2020/11/5

「二つの作為とひとつの誤解」〜新型コロナのデータに見る世界の今F  政治・社会・文化


 ネット社会では必要な数値やグラフはどこからでも引っ張って来れると思いがちだがそうでもない。
 誰かによって集められまとめられた統計は、最後まで誰かのものだ。
 少しでも自分から関与すれば、おのずと分かってくることもある。
という話。
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(写真:フォトAC)

【面倒な仕事に足を取られて】
 ちょっとした思いつきで始めた仕事がけっこうな負担になっています。
 私が任意に選んだ46カ国について、新型コロナウィルス感染の感染者数と死亡者数をエクセル・ファイルに打ち込む仕事です。

 最初は中国と日本の数字だけを追っていたのですが、そのうちに韓国、そしてヨーロッパの国々とアメリカに火がついて、さらに世界から放置されたイランで爆発的な感染拡大が始まったので、それらの国々(韓・伊・西・仏・独・英・米・イラン)も一緒に追い、そうこうするうちに南アフリカだのブラジルだの、あるいはインドだのに飛び火して、しかも一方でニュージーランドや台湾などのようにビクともしない国・地域もあったりして、両方を追い始めたらそれで46各国なのです。

 そんなものどこかのサイトで見れば出てるじゃないかという考え方もあるでしょうが、そうはいきません。
 例えば2日前(11月3日)のイギリスと日本の新規感染者数をグラフに表すと次のようになります。(日経新聞からお借りしました)
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 日本も大変ですがイギリスも大変です――といった気にもなりますがそうではありません。

 画像の上の数字をみると累計の感染者数では一ケタ、前日比では二ケタも違うのです。グラフもよく見ると縦軸の目盛りが一ケタ以上違っています。
 Webのグラフではこれ以外の形を見ることができませんが、自作のエクセルファイルだとそうではありません。目盛りをそろえてみればいいのです。

 例えば縦軸の最大値を2万5000に揃えて並べると下のようになります。
 日英の新規感染者の変化は実はこうなのです。
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 以前も申し上げましたが、日本は大したことはないという意味で使われては困るグラフです。
 そうではなく、ここから感じ取るべきは現在進行形のコロナ禍について、ものごとを考える土台がまったく違っているということです。

 イギリスはこの状況で初めて2度目のロックダウン(飲食店の閉鎖や移動制限)に踏み切ったということ、そしてそれでも学校は閉鎖しなかったということ。
 もちろん、だからといって日本はとうぶん飲食店の制限をする必要はないとか、学校の閉鎖はもっともっと先だとかいった意味でもありません。イギリスはイギリス、日本は日本だというそれだけのことです。

――といったことを考えたくて、毎日データを打ち込むという面倒な作業を続けているわけです。


【二つの作為、ひとつの誤解】
 私はこうした単純作業は嫌いではありません。頑張れば頑張っただけ成果が出るという点ではむしろ好きな方です。ところがこの「国別感染者数・死亡者数」の打ち込みには厄介なところがあります。データをきちんと入れてくれない国があるのです。

 やり方は二つあって、ひとつは中国です。
 いちどきにまとめてドカッと大きい数字を入れて、あとは訂正しない場合。それをやられるとグラフはこうなります。
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 こうなると数の細かな増減は見えなくなってしまいます。1月末には世界で最もコロナ死の多かった国なのに、グラフ上は「大したことのない国」になってしまいます。
 こうしたやり方は実は中国だけでなく、チリとかペルーとかメキシコとか、つまり中南米に多いのですが、感染を小さく見せるための悪意というよりはいいかげんなのでしょう。

 もうひとつはスペインです。
 とにかく3日くらい平気でデータを出してこない。その上で4日分を一気に出してきたりします。それを放置すると中国と一緒なのですが、スペインの方はときどき思い出したように修正します。しかもどんどん遡って何カ月分も修正してくれたりします。

 5月の中旬だった思うのですが、まじめに訂正して行ったらなんと2月末まで、3カ月分の全データを書き直すことになってしまいました。腹が立って仕方ないのですが正しい値が出てきている以上は従わざるを得ません。
 しかしそれが4回5回と続いて、やがて私は諦めました。今は適当に計算をして穴を埋め、グラフが極端な形にならないようにして誤魔化しています。
 それと似たことをするのがスウェーデンです。

 スウェーデンはいつ見ても新規感染者ゼロ、新規死亡者ゼロです。未入力かもしれないと思って前日を見ても前々日を見てもゼロ続き。だからスウェーデンは感染拡大を完全に抑え込んだ、集団免疫を獲得したんだ! と思うと、いつの間にか2〜3日前のところに数字が入っているのです。

 まさかとも思うのですが、“スウェーデンは集団免疫で新型コロナを制圧した唯一の国”という誤解は、そんな単純なところから始まっているのかもしれません。
 日本はファックスで報告をしているから正確な報告ができない、諸外国はオンラインで報告するから間違うことはない――という誤解とともに、正しておきたいと思います。

(この稿、続く)


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