2022/3/2
「とんでもない思い違いかと思ったらそうでもなかった話」〜ホワイトボードの怪 言葉
テーブルの上の置いてあったマジック・インキ、
見ているうちにとんでもないことに気づいた。
「PILOT Wytebord Marker」
ホワイ・ジャパニーズ・ピープル、ホワイ「Wyte」。
という話。

(写真:フォトAC)
【ホワイ? ホワイトボード(Wytebord)】
母の家でテーブルの上にあった黒いマジックペンが油性か水性か分からなくて、まじまじと見ているうちにとんでもないことに気づきました。なんとそれは「Wytebord Marker」だったのです。私はもう何十年も「whiteboard(ホワイトボード=白い板)」と思い込んでいましたのでびっくりしました。ホワイトの「Whi」が「Wy」になっているだけでなく、ボードの「boar」の部分も「bor」です(下の写真)。

では「Wytebord」が「白い板」でないとしたらなんぞや、ということになってGoogle翻訳にかけたら、なんとやっぱり「ホワイトボード」でした。「whiteboard」はホワイトボード、「Wytebord」もホワイトボードと言うわけです。ただし後者には「原文の言語:ウェールズ語」という注釈がつきます。何と唐突な。
なぜウェールズ語などという特別な言語を使う、普通の英語でいいじゃないか――と思って調べたら、ここには大人の事情があって、要するに登録商標の関係でパイロット社は「whiteboard」が使えなかったらしいのです。カタカナで書けば同じ「ホワイトボード」だし、英語表記にこだわる人も多くはあるまい、といった感じでやったものかもしれません。
【元々とんでもない勘違いをしていることが多い】
私がこんなつまらないことに飛び上がらんばかりに驚いたのには、特別な理由があります。かねてから申し上げている通り英語のまったくダメな私は、とんでもない勘違いをしていることがしょっちゅうなのです。
例えばフリーマーケット。これを自由市場だと思っているから社会科の授業でも、
「織田信長の楽市楽座、これは言ってみればフリーマーケット・フリーギルド(*)だ!」
などと言っていたのですが、フリーマーケットのフリーは「free(自由)」ではなく「flea(蚤)」。信長が「蚤の市」を開いていたとなると、だいぶ人間が小さく見えます。
私は「フリーマーケット」も「蚤の市」も両方知っていたのですが、同じものだとは知らなかったのです。
*ギルドは中世ヨーロッパの商人・職人組合。子どもたちには雰囲気と勢いで理解してもらう。
同様にホテルのスイートルームは新婚向けの「甘〜いお部屋(sweet room)」だと思い込んでいたら、「スイート(suite)」は「スーツ(suit)」と語源を同じくする「一揃いの」という意味でした。だからスイートルームは「複数の部屋が繋がっている客室」ということになります。これは最近の知識。
他にも「雨天コールド・ゲーム」のコールドを「cold」だと思い込んでいて「凍るど!」などとダジャレで遊んでいたのも、実は審判に「called(宣言された)」という意味でした。そう言えば日没や点差が開き過ぎた場合もコールド・ゲーム。寒くなくても「凍るど!」というのはどう考えても変です。
他にもとんでもない勘違いをしている言葉はいくつもあると思うのですが、思い込みが激しすぎて違和感を持つ機会もありません。
しかし今回は勘違いではありませんでした。

2021/11/30
「新型コロナのクサイ話、それから空飛ぶカッパの話」〜ギリシャ文字について 言葉
南アフリカ由来の新型コロナ変異株、オミクロンと名づけられたそうです。
アルファ株から始まった警戒すべき変異株(VOC・VOI)の13番目で、
当然ニュー株になると思ったらまさかのオミクロン。
そもそもデルタだのオミクロンだの、何だったっけ?
という話。

(写真:フォトAC)
【コロナに関するクサイ話】
日本国内の感染状況が落ち着いているのと根拠のない楽観的な気分で「放っておいても感染は止まる」とか「たぶん第六波は大したことはない」とか言ってきましたが、オミクロン株とかいうのが出てきて多少こころがざわついています。しかしうろたえずに様子を見て行きましょう。
ところで今回のオミクロン株の「オミクロン」、何かというとギリシャ文字アルファベットの15番目の文字なのです。最初にイギリスで発見された変異株がアルファ株、続いて南アフリカのベータ株、ブラジルのガンマ株、そしてインドのデルタ株という順になり、さらにそのあとイプシロン株、エータ株、ゼータ株と全部で12の変異株が記録されていたようです。
デルタ株があまりにも強力で世界中に広まったため、それ以後の変異株は注目されなかったのです。
今回南アフリカ共和国で見つかった2度目の変異株は13番目ですから当然「ニュー株」となるところですが、突然ふたつ飛ばしてオミクロン株になりました。ギリシャ文字の13番目は「N(ニュー)」で「新しい(New)」と混同しやすいので避けるのは当然としても、14番目の「Ξ(クサイ)」は避ける理由がわからない。
・・・と思っていたら、「Ξ(クサイ)」の英語表記がxiで、中国の習近平国家主席の「習」と同じ英語表記になるところから、中国寄りと言われるWHOのテドロス事務局長が忖度して、外したのではないかと言われています。
ありそうで、なさそうな――いずれにしろクサイ話です。
ただ、このニュースは私の気持ちを挫きました。というのはギリシャ文字のアルファベットは私のウンチク話の十八番(おはこ)のひとつで、アルファ株・ベータ株・ガンマ株について「これはギリシャ文字のアルファベットでうんぬん」と、一発ブチかまそうと考えていたからです。ところが頃合いを見ているうちに、新しい変異株の名前がふたつ飛ばされたことでマスコミが一斉に書きたてて、私の計画は台無しになりました。まあ、仕方ないですね。
【カッパが宇宙に向かう】
ことの始まりはロケットです。
私が高校生だった1970年、東京大学宇宙航空研究所は日本初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げました。これで日本はソ連・アメリカ・フランスに続く第4の人工衛星打ち上げ国になった――と言えば誇り高いのですが、前年の1969年にはアメリカがアポロ11号を月に送り込んでいますから、いまひとつ盛り上がりに欠ける感じもありました。そのとき「おおすみ」を宇宙に運んだロケットは、ラムダロケットと名づけられていました。
ラムダロケットは1960年から運用の始まった観測ロケットで(のちに打ち上げロケットに改良)、定評のあるカッパロケットに続くものです・・・と、そこで私は引っかかったのです。日本のロケット工学の最先端を走っていたロケットに「なんでカッパなどというふざけた名前を付けたのか」、それは小学校のころからずっと不思議に思っていたことでした。
当時はインターネットなどありませんでしたから、ひとつ疑問が浮かんだら答えにたどりつくのは容易ではありません。学校の図書館の百科事典ときたら、太平洋戦争ですら終わっているかどうか怪しい代物で、結局、本屋で立ち読み研究をしたか市立図書館へ行ったかして、ようやく答えにたどりついたのだと思います。
カッパやラムダがギリシャ文字のアルファベットだと分かると、それまで不思議とさえ思わなかったさまざまなことが分かってきます。
放射線のアルファ線・ベータ線・ガンマ線だとか、数学で使うπ(パイ)・Σ(シグマ)・θ(シータ)、理科や技術家庭科で使ったΩ(オーム《オメガ》)、そういえば時計のオメガ社のマークも「Ω」ですし、「シグマ」とか「ラムダ」とかいった自家用車もあった気がします。
ロケットに話を戻すとラムダロケットの後継機は「M(ミュー)」でした。ただしニュースなどでは「エムロケット」と発音されることが多く、私は心の中で「エムじゃなくてミューだろう」と悦に入っていたのです。その次は当然「N(ニュー)」で、さあニューロケットだと思ったらだれも「ニュー」とは発音せず、「エヌロケット」としか言わない。さらに「Nロケットの『N』はNipponの『N』です」などと専門家が言い出す始末。
Nが終わったら次が問題の「ξ(クサイ)」ではなく「H」。聞けば燃料に使っている水素の元素記号だそうです。
その次に開発されたのは「J」。当然Japanの「J」かと思ったらジョイント(joint)の「J」だとか(さまざまなロケットの部分をつなぎ合わせたので)。で、最新鋭はどうなったかというと、なぜかギリシャ文字の変な位置に戻って「ε(イプシロン)」です。
訳がわからん。
かくして私のギリシャ文字ウンチク話は、大学在学中に頓挫してしまったのです(Nロケット打ち上げは1975年)。
【イプシロンロケットの由来】
おそらくNロケット開発中に誰かが気づいたのです。N(ニュー)はまだしも、その次は「クサイ」だ。カッパもヤバかったが「クサイロケット」で国民の理解は得られるのだろうか――。そこから急遽Nの読み方を「ニュー」から「エヌ」に変更して「Nippon」の頭文字ということにしたのではないでしょうか。そのあとは自由に名をつけられます。
しかしそれにしても、なんで今さらのイプシロンなのだ?
調べたらWikipediaに説明がありました。
イプシロン (Ε) の名前は、ラムダ (Λ) ロケット・ミュー (Μ) ロケットなど日本で開発されてきた固体ロケット技術を受け継ぐ意味を込めギリシア文字が用いられた。(中略)イプシロンロケットが、ミュー (M) ロケットを受け継ぎながら、全く別次元に変身したロケットなため「m(ミュー)」を横倒しにした「ε(イプシロン)」と命名されたことが明らかにされている。
まあ、いろいろやりますナ。
《参考》
大文字 小文字 名称
Α α アルファ
Β β ベータ
Γ γ ガンマ
Δ δ デルタ
Ε ε イプシロン
Ζ ζ ゼータ
Η η エータ
Θ θ シータ
Ι ι イオタ
Κ κ カッパ
Λ λ ラムダ
Μ μ ミュー
Ν ν ニュー
Ξ ξ クサイ(グザイ)
Ο ο オミクロン
Π π パイ
Ρ ρ ロー
Σ σ,ς シグマ
Τ τ タウ
Υ υ ウプシロン
Φ φ ファイ
Χ χ カイ
Ψ ψ プサイ
Ω ω オメガ

2020/9/17
「深刻なことにまともに向かい合えない頭脳の話」〜ドコモ口座とコロナ感染 言葉
深刻な問題なのに頭に浮かんでくるのはオチャラけた話、
誰が考えたってそれをやったら怒られることを平気でする、
どこかに共通点はあるのだろうか?
それにしても頭のタガが緩んでいいないかい? 気をつけよう。
という話。

(写真:フォトAC)
【ドコモ口座とコロナ感染】
昨日はドコモ口座の話から始めましたが、この「ドコモ口座」という言葉、気持ちにしっくり馴染んでいます? 私は文字を何度見ても、ネット上の銀行口座というより田舎の素人劇団のイメージが浮かんでくるのです。だって、
「ドコモ口(どこもろ)座(ざ)」ですよ。
どう見たって田舎劇団か劇場の名前でしょ?
しかも劇場だったらステージ上でやっているのはフラダンス。頭の隅でハワイ料理の「ロコモコ丼」がちらついているのです。
先日、テレビでニュースをつけながら別の仕事に気を取られていたら、こんな言葉が聞こえてきて思わず顔を上げました。
「皆様が安心して感染できるように・・・」
新型コロナ関連のニュースであることは頭の隅にあったので感染に関わる話だとは分かっていたのですが、まさか「安心して感染」など――と思ったら、画面には野球場の風景が流されていました。
10月から観客を増やすために、「皆様が安心して観戦できるように、さまざまな対策を考えていきます」という話でした。
そりゃそうだな。
こうしたダジャレ思考についてはつい2か月ばかり前に書いたばかりです。
2020/7/13「横滑りする思考」〜ダジャレ頭がサビついて困っている
そのとき例に挙げたのは、
「川が雑炊(増水)している」
「容疑者が避妊(否認)している」
「PCR検査で新たに妖精(陽性)になった」
の三つで、考えてみると「どこもろ座」にしても「安心して感染」にしても、茶化して遊んでいいような場面ではありません。真面目に、深刻に扱わなくてはいけない話です。
それがなぜ、こんなことになるのか――。
そう言えば私以外にも、緊張感の高いところでふざけたことしか思いつかない頭脳というのに、再三、会ってきました。
【深刻な場面で場違いなことをしたがる子たち】
中学校の生徒指導の現場で、何を訊いてもまったく答えない生徒に対して、イラついた私が怒鳴り声を上げて、
「黙っていたら何もわからんじゃないか! ウンとかスンとか何か言ったらどうだ!」
と怒ったら、ほんとうに、
「スン」
と答えた子がいました。
火に油を注ぐというのはこのことで、そのあとこの子は私から、血反吐が出るまで怒鳴られました(もちろん誇張表現)。今から考えると見かけ以上に緊張していて、おもわず恐怖からそう答えたのかもしれません。
小学校の子どもたちはさらに単純な世界に住んでいます。学校農園に草取りにいったらふざけて学級表示の看板を抜いたヤツがいて、
「何してんだ! オマエは!」と怒鳴ったら、
「く・・・草と間違えました」
そう答えた小学校1年生。そこそこ大きな看板を持って震えながら「草と間違えました」と答える姿には、私の方が茫然としました。
さらに(これは小学校5年生ですが)、空き教室で1対1で怒鳴っていたら、私を見る目が空洞みたいになって、次第に体が小刻みに震え出し、私が、
(これはヤバイかもしれない・・・)
と思い始めたとたんにいきなりバンザイの仕草で両手を挙げて、そのまま両方の親指を耳の穴に突っ込んで、
「ベーロベロ、バー」
とやった子がいました。
あとで聞くと、あまりにも緊張感の高くなった場を和ませようと、咄嗟に思いついたのだそうです。“そんなことやったら絶対だめだろう”という考えはまったく浮かばなかったみたいです。
【それとは違うと思うけど・・・】
いくら何でもこの歳で、災害や新型コロナに怯えてダジャレで気を紛らわしているとは思えないのですが、もしかしたら文脈から無意識のうちに単語の意味をつかむという選択装置が緩んでいるのかもしれません。
真面目な場面で奇妙なダジャレにとらわれる私の頭は仕方ないとしても、それを口に出さないよう、人様と話すときは場をわきまえようと思います。
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2020/7/13
「横滑りする思考」〜ダジャレ頭がサビついて困っている 言葉
もともと思考が深まる性格ではなく、
連想に囚われたり気移りしたりすることも多かった。
しかし連想したことがいつまでも離れないというのは最近のことだ。
いよいよ頭がサビついてきた。
というお話。

(「森の妖精」フォトACより)
【横滑りする思考】
若いころからものを考えるとき、深く考えるよりは連想に足を取られることが多かったように思います。
もちろん思春期には深く思い詰めることもありましたが、それは感情が沈潜することであって思考の深まりとはちょっと違いました。
それは例えば数学の応用問題で、あと一歩、あと一分、集中力を途切らせず頑張れば解けるといったところで乗り越えられない根性のなさ、あるいは移り気、そんな感じのものです。
ひとの話を聞くときも同じで、もちろん相手の話の進む先を漠然と予想したり楽しみにしたり内容を吟味したりしながら聞いているのですが、同時に頭の隅で関連する別の何かに気を取られたりしていることが少なくありません。その「気を取られたりしていること」に完全に心奪われるということはないので、「うわの空で聞いている」と非難されたりトンチンカンなやり取りになって恥をかいたりということもありませんでした。しかし余計なことを考えている分、会話が深まって行かないことはあったのかもしれません。
この“ものごとを考えている最中に関連する何かに心奪われること”――を、私は「思考の横滑り」と呼んでいます。私自身に関して使うだけで一般化する気もなく、他人の思考についてとやかく言う気もありません。
使い方は、
「ああ、ダメだ。思考が横滑りし始めた」
とか、
「横滑りでほとんど前に進まない」
といったふうです。
【誉めるなら笑え】
日常生活では、「思考の横滑り」はしばしばダジャレを生み出します。言葉の本来の意味だけでものごとを考えていればいいのに、同音異義語に足を取られるのです。それを口にするとダジャレになります。
それでも若いころはそこそこウケることもあって会話に弾みをつける上で便利だったのですが、本質は変わっていないのに歳を食っただけで「オヤジギャグ」と言われるようになり、家族からは迷惑がられ、家庭内では基本的に「いたずらに反応しないのが正しい反応」というようになっています。
稀に娘のシーナだけが二コリともせずに、
「お父さん、今の、良かった」
と誉めてくれるのですが、“誉めるくらいなら笑え”というのが私の本音です。
その「オヤジギャグ」に最近サビが出てきて困っているのです。本来の意味とダジャレの間で、行き来がスムースにできなくなっているのです。同音異義が混乱する――。
【オヤジギャグがサビつく】
たとえばどんなことかというと、ほんとうに不謹慎で情けないのですが、今のこの時期、
「河川が増水する恐れがありますので・・・」
というニュースを聞くと「雑炊」が浮かんでしまうのです。荒れた川を雑炊の入ったお椀が流れていくといったところまではいきません。「ゾウスイ」は頭の中で8割くらいまで「増水」なのですが2割くらい「雑炊」という言葉が入り込んで、事態の深刻さにしっかり向かい合えないといった感じなのです。
「〇〇容疑者はいまのところ避妊しているとのことです」
・・・よほど特殊な犯罪でない限り、容疑者が「避妊」しているかどうかは問題になりません。したがってここは「否認している」が正しく、もちろんそんなことは分かっているのですが「避妊」がちらつく。
さらに不謹慎な話で最近やたらとちらついているのが、新型コロナ関連の話です。
「昨日のPCR検査で新たに陽性になった人は○○名でした」
このニュースで聞き間違えをする人など絶対にいないと思うのですが、私の頭の隅では「新たに妖精になった人」が飛び回っています。
【悪い予感があたりつつある】
いつ頃からこうなのかというと、最も確かで最近の記憶は2年前の「信玄GO!(新元号)」です。
このブログで「ポケモンGO!」みたいな位置情報ゲームを地域限定でつくって配信したらどうか、例えば上田市の街中をみんなで走り回って城を攻める「真田 de GO!」なんかはどうか、と書いたのが2016年7月(2016/7/29「ポケモンGO!」2〜「真田 de GO!」)。
それから3年たった2019年の3月に初めて「横滑りする思考」について書いていて、そこで「信玄 GO!」に触れたうえでわざわざ、
最近、もしかしたら次第に「自分自身も困るレベル」に向かっているのではないかと、心配になる出来事がいくつか続くようになってきたのです
と書いているのです。(2019/3/18「横滑りする頭」〜正の転移、負の転移)
それから1年4か月。
私の悪い予感は当たりつつあるのかもしれません。
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