2021/5/27

「言葉が怒りをつくる。その怒りでつながる人たちがいる」〜マスメディアが生み出す”怒り“  メディア


 そのニュースがどのような社会をつくろうとしているのか
 マスメディアには慮る余裕がない。
 しかしマスコミがつくる”怒り”は、
 繰り返し増幅され、ネット上で共有されているのだ

という話。
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(写真:フォトAC)

【マスメディアは責任を取らない】
 マス・メディアの最も大切な仕事のひとつは、権力のチェックであり、弱者救済です。したがって事件や事象の始まりにおいて、反権力や弱者・被害者の側に立つのは当然ですが、状況の変化に伴って、徐々に視点を移していくことも、ほんとうはしなくてはならないことでしょう。
 しかしもワクチン接種の加速化といった当然しなくてはならないことにまで「オリンピックのためだったらやらなくてもいい」みたいな難癖をつけるマスメディアに、視点の修正などできるはずがありません。

 つい先日の情報番組では、緊急事態宣言下の酒類の提供自粛・営業時短を拒否して、深夜までアルコールを提供している居酒屋店主を登場させ、
「客の入りは300%、儲かっています。けれど(ウチはまだいい方で)給付金をもらいながらドアにカギをかけて営業している店だっていくらでもあります」
などと発言させていた局がありました。無策のために飲食店に困難な要請をしたうえ、それに従わない店を罰することもできない政府のだらしなさに、一矢報いたつもりでもいるのでしょうか?

 確かに、この発言に動かされた人々が次々と同じ堤防に穴を穿ち始めれば、政府の痛手となるのは確実です。しかしそのためにクラスターが発生し、感染抑制が十分に進まずに緊急事態宣言の解除が先延ばしになっても、マスメディアは責任をとったりしません。
 もしかしたらその先にオリンピックの中止をもくろんでいるのでしょうか? その前に過激な自粛警察が居酒屋を襲う可能性だって考えられます。ともあれいずれの場合も、視聴率に繋がるニューネタですからメディアには好都合です。

 緊急事態宣言下でも酒類を提供し、深夜まで営業する飲食業者の言い分を聞くなと言っているわけではありません。問題はそうした業者が極めて同情的な扱いを受けたことです。
「300%儲かって批判どころか同情すらされるなら、だれが政府の言うことなど聞くものか」と私は思います。
 また元教育者としての私は、こういうやり口が「政府の言うことは聞かなくてもいい」「言うことを聞く方がおかしい」といった雰囲気に繋がって行かないかと恐れるのです。

 日本は秩序ある国です。その分、個人の意思が抑制されることはありますが、ロックダウンの際中も飲んで大騒ぎをして、個人の権利を主張できる国が幸せだとはまるで思えません。



【言葉が怒りをつくる。その怒りでつながる人たちがいる】
 言葉は感情を表現するのに最も有効な手段のひとつです。言葉にすることで私たちは自分の心の姿を捕えることができます。
 例えば誰かの文章を読んで、
「ああこれだ、これこそが自分の言いたかったことだ」
と感じたとき、はじめて「自分の言いたかったこと」は形を整え、捕まえることのできるものとなります。

 しかし同時に、言葉は心をつくることもできます。試しに何年も連れ添った配偶者のことを「愛している」と言ってみればいいのです。直接いうなんてことはとてもできないという人は、誰もいないところで日に三度、「私は妻(夫)を死ぬほど愛しています」と呪文のように言い続けてみればいいのです。きっと優しい気持ちになります。

 若い人なら誰にもしゃべらず来た秘めたる思いを、口に出して誰かに告白してみればいいのです。「実は、私はあの人のことが好きだ」と。たいていの場合、気持ちは一気に昂じます。

 そして、試すことは勧めませんが、他人の些細な失敗をあげつらって「あのヤロウ、とんでもないことをしてくれた」と日に三度唱え続ければ、いつか本物の憎しみがわいてきます。
 Yahooニュースのコメント欄には、そんな言葉が満ち満ちています。それが昔と今とで違うところです。

 かつて怒りは夜の居酒屋で、少数で共有されるだけでした。それを大衆のものとするには、労働組合のような組織が一生懸命がんばらなくてはなりませんでした。
 ところが今は、中身はバラバラなのに“怒り”という感情の一点でつながることのできる人たちが、ネットの中に相当数いるのです。
 マスメディアはその人たちの怒りに、次々とエネルギーを注いでいることに気づいていないかのようにふるまっています。

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