2020/11/2

「ヨーロッパの憂鬱・アメリカの悲劇・ブラジルの嘆き」〜新型コロナのデータに見る世界の今D   生活


 北半球では寒さが増して閉め切った生活を始めたためか、
 新型ウィルス感染が第一波をはるかに凌ぐ規模で広がっている。
 特にヨーロッパで深刻だ。
 しかし我が国も含めて、諸外国に関心を向けている余裕がない。
 こんな時こそしっかりと見ておく必要があるのに――。

という話。
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(写真:フォトAC)

【ヨーロッパの憂鬱】
 新型コロナウィルスの感染者が世界で4500万人を越え、死者も120万人に迫ろうとしています。特にここのところヨーロッパがたいへんで、第二波の感染者が天井知らずで増えています。

 例えばベルギーは、第一波で最も深刻な被害を受けた国のひとつですが、それを大きく上回る第二波感染拡大に襲われて、先週1週間の感染者は1日平均で15000人を越え、死者も1万人を超えて人口の1000人につき1人というとんでもない数字に迫っています(日本は10万人に1・4人)。

 こうした事態を受けてベルギー政府は、30日、来月A日から半ばまで学校を休校にするほか、スーパーや薬局を除くすべての店舗の営業を12月半ばまでのおよそ1か月半、停止することを決めました。
 すでに夜間や早朝の外出禁止や飲食店の原則営業停止などの措置も取られていて、デクロー首相は記者会見で「痛みを伴うものだが現実に起きていることを反映したものだ」と述べ、理解を求めました。
2020.10.31 NHK「新型コロナ ベルギー 死者が人口1000人に1人に迫る」

 ドイツの第二波も深刻で、メルケル首相は今日(11月2日)から一カ月間の全国の飲食店や劇場の閉鎖を発表しました。
 イタリア政府はすでに今月下旬まで飲食店の営業を原則として午後6時までに制限したほか、スポーツ施設や映画館なども閉鎖しています。

 スペインでも毎日新規感染者数が2万人を越えて死者も100人〜200人といった高レベルで続いており、政府はカナリア諸島を除く全土で夜間の外出禁止、および地域間の移動制限を発動しています。
 イギリスも昨日、ロンドンを含むイングランド全域の外出制限とスーパーなどを除く小売店や飲食店の原則的営業禁止を発表しました。

 これまで比較的緩やかな感染しか見られず注目もされなかった東ヨーロッパ諸国(ルーマニア・ウクライナ・ベラルーシ・ポーランド・チェコ・スロバキア・ハンガリーなど)も軒並み深刻な状況で、今後の推移を注意深く見ていく必要があります。


【自由のパリ、相互監視の東京】
 フランスでは先月30日から全国一律の外出制限が始まり、市民は生活必需品の買い物や仕事、健康上の理由などを除いて外には出られず、飲食店は配達や持ち帰りの販売しか認められないようになっています。
 その外出制限が行われる前夜(29日夜)、パリのあちこちのアパートからは最後のドンチャン騒ぎを楽しむ声が深夜まで続いたといいますから何をかいわんやです。

 理論上、というほどのものでもありませんが、全員が外出制限をきちんと守れば2週間以内に家庭内感染が終わり、もう2週間じっとしていれば新型コロナウィルスの大部分は国内からなくなってしまうはずです。それなに前回、感染が収まらなかったのは“きちんと守らない人”たちが大勢いるからでしょう。
 そう言えば10月29日の夜のニュースでは外出制限の報せを聞いたパリの女の子が、
「ウンザリしている。不心得な人がマスクをしないせいだ」
と投げつけるように言っていたのを思い出します
 フランスは世界で最も早く、革命で血を流して国民の自由を勝ち取った国です。それだけに“自由は命よりも重い”と考える人が多いのかもしれませんが、マスクをしない自由や飲食の自由、外出の自由を享受している間は、新型コロナからの自由は達成できないでしょう。

 日本では自粛警察が話題となり、国民の自発的相互監視が問題となりましたがそれも程度問題で、昨夜のように、
「今夜コスプレで渋谷に行ったらみんなから悪く言われる、写真に撮られてネットに上げられる、テレビにつかまって全国に流されたら何が起こるか分からない」
――そういった恐怖感がなければ、渋谷からあれほど鮮やかにコスプレーヤーがいなくなることもなかったでしょう。

 私は相互監視の東京と自由なパリの二者択一なら、間違いなく前者を選びます。常識的に生きていれば隣のオバさんの目など気にならないからです。


【アメリカの悲劇・ブラジルの嘆き】
 さて、新型コロナについて、感染者4500万人だの死者が120万人だの言っても、それを実感としてとらえることはなかなかできるものではありません。
 最終盤となったアメリカ大統領選でもバイデン候補は新型コロナで22万人も死なせてしまった(現在はすでに23万人超)トランプ大統領の政策のまずさを訴えていますが、22万といった数字の重さなど誰も理解できません。こうしたことこそ、グラフにして見える化を図るべきです。

 下は私が自作した10月30日時点での「世界の新型コロナ感染者数」のグラフです。
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 現在トップ3はアメリカ合衆国、インド、ブラジルということになっていますが、見ての通り三カ国は単なるトップ3ではなく、他を圧倒してのトップ3なのです。
 
 それは死亡者についても言えることで、第4位のメキシコがトップ3に肉薄している点を除けば、やはり飛び抜けて人数の多いのがこの三か国です。
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 さらに3カ国の中ではインドだけが14億5千万人という一ケタ違う人口を有していますから、その点を加味して単位人口当たりの人数で計算すると、アメリカはインドに対して感染者数で4・6倍、死亡者数で7・8倍も多いことになります。ちなみにブラジルに対しては感染者数で1.1倍、死亡者数で0.9倍とほぼ同数ですから、合衆国とブラジル――大統領名で言えばトランプとボルソナロが感染症対策でいかに大きな失敗をしてしまったのか、自ずと分かろうというものです。
 トランプ大統領は自分が大統領でなかったら30万人が死んでいたろうと言いますがそれが間違いなのは明らかです。私が大統領でももっとうまくやれます。「みんな、マスクをしよう」と言うだけですむのですから。
 また、グラフを見れば感染したらすぐに病院に行って治療を受けられる国民皆保険が必要なことも一目瞭然です。

 日本では国会でも選挙でもやたら数字やグラフのパネルを出しますが、アメリカはどうしてそういうことをしないのでしょう。バイデン陣営は新型コロナの感染者と死亡者のグラフを示すだけで、有権者にかなり強烈な印象を与えることができると思うのですが――。

(この稿、続く)
*新型コロナのデータに見る世界の今@〜Cは9月9日〜





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