2021/5/10

「学校へ行きたいのに、大人たちは何をしているんだ!」〜新型コロナ禍の子どもたちと学校@  教育・学校・教師


 新型コロナ禍による社会の変化や、
 全国の学校の一斉休校あるいは再登校後の感染症対策は、
 子どもたちに深刻な影響を与えている。
 そこには私たちが見逃してきた多くの事実もある。

という話。

(写真:NHK)

【チャイルドライン=顔も名前も明かせません】
 先週金曜日(7日)のNHK「所さん!大変ですよ」は「ワケあって顔も名前も明かせません」という主題で、二つのグループと一人の個人を紹介していました。
 最初の「顔も名前も明かせません」は、18歳までの子どもたちのさまざまな声を電話で受け止めるボランティアグループ、チャイルドラインのメンバーたちです。子どもとは「誰にも話さない」という約束を前提に話しているので、顔や名前が知られることとで周囲から圧力を受けることを恐れているのです。「どんな相談を受けているの?」と訊かれて、いちいち黙約だからと突っ撥ねるのも大変です。

 もちろん、そうした団体はあちこちにありますし、顔や名前を知られるのはまずいという事情もよくわかりますからさして驚きませんでしたが、今回びっくりしたのは、番組で語られた子どもたちの相談内容でした。


【新型コロナ禍における子どもたちの声】
 最初に紹介されたのは昨年4月上半期の相談件数で、前年同期と比較するとなんと1.8倍も増加したというのです。
 新型コロナのために全国の学校が休校となっていた時期です。急激に増えていた相談内容は「学校に行きたい」というものでした。
 ナレーションをそのままに引用すると、
「それまでチャイルドラインに届くのは“学校に行きたくない”という声がほとんど、”学校に行きたい“と願う子どもたちが出てくるいなど想像もしていなかったという」
 
 団体では昨年11月になって、神奈川県内の2600人の小中学生を対象に緊急アンケートを実施し、新型コロナが子どもたちに与えた影響を調べました。するとそこには子どもたちの深刻な思いがつづられていたのです。
「最初は休校で喜んだけど、ストレスが溜まって行った」
「寂しい、家で過ごし、つまらない」
「学校に行きたいな、友だちに会いたいな」


 チャイルドラインの代表はこんなふうに述懐します。
「学校が、想像以上に大切な場所であった。もちろん不登校の子どもたちにとっては辛い場所だったかもしれないけれど、一方では、仲間とのつながりを実感するとか、こころのケアだったりとか、要するに人間力を学ぶ場であった――」


【大人たちに対する不満】
 さらに子どもたちの訴えは、周りの大人たちにも向けられていきます
「たまにマスクをしていない大人を見る。なぜ? 意味が分からない」
「大人はへらへらしている人とかがいて、どうかしていると思う」
「給食を、みんなでしゃべって食べれない」
「卒業式や入学式はなくさないで」


 チャイルドラインの代表者は再び口を開きます。
「自分たちはね、マスクをずっとしている、給食は、前を向いて、グループで食べられないのに、なんで大人は夜遅くまでわいわいがやがやと食べているのだと。修学旅行に行けないだとか、卒業式ができないとか、いろんな影響を受けるのは子どもたちなんですね。
 大人が変わる――多くの大人がね、(行動を)変えていただくと、子どもが生きやすくなる気がします」



【番組が提起する大きな二つの主題】
 学校が、おとなの思っていた以上に子どもにとって大切な場所であったこと。
 そこできちんとした生活をしている子どもたちが、コロナ禍の大人の行動を見ている。

 この二つが番組の肝です。

 私たちはともすれば学校を、いじめとワイセツ教師のはびこる場所としてとらえがちです。もちろんそんなことはないと頭では分かっていても、これだけ報道されれば実体よりかなり傾斜した認識に捉われています。不登校も多いし自殺も多いと――。
 そんな傾いた認識の前に立ちはだかるのが、「学校に行きたい」「学校がないとつまらない」といった子どもたちの生の声でした。

 学校には、子どもたちにとって興味深いさまざまなものがあります。友だちがいて、先生がいて、一緒に遊んだり、絵を描いたり、歌ったり、時には調理をしたり裁縫をしたり、そして習字を習い、運動をする。
 遊び、描画、歌唱。調理や裁縫、習字と運動――これらはしばしば高齢者のデイケアでも見られる基本的な活動です。学校の学びは学習であると同時に癒しでもあるのです。一部うまく行かない部分はあるにしても、学校は今も「子どもたちが生きたがる場」としての機能を失っていません。

 しかし一年以上も続くコロナ禍のもと、本来は楽しかるべき学校で子どもたちは異常に緊張した、生真面目な生活を強いられています。特に義務教育学校(小中学校)は社会の基本を学ぶところですから、市民に期待される感染症対策が実に忠実に守られているのです。
 そんな場所から見ると、大人たちの日々のいかにいい加減なことか!
 私たちは大人の自堕落な生活を、子どもたちにどう説明できるのか――番組はここから大きな問題を提起していくことになります。
――はずでした。

 ところが実際には、とんでもない方向に進んでしまうのです。

(この稿、続く)

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