2019/10/21

「秋の新番組、主人公たちがよく似ている件について」〜愛すべき彼ら  政治・社会


 10月はテレビの番組編成替えの月
 新たなドラマが次々と登場している
 そこにはしかし よく似た一群の人々が――
 難しい人たちだが 日本人は彼らが好きなのかもしれない

という話。
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「同期のサクラ」 日本テレビ)

【秋の番組編成替え】
 10月はテレビ番組の編成替えで、一方で新番組が始まると同時に反対側で番組潰しの特番だらけで、面白いやら面倒くさいやら、いろいろ厄介な月となっています。
 特にドラマは各局出来不出来が激しく、面白い番組を見逃したり、つまらない番組に数回突き合わされたりとホゾを噛むことが少なくありません。
 しかし私には二つの有効な装置があって、おかげでほとんどの場合、面白いドラマを外したことはないのです。すごいでしょ?

 ひとつは新しいドラマを自動的に録画してくれるビデオレコーダー。今や常識かもしれませんが、私が気を使わなくてもいつの間にか録画してくれています。その番組が気に入らなければ設定を解除すればいいだけで、放っておけばそのまま。これで録画忘れは防げます。

 もう一つは妻です。
 妻には“仕事をしながらドラマを見ることができる”というスゴ技があって、文章を考えながらドラマの筋を追うといったことができるらしいのです。私はこれを「バックグランド・ドラマ」と呼んでいますが、他人の言葉が入ってきても思考の邪魔にならないみたいです。

 おかげで新番組が始まって2〜3週間たったところで、「今シーズンの面白いドラマは?」と聞けばたいていは適切に答えてくれます。もちろん趣味が合わなくてつまらないものにつき合わされたり、逆にあとで評判になるような番組を(妻が好きじゃなかったという理由で)見逃すことがあったりしますが、その程度は我慢できる範囲でしょう。
 さて、今期そうして選ばれたドラマは、今のところ以下の9本です。

「同期のサクラ」日本テレビ 水曜 22:00 - 23:00
「まだ結婚できない男」フジテレビ 火曜日21:00〜21:54
「ミス・ジコチョー〜天才・天ノ教授の調査ファイル〜」NHK 金曜日 22:00〜22.49
「少年寅次郎」NHK 土曜日21:00〜21:49
「G線上のあなたと私」TBS 火曜 22:00〜22:57
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」テレビ朝日 木曜 21:00〜21:54
「チート〜詐欺師の皆さん、ご注意ください〜」日本テレビ 木曜 23:59〜24:54
「俺の話は長い」日本テレビ 土曜 22:00〜22:54
「リカ」フジテレビ 土曜日 23:40〜24:35


【共通する主人公たちの性格】
 私はそんなにはたくさん見切れないので最初の4本だけにしようと思うのですが、ふと考えたらこの4本には明らかな共通点があったのです。いずれの主人公も、他人の思惑に左右されず、思ったことをすぐ口にし、周囲に混乱を巻き起こす人たちです。

 特に高畑充希が演じる「同期のサクラ」の主人公は明らかに他人の気持ちが読めません。場の空気も読めない、しゃくし定規にものを考え、自己の正義を突き通す。その点で私の良く知った人たちに似ています。
 「まだ結婚できない男」の阿部寛も同じで、他人を傷つけるような皮肉な言葉をガンガンつぶやくし、「ミス・ジコチョー」の松雪泰子は「事故を二度と繰り返さないために」という正義のためなら他人が嫌な思いをしようが迷惑であろうが一向に気にかけません。
 「少年寅次郎」はまだ子どもですが、私たちは大人になった「寅ちゃん」がどんな人間か、よく知っています。

 「ガマの油売り」や「バナナの叩き売り」のような口上が得意で反復行動が大好き。自分が怒られているにも関わらず「それを言っちゃあお仕舞いだよ、オイちゃん」と逆ギレし、偉そうに説教を垂れたりする。しばしば女性の気持ちを読み誤って失敗する。家族を振り回す。他人には他人の正しさがあるということが理解できず、自分の正義を振り回す――。
 フーテンの寅さんはまさにそういう人です。
 また、人間関係がわからない、社長も課長も部下も同じ、仕事と趣味の区別がつかないという点では「釣りバカ日誌」の浜ちゃんにも似たところがあります。

 思うに、日本人はこうした人たちが大好きなのです。
 寅さんや浜ちゃんが永遠のヒーローであるように、「同期のサクラ」のサクラや「まだ結婚できない男」の桑野信介は繰り返しドラマの主人公として現れてきます。


【支える人々】
 先ほど挙げたドラマや映画には、もうひとつ共通点があります。それは主人公を支える人々が周辺にいくらでもいるということです。
 サクラのそばには同期の仲間がいて、ファックスの向こうにはいつも支持してくれる「じいちゃん」がいます。
 「まだ結婚できない男」桑野信介には会社の部下と最近懇意になった女性弁護士がいます。「ミス・ジコチョー」には助手たちが、寅さんには妹夫婦や柴又の住民が、浜ちゃんにはスーさんやミチコたんがいるといった具合です。
 その人たちはみんな少しずつ迷惑に思いながも、主人公のことが大好きなのです。

 正直を言うと私は昔から寅さんも浜ちゃんも苦手でした。それが自分の教える児童生徒や部下だったらいくらでも対応しますが、家族や友人だったらかなわないなとしばしば感じるからです。しかしそんな私でも、そばにそうした人がいたらきっと何とかしようとすると思います。

 ハンス・アスペルガー博士は自分の発見した子どもたちが興味のある事柄について非常に詳細に語る能力を持っていることから、「小さな教授たち」と呼んで愛したと言われています。

 テレビドラマや映画でこれだけ繰り返し扱われるということは、もしかしたら日本人は彼らの中に別の何かを発見しているのかもしれません。



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2019/9/11

「会社は僕らのコミックマーケットだ」〜働く日本人の話@  政治・社会


 台風15号の去った後の首都圏では
 駅前に鉄道やバスの再開を待つ人々が長蛇の列をつくった
 その列を見て首を傾げる人 呆れる人 怒る人・・・
 しかし私には並ぶ人の気持ちの方がよく分かるのだ
というお話。
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(写真はイメージ。津田沼駅とは関係ありません)


【台風15号】
 一昨日の台風15号。東京湾を真っすぐ入って都会を直撃するという極めて珍しい台風で各地に大きな被害をもたらしました。
 11日の今日現在も、停電の続いている地域は広く、危険なために片づけを始めることすらできない場所や家屋もあるみたいです。おまけに盛夏を上回る暑さ――ほんとうにお気の毒で、心よりお見舞い申し上げます。

 今回JRを始めとする首都圏の鉄道は早々に運休を決めて前日から予告していましたが、企業や官公庁の対応は悪く、丸一日混乱が続きました。私の娘婿のエージュも、教員なのですが学校が通常登校のため、私鉄を乗り継いで最後は徒歩でようやく勤務校に着いたみたいです。
 休校にすればいいようなものですが、急な休みに対応できない保護者も多くいます。警察や消防を始めとする公務員、医療関係、交通運輸、情報通信、建築、製造・・・と書いていくと、ほとんどすべての職業なのですが、その人たちが働いてくれてようやくこの国は動いてくれるの。
 その人たちに働いてもらうために、まず保育園や学校が動かなくてはなりません。鉄道もバスも動く必要があります。


【津田沼駅の長蛇の列――Twitter】
 予告があったため、始発から駅に行って待つといった人はほとんどありませんでした。
 しかし運転見合わせの影響は大きく、通常なら2〜3時間に分けて駅に入場する人たちが再開時刻に一気に押し寄せたので、新宿や池袋などの拠点駅はどこも大変な混雑でした。そして特に注目されたのが、一般には拠点駅と意識されたことのない津田沼駅でした。

 構内に入れない人たちが駅前広場に並び、その列は十重二十重に駅を取り囲んで、一説には2kmと言われる(私にはもっと長く見えた)長蛇の列となりました。蛇行を繰り返しているので一部は駅と逆方向へ向かうことになり、いったん遠くへ離れてまた戻ってくるのですからほんとうに大変です。

 その様子はNHKが空撮映像を流したこともあって評判となり、Twitterで大きな話題となりました。ただしあまりいい意味ではありません。

この状態でも会社に行かないといけない日本人の残念なこと。
遅延証明書のため、他の人が行ってるから、上司が怖いから、多分今じゃなくても良い仕事のための人がほとんどだろう。

朝に、出社は各自、電車の運行状況にあわせ自己判断に任せます
との連絡があったので、「自宅待機します」と報告したら
来ないのは君だけみたいだよ と、あたたかいお言葉をいただいた

こんな無理して行ったところでついたらもう退社時間でしょうに。非効率とも思わないのかと。

会社もおかしいけど出勤しようとするサラリーマンがいるってこと事態おかしくねぇ?真面目通り越して狂気だよ。行かないとマジでクビになるんかな?

巨大隕石が地球に接近、確率は50%。
などという状況になっても、大多数が出勤しそう。

働きアリか

こんなになっても出勤しないといけないのか
もはやこんなのパフォーマンスだろ
まぁ、そのパフォーマンスが求められる糞な世の中だが

この事態で出勤させる会社は…そして出勤しようとする社員は…
まぁ住む世界が違うんだろうな。異界とか、魔界とかそんなとこ。


(いずれも2019.09.09 ねとらぼ 交通課「千葉から出られない」「社畜の参勤交代」 千葉県・津田沼駅の入場待機列がヤバすぎると話題に 台風15号の影響で運転見合わせより)

 いやはやさんざんです。

 ところがその中に、フッと目を引かれる言葉がありました。
「コミケか?」
 そうです。Twitter上で揶揄する人たちも、これがコミケ(コミックマーケット)だったら理解できるというのです。好きなもののために何時間でも並んで待つことは分かる、しかし会社に行くために並ぶのは理解できない―ということなのでしょう。

 ただ、私からすればたかがマンガやアニメのために数時間も待つ神経の方が理解できない。しかもサラリーマンは金を稼ぎに行くのに、コミケに向かう人は金を捨てに行くのです。


【会社とコミケは変わらない】
 その二つのことは、実は同じなのです。
 津田沼駅の長蛇の列の中で何時間も待っている人たちの多くは、強制されていやいや会社に向かっているのではありません(そういう人もいると思いますが)。コミケの会場前に並ぶ人たちと同様、“行きたい”から行くのです。それ以上の理由はありません。

 彼らは仕事が好きなのです。あるいは責任を果たすことが気持ちいいのです。コミケで目当ての同人誌を手に入れるように、目当ての取引先から仕事を受注したいのです。
 コミケで新しい才能を発見したと興奮するのと同じように、すごい商品を開発した、発見した、売り込みに成功したというのがうれしくて仕方がないのです。

 だからあんなふうに何時間かけても、会社にたどり着きたいのです。そういう人が多いのです。

                         (この稿、続く)


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2019/8/30

「韓国は傷ついている」〜日韓問題を斜めから見る3観点B  政治・社会


 文政権発足以来
 ずっと続いてきたあの「いやあな」感じ
 今回の日韓葛藤を機に
 その様相がはっきり見えてきた
 それは自尊心の問題なのだ
というお話。
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(「韓国、国旗」phtoAC より )

【文在寅、安倍政権を相手とせず】
 昨日、朴槿恵前大統領のいわゆる「国政ろう断」事件、韓国最高裁で“贈収賄について認めなかった高裁の判断に誤りがある”として差し戻しになりました。サムスンの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長について言えば、懲役2年6カ月・執行猶予4年が取り消されることになります。
 昨日、即日収監になるかもしれないと書いたのは私の勇み足で、韓国最高裁も日本と同じように下級審に差し戻して判断を変えさせるようです。副会長は第一審で懲役5年でしたから、差し戻し審では実刑になるかもしれません。サムスン電子はそのとき、耐えられるでしょうか?

 同じ昨日、文大統領は閣議で日本に対して、
「過去を記憶して省察することには終わりがない。一度反省をしたので反省が終わったとか、一度合意したので過去として過ぎ去ったとして終えられるものではない」
と宣言しました。
 何回反省しても、何度合意しても、永遠に追及し続けるぞという意味で、もはや外交はしないといっているのと同じです。

 朴槿恵前大統領も「加害者と被害者の関係は1000年たっても変わらない」とおっしゃいましたから考え方は同じなのでしょう。
 その情念の激しさには恐れ入るばかりです。


【ホワイト国除外はそこまで大変なことだったのか】
 そもそもホワイト国除外というのも、別の表現をすれば単なる優遇除外です。
「キミを特別あつかいするのはやめるよ」
と言ったら土砂降りのごとく罵詈雑言が降ってきたわけで、日本としてはとりあえず面食らうばかりです。

 こちらとしては、
「だってキミはボクに、あんなに酷いことを言ったりやったりしたじゃない。だからひとまず普通の関係に戻そう」
といった感じなのですが、
「それを言うなら昔、ボクのことをあんなに酷くイジメていたことをどう考えるんだ」
「いや、そんなの何年も前の話でしょ?」
ということになります。

 国どうしのことを子どものケンカになぞらえるのもいかがとは思いますが、やっていることは似たようなものでしょう。

 しかしなぜこのようになってしまったのか?


【自尊心の問題】
 それについてはGSOMIA破棄の際、青瓦台の国家安保室の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)第二次長が次のように説明しています。
「大統領は8月15日の光復節の祝辞で、日本へ対話の手をさしのべましたが、日本は何ら反応を見せず、感謝の言葉すらありませんでした。無視を続け、我々の国家的自尊心を傷つけるという外交的非礼を犯しました」

 この時期、青瓦台関係者から「国家利益ということは名分も重要で実利も重要だが、国民の自尊感を守るのも重要だ」という発言も出てきたといいます(2019.08.23 中央日報)

 国益も大事だが、それよりも大切なのは自尊心だというのです。ちょっと理解しがたい話です。
 ただ、そう思って振り返ると思い当たるふしもあります。

 例えば今年1月、文大統領は新年の記者会見で、
「韓日間には不幸な歴史があった。私はこれについて日本政府がもう少し謙虚な姿勢を持つべきだと思う」
と言って私たちを驚かせました。若者流の言い方をすれば、
「どんだけ上から目線なんだ?」
という感じです。しかし考えてみるとそれは文政権誕生以来、私たちがずっと感じてきたあの「いやな感じ」と同質ものです。

 和解・癒し財団の解散の際も、徴用工問題においても、あるいはその前のレーダー照射事件の場合でも、青瓦台には日本に対しては真面目に対応しない、誠実に応えることはしないという一貫した空気がありました。
 一時期「ジャパン・パッシング」という言葉がささやかれたように、よく言っても「日本、怖るるに足らず」、悪く言えば「日本、ものともせず」と言った感じです。

 もう日本は無視してもいい――そうした過剰な自尊心はどこから生まれてくるのでしょうか?


【韓国は日本の遥か高みにある】
 もともと儒教国というのはそういうものだという考え方があります。
 儒教の重要な理念として「秩序」があり、それはしばしば序列として表現される。その世界で中心となって華咲くのが中国(中華)、その最も忠実な弟子が韓(半島)、日本は二番弟子ではなく、東の蛮族(東夷)です。
 韓半島はかつて東夷(日本)に占領された時期があり、それが韓国のトラウマになっている。
 しかし光復節以来、原状は回復された(だから韓国は日本の上位に復権している)という考え方です。それに従えば、日本は2500年に渡って韓国の足下にひれ伏すべき国です。

 昨今の韓国の経済発展が過剰な自尊心をつくりあげた、という見方もあります。特に平成日本の「失われた20年」は韓国が飛躍的に発展した20年間に重なりますから、どうしても自信過剰になります。
 現在の韓国の主力商品である半導体・造船・鉄鋼・自動車は、いずれも過去に日本が覇権を握りかけた製品です。

 さらに「韓国は(日本と違って)歴史上一度も他国を攻めたり占領したりしたことがない」という道徳的優位が広く宣伝され定着したからという見方もあります。それについては今年1月、このブログで詳しく考察しました。
2019/1/18「たぐい稀なる道徳の国」〜日本と韓国B

 いずれにしろ韓国は――少なくとも文政権は自身を、精神的に日本の遥か高みにあると考えているようなのです。
 その鼻を、日本は水道の蛇口を閉めるようにいとも簡単にひねってしまったのです。一種の下克上ですから驚くのも当たり前、怒るのも当たり前なのです。
 そこに今回の葛藤の根本原因があります。
 韓国は傷ついている――。

*文章が長くなりすぎる傾向があるので何回かに分けて書いてきました。しかしそんなふうに時間を取っているうちに大統領側近のスキャンダルで、韓国の政界には大激震が走っています。
 土日と二日間、ブログを閉じている間に、今日の記述がとんでもなく古い陳腐なものになってしまうか分からない――そんな緊張感があります。
 そのことに心して、じっくり韓国を観察していきましょう。



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2019/8/29

「無口な人々に注目する」〜日韓問題を斜めから見る3観点A  政治・社会


 最近変わってきたが
 ニュースを見ていると
 韓国が反日一色に染まっているかのように見えたときがある
 しかし考えてみよう 文政権は誰が見ても急ぎ過ぎなのだ
 だからそこに合わない人も出てくる

というお話。
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(「韓国の海、シルミド」phtoAC より )


【李在鎔(イ・ジェヨン)は何を見ているのか】
 今日、韓国では朴槿恵前大統領、友人の崔順実被告、そしてサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長を巡る贈収賄事件の、最高裁判決が出されます。

 今、特にここでは李在鎔副会長についてお話したいのですが、李被告が裁判で問われているのは崔被告を通して行った朴被告への贈賄、横領、財産国外逃避など5つの容疑で、一審では懲役5年、二審では懲役2年6カ月・執行猶予4年(求刑は懲役12年)を言い渡され、明日、最終審を迎えるわけです。判決次第では即日収監となるかもしれません。

 李在鎔副会長と言えば先月、日本が3品目輸出規制を発表した際、文在寅大統領の招きを放り出して日本を訪れ、レジストなどの規制対象をかき集めようとしたハンサム・ボーイですから、羽田での颯爽とした姿を覚えている人も多いと思います。

 サムソン・グループ創始者の直系の孫で、ソウル大学を卒業後、慶応大学修士課程、ハーバード・ビジネススクール博士課程を修了した英才。実質的なサムスンの経営トップです。
 物腰の柔らかい穏やかな人柄で、公正ながらも親切、多少まじめ過ぎるきらいもあるみたいですが、丁寧で近寄り易い人物だと評されています。

 子どものころから帝王学を学び、何不自由なく育ってきた人ですが、この3年間は苦労の連続でした。
 上記の裁判はもちろんですか、副会長が逮捕されたことでサムスンの未来戦略室や所長団会議が廃止され、グループは実質的解体に追い込まれました。今年に入ってからは米中対立による対中輸出の大幅減、文政権の最低賃金引き上げ政策及び企業増税による経費の大幅上昇、あるいは政府の経済無策によるウォン安などで、今年上半期の収益が55%〜60%も減ってしまったのです(前年比)。
 それに重ねて今回の日本による3品目輸出制限・輸出優遇除外。
 これも文政権の外交無策によるもの。呼ばれて青瓦台に出ていけば、「世界中にネットワークを持って日本にも支社や出張所があるというのに、今回の日本の処置が予想できなかったのか」と逆に怒られる始末。
 これでは踏んだり蹴ったりです。

 物腰の柔らかい穏やかな人柄だそうですからオクビにも出しませんが、私だったらハラワタが煮えくり返って体内でモツ鍋ができてしまいます。
 サムスンに限らず、他の財閥経営者にしても同じでしょう。文政権下の2年余りは何もいいことがありませんでした。

 絶大な権力を持つ韓国大統領の下では黙っているしかありません。しかし一朝ことが起こった時、彼らはすべての権力と財力をつかって政権に歯向かうのではないかと、私は思っています。
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【将軍は語らない】
 相変わらず金正恩委員長は口が汚く、自分を慕ってくれる文大統領にも容赦なく「バカ」だの「怖気づいた犬」だの「図々しいヤツ」だの、愚弄するに暇がありません。 
 何を委員長は怒っているのか――。

 ひとつには韓国が韓米合同演習をやめないこと、アメリカの最新鋭機F35の導入を始めとする軍備増強に余念のないこと。文政権になってから国防費は朴槿恵時代をはるかに上回っています。
 委員長の、
「片方で和平を唱えながら、他方で着々と軍備を増強するとはどういうことなのだ」
というのは筋の通った話です。

 ほんとうにどうしてこんなふうに右手と左手で違ったことをしているのか。わたしはそこで、文大統領が軍に気を遣っているのではないかと疑うのです。

 もちろん韓国の軍人にとっても文大統領の進める南北融和に文句はありません。朝鮮戦争終結宣言が出され、北緯38度の休戦ラインが普通の国境になって、ゆくゆくはEU諸国のように自由に行き来できる見えない国境となる、それはほんとうにすばらしい夢です。
 しかしそれだけでいいのでしょうか?

 私が韓国の軍人だったらそう簡単に南北融和を喜ぶわけにはいきません。なぜならまだ謝ってもらってないからです。
 朝鮮戦争は北が南を侵略した一方的な戦いです。何の落ち度もない韓国が攻められて、20万人の軍人と133万人の無辜の民間人が殺されたのです。その件について一言の詫びも賠償ももらってない。

 いやいや同じ民族がひとつになるのだから、そんな昔のことには目を瞑ろう。
――それもいいかもしれません。65年以上も前のことは水に流してもいい。

 しかし2010年の天安沈没事件で犠牲になった46名の兵士と延坪島砲撃事件で亡くなった2人については、今も息遣いが聞こえるほど近くに思い出せるのです。それについては真摯に謝ってもらわなくてはいけない。
 それを抜きに南北融和などありえない――私ならそう考えます。同じ軍隊の飯を食って苦楽をともにした友人が、不意打ちを食らって無残に死んだのです。それを忘れて北と手を結ぶなら、それはもう人間ではありません。

 現在の文政権はすべての葛藤に目を瞑り、南北融和を図ろうとしています。文民統制の下で今は軍も何も言いませんが、一朝ことが起こったら、ここにも言わねばならないことがたくさんあるはずです。


【政権基盤は、案外もろいのかもしれない】
 遠く海を隔てた日本から、しかもメディアを通して見ているのですから、当然、韓国国内の微妙な空気まで読み取ることはできません。しかし財閥や軍の人々が、文大統領に素直に従っているわけでないことは容易に想像できます。
 政権もその反目に気づいていないわけではない。

 そう考えると、落ちたとはいえ50%近い支持率を誇る文大統領の、政権基盤も案外あやういものなのかもしれません。


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2019/8/28

「情報の穴を埋める」〜日韓問題を斜めから見る3観点  政治・社会


 日韓葛藤は 底だと思っていた部分が割れて 二番底も割れ
 この先どこまで険悪になっていくか分からなくなってきた

 テレビの情報番組やネットニュースにいくら触れても
 闇はますます深まるばかり

 こんなとき私たちがしなくてはならないのは
 ニュースとして聞こえてこない部分を 自ら埋めていくことだ
というお話。

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(「崇礼門(南大門)」phtoACより )

【日韓問題が難しい】
 学校に合わせてブログの夏休みを取っていたこの4週間、私が何に集中し、何に興味を持って過ごしていたかというと、大方の日本人がそうであるようにそれは日韓問題でした。

 毎日のようにニュースで扱われ、日々変化があり、変化に従って繰り返し“最悪”という修飾が陳腐になっていく――そこで感じるのは(誤解を恐れずに言えば)ダイナミックでスリリングで、まさに歴史の証言者となる場所のすぐそばにいる臨場感です。

 毎日が日曜日な私は日々かなりの量のネット記事を読み、テレビの情報番組にも目を通しています。しかし困ったことに、読めば読むほど、観れば観るほど、事態が分からなくなってきます。

 思いつくままに列挙すれば、例えばそれは、
「たかがホワイト国を外されたくらいで、なぜ韓国の人たちはあれほどまでに怒っているのか」
ということだったり、
「そもそも韓国の輸出管理に不備があるとかいうけど、それは何なのか。日本政府がはっきり言わないのはなぜなのか。韓国は何を直せばよかったのか」
とか、
「日本が『これは貿易管理の問題で徴用工問題とは関係ない』といっているのだから、韓国は乗っかって『根拠を示せ、善処する』と言い続ければよかったのに、なんで『報復だ』『報復だ』と問題を複雑にしてしまったのか」
「そもそも日本は『禁輸ではない』と言っているのだから、きちんとした手続きをすれば規制品が入ってくるかどうか見極めればいいのに、どうして事前にこれほど大騒ぎをしなくてはならないのか」
「GSOMIAがなくなっても、日本はほんとうに困らないのか。北朝鮮とアメリカが戦闘状態に入って、日本にミサイルがバンバン飛んできても大丈夫なのか」
とか、疑問はいくらでも浮かんできます。

 しかしここにきてようやくわかってきたのは、私のようなかなり熱心なウォッチャーをしても、集められる情報はあまりにも少ないということです。特に韓国側のことはさっぱり分からない。


【韓国の情報が入って来ない】
 私が収集できる韓国の情報源は、
 @ウェブ版を含む日本の新聞および雑誌。
 Aニュース・報道番組を中心とする日本のテレビ番組。
 Bネット上で読める韓国の新聞。
 以上です。

 この中でBについては革新系の「ハンギョレ」、保守系の「朝鮮日報」「中央日報」「東亜日報」「聯合ニュース」の5紙(いずれも日本語版)。
 毎日確実に目を通していますから見方によってはけっこうな量ということもできます。5紙も読めばたいていのことは分かる――そう考えたくもなります。しかしまったく違います。

 日本語版の5紙はいずれも日本人の読者を予定していますから、すでにフィルターがかかっているのです。記事のタイトルを変えたり表現をいじったり――それどころかそもそも日本人には必要ない天気予報や台風情報、イベント情報などはかけらもなく、交通事故や殺人事件・火災といったものはかなり特殊でないと記事として上ってきません(それなのにやはり需要があるのでしょう、韓流芸能界のニュースを取るのはいたって簡単です)。

 つまりいくら韓国紙とはいえ、日本語版を見ている限りで、必要な情報はまったく足りないのです。

 例えば今日、韓国の朝刊各紙の一面を飾っているのは、間違いなく文大統領の側近のスキャンダルに司直の手が入ったという記事です。日本では韓国のホワイト国除外が今日から実施されるというのに、です。韓国国民の本日の主たる関心は、私たちとはまったく別のところにあります。

 しかしその韓国国民の最大の関心事――文大統領の側近で次期法務部長官として指名されているチョ・グクとかいう人のスキャンダ――は、先週土曜日の現地朝刊で、前日発表された「GSOMIA破棄」よりも大きく扱われていたことで、ようやく日本でも報道する価値ある大問題だと気づかされたものです。それまで日本のメディアはほとんど扱っってきませんでした。

 あるいはこれとは別に、最近、急に扱われるようになったものとして、反文政権デモも上げられます。
 これは8月15日の光復節(日本の植民地支配からの解放記念日)に数十万人規模で行われたの機に注目されるようになり、先週土曜日に行われた自由韓国党の集会にも数万人が集まってGSOMIA破棄を批判したことで一躍き脚光を浴びるようになりましたが、文政権反対デモ自体は昨日今日始まったものではありません。(私の知る限りでは)すでに三月にはすでに大きく盛り上がっていたのです。しかしそれは日本のメディアでは報道されない。


【韓国も日本で起こっていることを知らない】
 同様に韓国の人たちも日本を知らない。
 慰安婦合意の破棄がどれほど日本人を怒らせたか、その実像が伝わらない。徴用工問題で韓国最高裁の判決が出て以降、繰り返し請求したにもかかわらず8カ月に渡って待たされ、ようやく出てきた解決案が、かつて韓国政府ですら一蹴したお粗末なものだったという苛立ち、それも伝わっていません。
 なぜか。

 いうまでもなくそれも、韓国の人たちが国内メディアを通してしか日本を知ることができないからです。

 今回の輸出規制にしても、日本としては、議長国だったG20が無事終わるのを待って、ようやく下ろしたのが3品目輸出優遇除外の鉄槌なのです。しかし韓国にはそうは見えない。

 G20が終わった翌日、電撃的な第3回米朝会談で和平の機運が一気に高まった翌日、まるですべてをぶち壊すように背後から突いた卑怯な一手が、日本の輸出優遇除外だったのです。だから怒る。


【情報の穴を埋める】

 私たちはマスメディアを通して現状を知るしか方法がありません。しかしそのメディアが、バランスの良い、先を見越した報道をしないとしたら――その空白は私たちが埋めるしかありません。
 もちろん直接取材という訳にはいきませんから、手持ちの情報を使うだけです。

 ジグソーパズルの欠けたピースを類推するように、現在手元にあるピースをよく吟味し、空白にあるはずのものを思い浮かべ、あるいはそこにあってはならないもののきちんと計算に入れて、全体像をつかむのです。

 日韓葛藤をどう解決するかは、東アジアの未来を全く違ったものにしてしまうかもしれません。
 その未来を担う子どもたちのために、私たちのできることが何なのかも、見越しておかなくてはならないでしょう。


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2019/7/23

「令和3か月」〜今月の拾遺 2  政治・社会


 令和になって3カ月が過ぎようとしている
 何が変わったのか?
 ちょっと見には分からないが 
 確実に変わったものはあるはずだ

というお話。
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(「美しい紅富士」phtoAC より )

【雅子妃が輝いて】
 誰の目にも明らかなことですが、病気療養中の雅子妃の表情に、輝きが戻ってきました。
 
 フランスのマクロン大統領夫妻が来ればフランス語で直に話し、トランプ大統領が来れば夫人に寄り添って頬を合わせる――報道によればフランス人などとは違って、普通のアメリカ人は親しい間柄でもチークキスをすることが少ないそうです。雅子妃は、メラニア夫人がスベロニア出身だということを覚えていて敢えてそうされたのだと、その英明さをたたえる記事がありました。
 
 もともと緒方貞子(元)難民高等弁務官に憧れて外務省に入った人です。官庁ではなく皇室という場で外交を行おうとしていた人に、ようやく活躍の場が与えられたわけですから、否が応にも輝きは増します。

 ただし最近は少々お疲れ気味とかで、公務を休まれることもあるみたいです。お体と相談の上、これからもご活躍いただければと思います。

 皇后としての仕事は皇室外交に限りません。それ以外にとんでもなく多くの公務を抱えておられます。しかも前任者はあの美智子妃なのです。ただ事ではありません。

 美智子妃は三人のお子さんを手元で育てられ、長く日本の「理想の家庭」であり続けた、それだけでも大変なことです。被災地の避難所で、被災者にサッと近づいてひざを折り、人々の手を取る姿――、それを見て平成天皇も自ら膝をついて人々に話しかける、その姿は歴史に残るものです。

 そんな優れた皇后が今までいただろうか。
――そう考えたら、光明皇后(藤原不比等娘・聖武天皇妃 701〜760)まで遡らなくてはならないに気づきました。昭憲皇后(明治天皇妃)や貞明皇后(大正天皇妃)を上げる人もいるかもしれませんが、一般的には光明皇后でしょう。美智子妃はそのくらい稀有な存在なのです。

 その跡を襲う雅子妃、本当に大変ですが、私たちみんなで支えていくべきです。元々は私たちと同じ一般人の出なのですから。


【抜き差しならない日韓関係】
 令和が始まって1週間目の5月7日、私はブログで「日本人は戦争の責任を引き継がない」だろうと書きました。
2019/5/7 「日本人は戦争の責任を引き継がない」〜令和はこうなる1

 その一か月前にも、こんなふうに書いています。
 「令和」の世になれば「昭和」はふた昔前の時代となります。前代の罪は引き継いでもいいが2代前までは背負いきれない――そんなふうに人々が思い始めるのも自然の成り行きでしょう。
2019/4/5「元号が変わると世界が変わる」〜新元号が発表されたことに寄せて 2

 同じ時期、韓国朝鮮日報がこんなふうに書いていました。
 令和時代は新天皇の個人的な立場とは関係なく、日本が第二次世界大戦のあらゆる負担から脱して今後歩んでいく初の時期として記録される可能性が高い。
(2019/04/29戦争に負い目ない新天皇即位、世界指導国への飛躍を夢見る日本)リンク切れ

 令和になれば日韓関係は根本から変わるという予感は、多くの人々の心にあったわけです。
 その予感通り、今月初めの輸出規制強化は日韓を抜き差しならないところまで連れて行ってしまいそうです。


【日本は『いい子』でいることをやめた】
 韓国日報日本語版はつい最近まで、今回の問題を「輸出規制」あるいは「輸出制限」と言わず、「輸出優遇除外」と表現していました。実に的確で冷静な言い方です。

 日韓双方すべてのマスコミで真似すればいいのにと思っているうちにいつの間にか消えてしまいましたが、語が表現する通り、本来はそんなに大した問題ではありません。
 ホワイト国の指定を外したところで、手続きに手間取る最初の数カ月を過ぎれば、大過なく輸出入は進むはずです。それを韓国大統領府と左翼マスメディが煽ってしまった。

 文政権は直接対決を避けて――というより直接提示できるものが何もないので――素材の国産化・輸入先の多角化といった方向を示すとともに、強く国際社会に訴えることにしました。声高に日本を非難する道を選んだのです。そのやり方を、背後から国民が不買運動と支持率で支えます。

 昔はそれでうまく行きました。韓国が怒れば、日本国内の誰かがそっと政府の袖を引っ張ってくれたからです。
「昔、迷惑をかけたんだから、それくらい聞いてやりなさいよ」
 
 しかし今は難しい。
 令和ですから。

 日本人の気持ちはすっかり変わってしまいました。
 フジテレビの論説委員である平井文夫さんの言葉を借りれば、
「日本だけが優等生でいることを安倍さんはやめた。(中略)『いい子』でいることをやめた」
のですから。
2019.07.20韓国ハンギョレ「日本の右翼解説委員『文在寅のクビを切るしかない』と暴言」)


【大統領は、正義のために、国家と抱きつき心中してしまうかもしれない】
 しかし文在寅大統領も信念の人です。自らの主張を変えることは絶対ないでしょう。日本も追加の対応を取らざるを得ない。

 私は韓国のことをずっと心配してきました。
2019/1/16「韓国は腹を決めたのかもしれない」〜日本と韓国@ 以下。

 古代ギリシャではソクラテスが「悪法も法なり」と言って毒杯をあおり、日本でも終戦直後「政府の配給したもの以外は口にしない」と言って餓死した裁判官がいました。

 いやその前に、昭和16年9月6日の午前会議で、開戦を躊躇う近衛文麿首相に対して、陸軍大臣の東条英機は「人間たまには清水の舞台から飛び降りることも必要だ」と詰め寄り、3ヶ月後、自らが首班に指名されると日本を抱いたまま本当に“清水の舞台”から飛び降りてしまいました。
 人はときに、正義のために何でも捨てることができるのです。

 もしかしたら文大統領は、本気で正義のために、国家と抱きつき心中をしてしまうのではないかと恐れるのは、そのためです。


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