ただし「それはカウンターのほうだってそうだろ?」との批判に対しては、私は否定しない。でも「自分たちの社会にいるマイノリティの排斥を公然と訴える行為」と「それに社会構成員の一人として抗議する行為」のどちらに利があるかと言えば明らかに後者だ。それが根源的な動機では同じにしても、やっている行為において批判されるべきは、まず前者である。もとより後者に対する批判もあって然るべしとは思うが、少なくともああいう外国人排斥を目的にバカなデモをやってる連中の言説には、その説得力はない)
というところで「実況」に戻ると、お馴染み
“火炎人間”こと山口祐二郎さんはこの日も絶好調で「
帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ!」とトラメガで絶叫していた(13分頃から)。「
荒巻! お前オレと一緒に飲んだじゃねーか! 何でそんなにひねくれちまったんだよ! 有門! お前オレと一緒に中華料理食っただろーが! 何でこんなデモしてんだよ!」と、この辺は水面下での結構複雑な人間関係があるのだ(^ ^;
先頭にいた前記の「ハーケンクロイツ」(
【後注】上記した通り実際は「卍」)の白装束男に対して「
ナチスは帰れ! ナチスは帰れ!」のコールも湧き起こる(23分頃〜)。
遠目にはナチスの逆鉤十字と誤解されても仕方がないし、そもそもデザインからしても明らかにナチスのそれを模して挑発していることは明らかで(
デモの案内でも「
例外的にナチ党旗・ハーケンクロイツは認めます」と書いてあったし)、カウンター側からそうした罵声が上がったのも無理のないところである。
この日は海外のメディアは来てなかったみたいだけど、たぶんあれが国際的に報道されたら大問題になってたんじゃないかな。ここは埼玉県だけど、6年後のオリンピックじゃ埼玉スタジアムもサッカーの会場に使われるそうだし。
■1.19レイシストデモ@西川口〜蕨3(20:03)
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さらに泥沼のデモvsカウンターは続く。蕨市街地の終着点が近づいていた頃、道端で不安気に見ていた小さな男の子たちに聞く(1分55秒〜)。
「何やってるかわかる?」
「わかんない」
「ちょっと頭おかしいんじゃないかって……どう思う?」
「こわい」
「こわいよね。あんまり近寄んないほうがいいよ」
結局デモ隊は本来の目的だった(中国人の方々が多く住むといわれる)団地の前までのデモコースは許されず、近所のマツモトキヨシのある角で蕨駅方向へ右折(しかし後で訪ねたらカウンター側は万が一を見越して数人を配していた)ため、なんかやたら複雑なコースを歩いて蕨駅前へ。
上手い具合にデモ隊と鼻先まで迫れて「何か言いたいことない?」って聞いたら帽子盗られた(笑:すぐ機動隊員が取り返してくれたけど、2〜3回は踏んずけてくれたかな? だったら光栄だぜ ^‐^v)
「
お買い物 お食事は西川口・蕨で!」との男性(上の写真とは別の方)に聞くと「こんなにたくさん来ているんですから、お金を落としてってください」とのこと。その通りだよな。
でもあいつらどうせ最後は「集団下校」で帰っちゃうんだろう。川口に中国人が多いのは問題だみたいなことを言いながら、地元の商店街に全然経済効果を与えずに帰っていくエセ愛国者どもめ(他のデモ開催地でもそうなんだよな)。
15分頃、蕨市内の終着地点にデモ隊到着。このすぐ裏手がJRの蕨駅ということで、「集団下校」には良いと判断されたらしい。
「ネトウヨは日本の癌」(どす黒く染まった日の丸入り)とかかれたプラカードを掲げた和服の女性らが「帰れ!帰れ!」「家にこもって出てこないでくださーい」と、道路の対岸に向かって叫ぶ。ともあれ、結構長時間のデモだったため、ここでWiFiの電源が尽きて中継が終了f(^_^;
後はなけなしの電源振り絞って撮ったデモ終了時の超短時間映像。
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終了後、取材に来ていた西中誠一郎さんたちと一緒に、当初“連中”が標的にしていた団地まで様子を見に行くと、前述した通り警戒していたカウンターの人たちや、地元・川口市の市議の方々もやがてやってきたので話を聞く。幸い、団地周辺ではトラブルは起きなかったそうだが、例によって「集団下校」した“連中”のおかげで蕨駅が大混雑したとか(警察は駅構内でデモ参加者とカウンターが遭遇することによるトラブルをさけるため、デモの際は常に「集団下校」側を優先し、カウンター側は連中が電車に乗って帰るまで足止めを食うのだ。
もう少し周辺で取材もしてみたかったけど、この後は原稿仕事もしなければならなかったので、大人しく帰路に。と言いつつ蕨駅前でまだたむろしていたカウンターの人たちとも会話。前日の在特会の六本木デモ(カウンター側が一人、自転車で突入して逮捕された)件などについて話を聞いた後、「今年もよろしく。っていうか、なるべくこういう機会が早くなくなったほうがいいですね」と互いに笑いあいながら別れる。帰路の京浜東北線の座席に腰掛けた途端にどっと疲れに襲われた(何しろ昼前からずーっと立ちっぱなしどころか途中何度も駈け足しながら中継してたんだからな)。ともあれ、2014年も引き続きこういう取材が続くことになりそうである。

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