2020/11/25

「新型コロナと石けんカス、一度ついたら剥がせない」〜感染拡大第三波の憂いと覚悟A  政治・社会・文化


 あれほど心配されたアフリカ諸国のコロナ感染があまりにも少ない。
 台湾もニュージーランドも異常に少ない。
 そこには自動洗濯機の石鹸カスと同じ原理、
 「一度しっかりつくと剥がせないが無垢なままだと維持しやすい」
 がある。

という話。
クリックすると元のサイズで表示します
(写真:フォトAC)

【アフリカは踏ん張っている】
 新型コロナウイルス禍も11カ月になり、分かってきたことも少なくありません。
 そのうちののひとつは、あれほど心配されたアフリカの発展途上国では、どうやら爆発的な感染は起こりそうにないということです。
 もちろん感染拡大の心配な国がないわけではありません。南アフリカ共和国はこれまでに感染者77万人、死者2万人とアフリカでは飛び抜けて多い数を記録していますし、エジプト・リビア・チュニジア・アルジェリア・モロッコといった国々も心配です。ただしこれら地中海沿岸の国々については、感染者は6万6000人〜32万8000人、死者は1200人〜6600人と、日本のそれぞれ(13万4000人と2000人)と比べて決定的に違うというほどでもありません。世界には感染者が100万人、死者3万人を超える国がいくつもあるのです。それと比べればかなり少ないとも言えます。

 ではそれ以外のアフリカ諸国はどうかと当てずっぽうに調べてみると、死者の数はルワンダ(42人)、南スーダン(59人)、ウガンダ(144人)、中央アフリカ(63人)と、もうこれくらいなら夏風邪でも死ぬだろうといった低いレベルです。

 医療も進んでいない貧しいアフリカ諸国で、なぜこうも感染者・死者が少ないのか。この点については「弱者の経験が生きた」という説明があります(例えば2020.06.09 Africa Bushiness Partners『なぜコロナはアフリカで「意外」に広まらないのか?』)。

 アフリカ諸国はこれまで恒常的に感染症の脅威にさらされてきました。特に2014年の西アフリカ3か国(ギニア・リベリア・シエラレオネ)におけるエボラ出血熱の流行では、政府を全く信用しない一部の国民がわざと感染するような行動をとってパンデミックに発展させてしてしまった苦い経験があります。ですから今回、新型コロナに関する警告が世界中から発せられた瞬間に、ほとんど感染者のいない国までも一気にロックダウンしたりしてしまったのです。
 この時期のロックダウンには意味があったようです。感染症に弱いと分かっているから対応も早かった――。


【感染者の異常に少ない他の国々】
 そうした文脈から考えると、「北朝鮮にはコロナ感染はない」という金正恩氏の豪語も、案外ほんとうなのかもしれません。
 国際的な経済制裁下でほとんど唯一の命綱である中朝国境をあっという間に閉鎖してしまったのも、弱者の自覚があったからのことなのかもしれません。ウイルスが1個でも入ったらひとたまりもない、そう考えたとしても不思議がありません。
 国境を侵して北朝鮮に向かおうとした韓国人公務員を、海上で射殺したうえに焼却処分にしてしまうという徹底は新型コロナに対する恐怖の裏返しで、韓国人だけでなく自国民に対しても同じだと思われます。
 新型コロナ死と肥満との関連は早くから言われてきましたので、国内の肥満者(一人しかいませんが)を守ろうと必死なのでしょう。

 早すぎる国境閉鎖・ロックダウンということになるともう一つ記憶に残る国があります。ニュージーランドです。
 いま調べ直すと、ニュージーランドは2月3日の時点で外国人を対象に中国経由の入国禁止を実施し(ニュージーランド国籍を持つ人の入国は認めたが14日間の自主隔離を課した)、国内で初の感染者が発見された2月28日には対象を中国全土に拡大、さらに3月17日には自国民と永住権を持つ人以外のいっさいの外国人の入国を禁じてしまったのです。
 当時のことはよく覚えているのですが、いかに中国やヨーロッパの感染状況が大変だとはいえ、明らかな過剰反応だと思ったものでした。

 台湾でも、初めての感染者が発見された翌日の1月22日には武漢との団体旅行を禁止し、2月6日には中国全土からの入国を禁止しています。すべての外国人の入国を禁止したのは3月19日でした。

 アメリカ合衆国も中国からの入国を禁止したのは2月3日と異常に速かったのですが、裏口(ヨーロッパ経由)は開けっ放しのままでした。日本が感染の拡大する中国や韓国からの入国者に対して、指定場所での2週間の待機や公共交通機関を使わないように要請したのが3月5日、世界の主な国と地域73カ国を入国拒否対象にしたのは4月3日でした。卒業旅行などによって、特にヨーロッパを経由して大量のウイルスが持ち込まれた後のことです。

 台湾もニュージーランドも国家元首が女性の国・地域。北朝鮮も委員長の背後に金与正という女性が控えていることを考えると、女性こそコロナ防疫の鍵だったのかもしれません。


【新型コロナと石けんカス】
 今年4月7日、政府の決定により、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・大阪府・兵庫県及び福岡県の7都府県に対して5月6日までの緊急事態宣言が発せられました。9日後の4月16日には北海道・茨城県・石川県・岐阜県・愛知県及び京都府の 6 道府県が加えられます。これを「特定警戒都道府県13都道府県」と言います。

 ここで特に注目されるのが石川県です。石川県を除くすべての都道府県は人口が500万人以上の巨大県だったり首都圏・阪神圏の巨大な人口の持つ地域に属していたりするのに対し、石川県ひとりが人口115万人あまりの普通の県なのです。しかも大都市圏とはかなり離れている。

 ここが特定警戒都道府県に含められてしまったことには理由があって、初期に大型の病院内感染を起こしてしまい、それがずっと尾を引いていたからです。しかしその後も新規感染者がなかなかゼロにならない、なったとしてもいつの間にかまた出てきて増殖する、そんなことが10月末までずっと続いていました(ただし、今月になってまだ第三波の兆候は見られません)。
 このことは何を意味するのか――。

 それは「一度コロナウイルスが入って一定範囲に広がるとなかなかゼロに戻せない」という事実です。「統計上はゼロになってもどこかに必ず隠れている」と言ってもいいでしょう。

 昨日お話しした洗濯機の石鹸カスや汚れと同じで、一度びっしりついてしまうとなかなか剥がせない。それに対して新品の洗濯機やニュージーランドや台湾や、そしてアフリカの多くの国々はまったく無垢の状態なので無垢を維持しやすい、そういうことなのかもしれません。
 
(この稿、続く)

にほんブログ村
人気ブログランキング
3



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ