2021/5/17

「スマートトラッカーが便利だった話」〜珍しく購入した新製品の手ごたえ  文具・道具・器具


 珍しく商品の紹介をしよう。
 スマートトラッカー「Tile Mate(タイル・メイト)」
 鍵や財布に付けて、なくしたときに音を出させる装置だ。
 忙しすぎる人や認知に問題を抱え始めた人には最適。
 私は妻のために買った。
 もちろん忙しすぎる人、ということで――。

という話。
クリックすると元のサイズで表示します
(写真:SuperT)

 我が家は非常にケチな家系で、だからこんなものを買いました、便利でした、という話はめったにしませんが、3か月前に購入したスマートトラッカーのTile Mateというのがけっこう役立っています。


【スマートトラッカー】

「スマートトラッカー」は「スマートタグ」や「忘れ物防止タグ」「アイテムトラッカー」とも呼ばれ、要するに落とし物・なくしものを探す道具。鍵や財布に付けて音で知らせたり、スマホや専用親機から位置を確認したりできる装置です。
 付ける対象は鍵や財布以外にもスーツケースやバッグ、場合によってはスマホ・ケータイ・パソコン・メガネ・重要書類など、“なくし易く、なくしたくない”あらゆるものが考えられます(人間としての尊厳とか正しい心というのはなくし易いものですがダメです)。

 付け方としては鍵やバッグならキーホルダー型、財布やパソコンならカード型を直接挟んだり両面テープで貼り付けたりといった方法があります。

 また、なくした場合の探索の仕方としては、スマホと対応させるものと、そもそも親機があってそこから探すものとの二通りがあるようです。

 後者については子機が6個くらいついているのが一般的で、私のように財布がない、スマホがない、メガネはどこ行ったというような人間には向いていますが、スマホと連動しているわけではないので出先でなくした場合は親機を家に取りに戻るか、そもそも親機を持ち歩くしかありません。私だとその親機自体をなくしそうです。
 したがって自宅の中だけで使うとか、海外旅行に一式持って出かけるとかいった場合以外は、あまり使い道はなさそうです。

 それに対して前者の方は、日常、スマホを持ち歩かないということもありませんからどこでものをなくしても平気です。ただし子機に当たるものが1個で2000円以上もして、先に紹介した親機=子機方式の6個セットとほぼ同額ですので考えものです。
 今回、購入を考えたのは私自身の分ではなく、まだ職を持っていて年じゅう忙しく動き回っている妻のものですので、出先でなくすことも考え、スマホ連動のものとしました。


【Tile Mate (2020)】
 あれこれ悩んだ挙句に購入したのは、Tile Mate (2020)という製品です。Amazonで2015円でした。決め手は電池交換ができるということで、たぶん1年に数回しか必要ない製品に電池寿命3年の使い捨てを買う気になれなかったのです。全米で一番売れているという謳い文句にも誘われました。

 機能は大きく分けて四つ。
 まず、なくしたものを探し出す機能。妻は車のキーに付けたのでキーを探したいときにスマホの専用アプリを立ち上げ、ボタンを押すと遠くで元気の良い電子音が鳴ります。ただしBluetoothでの呼び出しですので最大60mを越えると反応しません。

 2番目は、これが案外役立ちそうなのですが、Tile Mateの中央のボタンを押すとスマホが鳴るという仕組みです。スマホの紛失は通常、近くにいる人に電話をかけてもらうことで解決しますが、人がいなかったり番号を渡したくなかったり、そもそもなくしたことを知られたくなかったりする場合には便利でしょう。

 三つ目の機能は、まだ使ったことはありませんが、最後にスマートフォンとTile Mateの接続が切れた(つまりなくした)場所と時間を、アプリの地図上に表示するというものです。落とした場所に検討をつけて探しに行くことができます。近づいたら、そこで再びアプリから音を出させれば見つけることができるはずです。

 4番目は、これも使ったことがないので実際は分からないのですが、同じTileを使っている人たちをネットワークのようにつないで、自分のTileのありかを探す機能です。Tileを持っているという特殊な人と人とを繋ぐわけですから、もしかしたら渋谷や新宿の駅前あたりではうまく行くかもしれませんが、私の住む田舎の畑道ではムリでしょう。Tileを持ったどころか、ヒト自体が通りませんので。

 以上が基本的な動作ですが、別料金(月額360円、年額3600円)を払えばさらにさまざまな機能が追加されるみたいです。

 例えばレストランで食事をしてそこでキーを置き忘れた場合、会計をして外に出ようとするとスマホがなるといったことです。ことさら「食事をして」という話にしたのは、一定時間(5分〜10分)その場に留まらないと機能が発動しないからです。例えば自転車で移動中に落としたというような場合は知らせてくれません。
 日常遣いという意味では年額3600円に見合うとも思いませんから、海外旅行に出たときに1カ月分だけ契約するといった使い方でいいようにも思いました。


【実際どうだったのか】
 妻が「鍵がない!」というのは日常茶飯事ですが、スマホアプリを立ち上げるまでもなく、数分で見つかることがほとんどです。
 しかし3月上旬、鍵が家にあることは100%確実なのに(というのは自宅の駐車場に妻の車があり、帰宅後一度も外出していなかった)、どうしても見つからなかったときは大変でした。そこでTile Mateのお世話になったのですが、なんとその時はコタツの中から返事があったのです。
 疲れて家に帰ってすぐにコタツに入り、横になって一休みしたときにズボンのポケットから落ちたようなのです。これだとTile Mateなしでは絶対見つからない。おそらく春になってコタツを片付けるまで発見できなかったことでしょう。

 もうひとつは、逆にスマホをなくしたときです。
 勤務を終えて職場を出ようとしたときスマホがないことに気づき、おそらくここだろうと思われる部屋をくまなく探しても見つからない。同僚はすでに帰宅して固定電話のある部屋は遠い――。そこで思い出したのが車のキーに付いたTile Mateで、試しにボタンを押してみるとやはり部屋の中から呼び出し音が聞こえたそうです。
 スマホはその部屋の整理棚の引き出しに入った、書類綴りの間に挟まっていたのです。引き出しの中は見たものの、その間に挟まっている可能性までは思いつかなかった。なぜそこに入れたのか、まったく記憶にないと言います。そんなものでしょう。忙しい人間は時にとんでもないことをしでかすものです。

 こういう製品はトラブルがなければただの飾りです。しかし役に立つときはほんとうにありがたいもの。スマートトラッカーがあって本当に助かったというのはその二回だけですが、3か月で2回、そう考えるとかなり安い買い物だった気がします。

 数年後、もしかしたら私が首にTile Mateをつけられ、そのつど妻のスマホで探し出されているかもしれません。そうなるとさらに安い買い物だったと言われるでしょうね。

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2020/7/6

「欲の深い人間かどうかをテストする」〜Fire TV Stickとペディグリーペット詐欺  文具・道具・器具


 新しいFire TV Stick を購入した。
 そこで見た映画に面白い場面があったので紹介する。
 自分が欲深い人間かどうかをチェックするテストだ。

というお話。
クリックすると元のサイズで表示します
(「犬(ペキニーズ)」フォトACより)

【新しいFire TV Stickを買った】
「Fire TV Stick 4K - Alexa対応音声認識リモコン付属」という装置を購入しました。アマゾンのサービスのひとつ、アマゾン・プライム・ビデオをテレビで見るための道具です(コンピュータだとアマゾンのサイトから直接見ることができる)。アマゾン・プライム・ビデオには相当な数の映画が入っておりプライム会員ならほとんどが無料で見られるのです(一部有料)。

 実は数年前に4Kではない「Fire TV Stick」を購入してけっこう楽しんでいたのですが、ここのところ機械の調子が悪く、起動に時間がかかったりフリーズしたりでとてもストレスだったのです。
 当面4Kテレビを購入する予定はないのですが、いずれは買うことになります。そこで思い切って割高の「Fire TV Stick 4K」の方を購入したわけです。

 その結果どうだったのか、ひとことで言えば、
「もっと早く買い替えればよかった――」
です。とにかくサクサクとよく動く。待機時間もやや少ない感じです。新しいリモコンには以前はなかった音量ボタンがついており、電源ボタンもミュートもあってとても便利です。

クリックすると元のサイズで表示します もっとも私の場合、最近は映画よりも音楽を聴くことが多く、同じ「Fire TV Stick」からアマゾン・ミュージックを呼び出して聞くのを常としています。テレビにはサウンドバーシステムを接続してあるので音質がいいのです。昼間はたいていジャズをかけっぱなしにしていて、音楽が始まるとウサギの「ミルク」がやってきて、部屋の隅でマッタリとしていたりします。

 妻は私と違って音楽よりもテレビです。“ながらテレビ”のできる人で、推理ドラマの途中で何かに熱中して謎解き部分を見落としてもまったく苦にならないという特技を持っています。その妻が先日、新しい「Fire TV Stick」で「コンフィデンスマンJP ロマンス編」(2019)を見ていて、その冒頭に面白い場面がありましたので紹介します。


【ペディグリーペット詐欺】
 主人公のひとりを演じる長澤まさみが喫茶店のテラス席に座っていると、一匹の毛むくじゃらの白い犬(ペキニーズというのかな?)を連れた若い女性が現れます。彼女は自分と長澤まさみの間に犬をつなぎ、長澤が「まあ、かわいい」と近づくと、さりげなく「彼氏さんからのプレゼントなの」と紹介します。
 それから携帯で誰かに電話するのですが、「えー、どういうこと?!」と突然、声を荒げ、聞かれたくない内容なのか携帯を耳に当てたままその場をいったん去ります。そこへ今度は初老の紳士が現れて、
「おや、マーブルアイですな、これは珍しい。私はブリーダーをしているのですが、良かったら100万円で譲ってくれないか」と持ち掛けるのです。長澤が、
「いえ、この犬は・・・」
と言いかけると紳士は、
「いや今すぐに返事をということではないのでよく考えて、その気になったらここに電話をください」
 そう言って名刺を預け、その場を立ち去ります。そこに先ほどの若い女性が戻って来ます。大きな声をあげて、
「ああ!フラれた! もうそんな犬、二度と見たくない! だれか引き取ってもらえないかな、10万円くらいで!」
と叫びます。
――さてそこで問題です。このあと長澤はどうしたのでしょう?

 テレビの「コンフィデンスマン」を一度でも見たことのある人ならこれが詐欺師の話だと知っていますから簡単には引っかからないと思いますが、そうでなければイチコロでしょう。

 これは「ペディグリーペット」と呼ばれる古典的な詐欺で、欲をかいた人間はその場で10万円を渡し、売れるかどうかも分からない雑種犬と、決して通じることのない電話番号の書かれた名刺を手に入れることになるのです。若い娘と初老の紳士はグルです。

 詐欺にかかりやすい人間のひとつの特性は「欲が深いこと」です。もちろん金銭に淡白すぎるから引っ掛かる詐欺というのもたくさんありますから一概には言えないのですが、映画を見ながら一緒にペディグリーペットに引っ掛かりそうになったあなたは、おのれの欲に注意した方がいいのかもしれません。

 私?
 私は大丈夫です。きちんと働いて手に入れたお給料や年金以外には、すべてに呪いがかかっていていると信じているような臆病者です。あぶく銭からは危険の匂いしかしません。
 映画のような詐欺の場面に遭遇したら、犬を連れたお嬢さんに名刺をさしあげて、「今ここを通りかかった紳士が100万円で買うと言っていましたよ」と教えてあげるに違いありません。
 たぶん・・・。



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2020/6/2

「“できる女”は複数の手段をもつ」〜ファックスの何が悪い!A  文具・道具・器具


 できる人間は複数の通信手段をもって用途別に生かす、
 たぶんそうだ。
 そして賢い国民も、古い通信インフラを容易に手放さない。
 それは必要で、安全対策として有効だからだ。

というお話。
クリックすると元のサイズで表示します
(「カフェで打ち合わせするビジネスマンとビジネスウーマン」パブリックドメインQより)

【小憎らしいほど格好のいい人を見た】
 二年ほど前のことだったと思うのですが、東京から自宅に戻る電車の中で、気になる人を見つけました。ガラガラの車両の斜め前に座っていた上下黒革のスーツの、20代とおぼしき人です。
 短髪で耳にピアスをしているものの爪は短く、マニュキュアの色もなく、指輪もしていない。華奢な体つきの男性とも、いかつい感じの女性とも、どちらにも見えます。女性だったら宝塚の男役系です。とにかく格好がいい。

 座席の前の折り畳みテーブルにパソコンを置いて、足を組んだまま何か仕事らしきことをしている、その姿が実に絵になる。まるで40年前の自分を見ているようです(もちろんウソ)。

 だいぶ時間が経ってからその人は仕事の手を休め、いったんPCを閉じるとバッグからタブレットPCを取り出してメールとLINEのチェック。再び仕事に戻るとそこに車内販売がやってきてコーヒーを注文する声で女性と分かりました。
 なんかすごいでしょ?

 スマホでなくてタブレットでメールとLINEのチェックというところが“仕事のできる女”感満載です。
 しかしそれだけならまだしも、私を心そこ感動させたのは、降車駅が近づいたようでPCの片づけを始めた女性が、最後にポケットからガラケーを取り出して、何かを確認し(たぶん着信履歴)、またポケットに滑り落として颯爽と降りて行ったときでした。
 カッ、ケ〜〜〜〜!! 

 最後まで拝顔の栄には賜りませんでしたが、もう顔なんてどうでもいい。少なくとも3種類の機器を用途に合わせて使い分けるなんて、同じ列車で付属テーブルにスマホを横置きにして、ちっぽけな折り畳みキーボードでちまちまブログを書いている私とは大違いです。できれば私も格好よくガラケーを取り出してみたいものです。もちろんこの年齢ですから、スマホやタブレットがあることを見せびらかしてからでないとできないことですが。


【ボクの家にはファックス付きの固定電話がある】
 通信手段の使い分けということでは、私にもやっていることがないわけではありません。
 例えばメールはプロバイダ・メールを中心に重要なものはそこに集め、あまり利用しない企業や不特定多数とのやりとりはフリー・メールを使うようにしています。フリー・メールに重要な連絡が入ることはありませんから、一カ月に一回くらい、まとめて処理すれば終わりです。
 携帯メールのアドレスは友人以外には教えないようにしてきましたが、最近はLINEでのやり取りが多くなってそれ自体、使うことが少なくなっています。しかしこの程度はだれでもやっていることでしょう。

 私が自慢したいのはファクスつきの固定電話を持っていることです。つい最近まで自慢するようなことではなかったのですが、子どもたちの世代は固定電話をほとんど持っていませんから、この際、自慢しておきます。

 いつも不思議に思うのですが、携帯電話しか持っていない世帯では、例えばネットなどで何かを購入したときなど、電話番号の記入を求められたら携帯番号を入れるのでしょうか? そうやって知らせた番号に、業者さんからの勧誘や妙なアンケートの電話がかかってきて困るといったことはないでしょうか?

 私のところには固定電話がありますので、何かの申し込みで記入が必要なときがその番号を入れることにしています。その上で固定電話自体は常に留守設定にしておくのです。基本的に出ません。
 これだと勧誘やアンケートのような電話は受けずに済みますし、重要な連絡だったら録音に残してもらえば、あとでこちらからかけ直せばいいことです。非常に便利です。

 昔はファックスに勝手に広告が送られてきて、紙やインクリボンがムダになることも多かったのですが、今はモニターで確認してからプリントアウトすればいいのでそういうことはなくなりました。もっとも社会からファクス自体が減っているせいか、最近は広告も送られてこなくなりました。


【二重三重の通信手段という安全対策】
 世の中にはなくてもいいがあれば便利というものは数多くあります。
 私の家のファックス付き固定電話などはまさにその代表格で、めったに使うことはありません。
 ただし携帯電話はよく置き忘れるのでそんなときは固定電話から呼び出して在りかを突き止めたり、外から妻に電話したとき、マナーモードで気づいてくれなかったりすければ固定電話でガンガン呼び出すなど、けっこう重宝しています。

 さらについ最近も、電話帳――しかもわざわざ保管しておいた平成5年版――を使って私の家を調べ、電話してきてくれた人がいましたが、とても重要な内容で、このためだけにも長いあいだ電話料金を払い続けてきた甲斐があったと思われるできごとでした。

 こうした生活の基盤にかける費用は一種の安全対策費です。もし私が携帯しか持っていなかったら、古い人間関係、緩い人間関係は遮断されてしまいます。何らかの理由で携帯が使えなくなったら(紛失したら、故障したら)、その瞬間からしばらくは電話を通した情報伝達手段はできなくなります。
 個人ですらそうですから社会全体となると、通信手段が一つしかないと大変なことになります。

 これまで何度も話してきましたから覚えておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、1995年の阪神・淡路大震災の際、私は明石の友人を心配して何度も電話をしたのです。しかし通じたのは一週間後のこと。被災地の中から外への電話は通じたのですが、外からはなかなか通じなかったのです。
 ところが後に新聞か何かで読んで知ったのですが、世の中には賢い人がいて、その日のうちに有効な手段を使って連絡を取ることができたようなのです。
 その手段とは、なんと、電報です。

 心配しているから無事なら電話をくれといった内容だったのでしょう、相手からはすぐに連絡があり、安否確認ができたようです。電報なら、燃え盛る被災地中心でない限り、必ず届けてもらえます。

 今ならさしずめ、電話をして、メールを打って、LINEのメッセージを送り、電報を打って、さらにハガキの一枚も書けば、どれか一番最初に着いたものに反応があるはずです。もちろんその中には“ファックスで送信しておく”というのも入れておきましょう。


【必要なものはなくならない、不要なものは放っておいても消える】
 新型コロナ事態で汚染されているかもしれない現金のやり取りを忌避して、キャッシュレス決済の割合が増えているといいます。しかし私たちは現金も手放さないでしょう。

 キャッシュレス先進国というか、もはや現金の使えない国、スウェーデンでは、人々はスマホと同時にモバイルバッテリーも携帯し、常に電源確保に気を遣っているそうです。そうしないといざというとき何もできないからです。
 しかし個人がどんなに気を遣っても、ネットワーク障害や停電があると店の機械が使えなくなってしまいます。支払い手段も一つにしてはいけません。

 今も日本中にファックスがあるのは、それが便利で必要だからです。声高に「遅れている」などといわずとも、必要がなくなればいつかは消えていきます。ポケベルやPHSがそうであったように。
 しかし今は必要なもので、諸外国にどういわれようと、胸を張って使い続ければいいのです。
 

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2020/6/1

「日本では、いまだにファックスが使われていると、世界から笑われている」〜ファックスの何が悪い!@  文具・道具・器具

 
 21世紀に入ってもう20年もたつというのに、
 日本ではファックスなどという旧時代の機器がはびこっている。
 何と遅れた国なんだと、世界が笑っているそうだが、
 あの機械、そんなに悪いものか?

というお話。
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【日本のファックス文化が笑われている】

 東京都が新型コロナの感染者数を二度にわたって誤集計し、修正したところから、保健所が感染者数などをファックスで報告していたことが明らかになり、日本は世界の笑いものになっているそうです。アメリカではファックスはスミソニアン博物館にしかないとテレビでも言っていました。

 もっとも「世界の笑いものになっていると、日本人だけが言っている」場合も少なくないので眉に唾をつけて聞かねばなりません。今、世界は自国の新型コロナ対策で手一杯いっぱいなので、他国の不備を笑っている暇などないと思うのですが。
 それに日本がダメだとして、他の国々はどんな方法で正確な統計をとっているのか、そのあたりも聞いておきたい気持ちがあります。

 今回のコロナ事態を早くから予想して国内のすべての医療関係施設をオンラインでつないで直接本部のコンピュータに入力できるようにしてあった国・地域――もしかしたら韓国・台湾あたりはそうかもしれませんが、それが欧米諸国にある気はしません。
 Web上に入力フォームをつくるという方法もありますが、それの何がいいのかも分かりません。緊急時に新たなシステムを導入して、プログラムミスで混乱したり、不慣れによるミスを誘発する必要もないでしょう。

 直接入力でもファックスでもなく、もちろん通話・郵送・電報でもないとしたら、Eメールくらいしか思いつかないのですが、添付ファイルというのもコロナならぬコンピュータ・ウイルスを考えると怖くて使えません。そもそも添付ファイルで送るくらいならファクスで十分です。

 そこで考えたのですが、そもそも“諸外国は合理的で迅速・正確な報告・集計を行っている”という前提からして疑ってみる必要もあります。
 全国の感染者数を集計するという、それ自体が大変な作業ですし、例えばイギリスでは病院で亡くなったコロナ患者は集計されますが福祉施設で亡くなった数は計算されていないとか、あるいは中国では無症状の感染者は感染者として数えないとか、統計の基礎となる部分からいい加減だったり違っていたりすることもあります。ダメなのは日本だけではないのかもしれない。

 そこで、とりあえず最も厳格な統計づくりをしていそうなドイツを例に調べます。


【実は多くの国で正確な集計ができていない】

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 右は日経新聞からお借りした、先月末までのドイツにおける新規感染者数の推移を現したグラフです。(新型コロナウイルス感染 世界マップ
 見ればわかる通り、感染者ゼロの日が期間内に三日もあります。そうかと思うと3月19日には新規感染者が2801人だったのに翌20日には一気に2倍以上の7324人に増え、21日は半分以下の3140人。さらに翌日(22日)はゼロ。23日はまた3311人と激しく上下します。3311人は妥当な数字ですが前日のゼロはダメでしょう。
 日経新聞のミスかとも思ったのですが、ニューヨークタイムスのグラフでも同じですから間違いありません。
 日経の世界マップではどこの国も同じようなもので、ドイツはまだましなくらい、フランスなどは真面目に集計しているのか疑いたくなるほどばらつきが大きいのです。

 考えて見れば感染拡大の時期はどの国や地域も混乱の極みにあったはずです。報告の迅速さ正確さなどは二の次で、対策に追われていたに違いありません。報告し忘れたり集計をミスしたり、訂正したり、再訂正したり、まとめて三日分あげたりと、さまざまなミスが重なってあんなグラフになったのでしょう。

 日本でも東京にみるようにミスはありました。しかし諸外国に比べたらずっと少なく、ファックスでのやり取りにしてはよく善戦したと言えるでしょう。
 いや、ファックスだから善戦できたのかもしれません。


【ファックスの優位性――すべての文書は“紙”にされなければならない
 2009年には全国の世帯の57.1%にも普及していたファックスは、今や30.9%(2018年)にまで落ち込んでいます。しかし事業所に限ると今も95%が活用しているそうです(情報通信機器の保有状況の推移《平成30年通信利用動向調査》)。かくいう私も学校勤務時代には毎日のようにお世話になっていました。なぜいつまでもファックスなのか――。
 答えは簡単です。便利だからです。

 前提として学校に来る連絡のほとんどは紙に変換されなければいけないということがあります。Eメールの添付ファイルで送られてきたものでもプリントアウトして綴ります。

 とにかく紙は一覧性に優れ、両開きのA4ファイルに綴じ込んでおけばパラパラとページをめくって、どこにどんな情報があるかすぐに探し出せます。基本的に時系列でつづられますからどんなに厚いファイルでも、というよりは厚い方が、どのあたりに必要書類があるか、すぐに分かるのです。

 一度、綴じた紙は悪意によって修正することは困難で、信頼性という点でも電子データを上回ります。電子ファイルはいちいちパスワードを設定しないと、簡単に書き換えられてしまいます。
 善意による修正の場合でも紙の方が優位で、電子データだと元の記載を残したまま修正するのが難しく、コピーをして修正をすると今度は大量のクローン・ファイルに悩まされたりします。その点、紙だと修正は赤ペンで書き込めばいいだけですから簡単です。どこが修正されたかも残せます。

 綴じるという作業さえ怠らなければむしろ安全で、電子データのように予定外の“ファイル”に落として行方不明にしてしまうとか、うっかり“ごみ箱”に捨ててしまうということもありません。
 そして、これは日本特有のことですが、印鑑を必要とする書類はやはり紙でなくてはなりません。

 つまり基本的に届いた文書は紙に置き換えられなければならないのですが、だったらいちいちプリントアウトするのではなく、最初から紙で送られてくる方がよほど楽なのです。

 以上は受け手の側から見た便利さです。しかしファックスは送り手にとってもかなり便利なものです。


【送り手にとって便利な事情】
 とにかく開封率が高い。
 着信があるとランプの点滅がうっとうしく、機種によっては強制的に印字された紙が出て来ますので、意図的に無視しない限りは読んでもらえます。
 Eメールだと時に“迷惑メール”に振り分けられてしまったり、ひとによっては放置されたりしますから、日常的にやり取りしている相手でないと信頼できません。Webサイトで公開しておきながらほとんど使っていないメール・アドレスや、スパムメールが多すぎて管理を諦めてしまったアドレスというのはけっこう多いものです。

 ファックスの文書はほとんど瞬時に届きますから、電話をかけながら「今、送るから」と言って送信することもできます。
 操作が簡単で、電子機器の苦手な人でも扱えます。

 電話でうまく説明できないとき図に描いて補足しようとしても、電子データだと専用ソフトで絵を描くか手書きをスキャナで読み込んで送るしかありません。その点ファックスだと手元の紙に描いて送るだけです。実に簡単です。
 そもそもパソコンと違って電源を入れて立ち上げるということもありませんから、その点でも便利です。
 
 ここまでくると、なぜこんな便利な装置が外国ではすたれてしまったのか、その方が不思議なくらいです。
 それと、繰り返しになりますが、日本以外の先進国がどんな先端システムであんなふざけた統計をつくり上げたのか、聞いてみたいものです。

(この稿、続く)



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