2016/6/28

「ポピュリストたちの宴」b〜日本の甘い罠  政治・社会


 なにもポピュリストは英米の専売特許ではありません。日本の政治家だってできもしない甘い話をいくらでもします。現在の自民党政権だってかなりいい加減ですがほんとうにひどかったのは2009年の民主党でした。
 自民党のばらまき政策を批判したマニュフェスト(この英語も気に入らない)のスローガン「コンクリートから人へ」は方向を変えただけのばらまき計画で、しかもそのやり方が尋常ではなかった――。
「子ども手当の創設」「高校授業料の無償化」「高速道路無料化」「農家の戸別保障」「暫定税率の廃止」「消費税は4年間議論さえしない」・・・
 税は減らす、歳出は増やす。財源はどうするのかと問うと当時の鳩山由紀夫代表はいつもイライラした様子で答えました。
「財源はあるんです。事業仕分けと埋蔵金の掘り出しで、必ず出てきます」
 国民に何の負担もかけずにバラ色の夢を実現します――ここにポピュリストの罠があります。オレオレ詐欺だの振り込め詐欺だのといった特殊詐欺も同じで、何の努力もなしで大きな成果が手に入ると謳っているものはすべて怪しいのです。

「普天間の移設先は最低でも県外。私には腹案があります」
 前政権だって官僚だってバカではないのです。事業仕分けと埋蔵金だけで財源が確保されるようならすでに行っています。沖縄県外に適切な米軍移設地があるならすでに決めています。みんな国民に対していい顔はしたいのですから。それをあたかも、
「みんなバカだからできなかったが私たちならできる」
というドヤ顔で登場した人々が政権を取ったのですから、私たちがそのポピュリズムに乗った、少なくともその胡散臭さに気づかなかったということです。

 1960年にケネディは就任演説で「同胞であるアメリカ市民の皆さん、国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを考えようではありませんか」と迫り、2001年の第151回国会の内閣総理大臣所信表明演説で小泉純一郎は「今の痛みに耐えて明日を良くしようという『米百俵の精神』こそ、改革を進めようとする今日の我々に必要ではないでしょうか」と声高に叫びました。
 その内容が正しかったかどうかは別ですが、ふたりとも無責任な夢物語はしなかったのです。
 EU離脱には猛烈な痛みが伴う、アメリカを再び世界強国にしたいのなら血と汗を流さなければならない日本を再び日の昇る国にしたいなら相応の犠牲が必要だ――そう言わない政治家はみんな嘘つきなのです。

 さて、昨日はイギリスのEU離脱とトランプ大統領候補の話をし、今日は2009年の民主党について話しました。そして最後に私にとって一番関心のある養育と教育のポピュリズムについて話すつもりでいました。
 例えば今帰省中のシーナが1歳になったばかりのハーヴの歯磨きについて苦労していること、
 嫌がる子には無理強いをするよりも、楽しく歯磨きできるように根気強く促しましょう。お気に入りのキャラクターがはいった歯ブラシを使ったり、歯磨きが楽しくなるような動画や音楽を使ったりしてみてください。
といったネット上の甘いアドバイスを片っ端試した後で、結局押さえつけて嫌がるハーブの口を開けさせていること。

「そのままのキミでいいんだよ」という言葉が拡大解釈されて、そのままでは困るような子がそのままでいること。
 先日取り上げたダイエット器具と同じように、ほとんど苦労せずに英語が身に着いたり成績が上がったりと平気で宣伝する教材や教具が繰り返し売り出されていること。
 同様に子どもたちが小指の先ほどの努力をしなくても学力を伸ばし人間性を高める、それが学校の教師の仕事だ――煎じ詰めればそうした話をして親を煽る教育評論家がたくさんいること。
 さらに最後に、学校の持っていた教育資産・指導資産を片っぱし否定して潰し、その上で「学校は果たすべき仕事をしていない」と糾弾して喝采を浴びるふざけた“専門家”たちがいること。
 つまり総じて国民や保護者においしいことを言って学校を追い詰め、その印税や出演料や講演料で口に糊している連中が平気で世の中を闊歩している、といった話をするつもりだったのです。

 しかしEUだのアメリカ大統領選だの民主党政権だのといった派手な前置きのあとでは、あまりにもショボイ話なのでそれらはひとことも言わずに終わらせようと思います。



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