2020/10/15

「在宅勤務、あの妻(夫)と24時間」〜ノスタル爺の不安と郷愁A  政治・社会・文化


 新型コロナ事態が終わっても、
 可能な限り、仕事はリモートワークでという流れは変わらないだろう。
 しかしそれが向く人、向かない人、そして向きすぎて心配な人もいる。
 ある意味、在宅勤務は家庭にこそ課題がある。

という話。
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(写真:ファトAC)


【ポスト・コロナに残るもの】
 新型コロナ禍という緊急事態で、変えざるを得なかったこと、変えなくてはならないと身にしみてわかったこと、やっと変えることができたこと、さまざまにあります。
 リモートワーク、オンライン会議、印鑑をなくすこと、学校の児童生徒ひとり一台分のコンピュータを用意すること、マイナンバーを作っておくこと、やっぱり感染予防にマスクは役立つという認識、グローバリゼーションの限界、ペーパーレスの推進、キャッシュレスの推進等々。

 そのうちのいくつかは新型コロナ禍が終わるとともに元に戻り、いくつかは戻らない――と書くつもりで数え始めたのですが、こうやってみるとほとんどが元に戻らない、大きく動いて世界は変わる、という気がしてきます。

 もちろんコロナ禍だといっても魚の取り方だの農業の仕方などほとんど影響を受けなかったものもあれば、学校のように長い休業はあったものの、結局リモートワーク(学習)は緊急避難的に行われただけで、校舎や校庭をなくしてしまうほど大胆な変化は起こらない分野もあります。
 一方、富士通が社員の8割を自宅勤務に切り替えてしまったように、コロナを奇貨として大胆な改革をして元に戻さない企業もあります。

 私などは「学校は個人営業主の集合体、だからいくらでも残業や持ち帰り仕事ができる。しかし企業はチーム・ワークが原則だから、基本的には全員で残業をするかしないかの二者択一。持ち帰り仕事はない」などと教えられてきましたが、オンライン会議で段取りをつけてしまえばあとは一人でできる仕事が山ほどある――そういうことに気づいた企業が数多くあったのです。
 そうなると企業倫理として、通勤手当や単身赴任手当、引っ越しの手当てなどはまったく馬鹿らしくなります。
 したがってオンラインによる在宅勤務は、これからもどんどん進んでいくはずです。


【それでも私には向いていない】
 しかしそれでいいのかとも、ノスタル爺は考えます。
 基本的に年配者は見通しのつかない新しいことを嫌います。何十年もかけて身に着けた技能がまったく通用しない世の中を喜ぶ人はいません。したがってそういう自分自身の本能的な怖れも差し引いて考えなくてはならないのですが、20代、30代、40代のころを思いだして私にできるかというと、どうもできそうな気がしてこないのです。

 20代で独身の私には、ある意味でリモートワークは向いていました。新しい人間関係をうまく切り盛りできずいつも苦労していましたから、モニターの中でだけ、人と付き合っていればいい生活は性に合っていたはずです。恐ろしく合います。
 仕事の質にもよりますが、そこでおそらく私は誰よりもよく働きます。8時間とは言わず、10時間でも15時間でも、仕事さえもらえればいくらでも働き続けます。仕事をしている限りは、外に出ずにいられるからです。
 けれど毎日宅配で三食を済ませ一歩も外に出ない生活がいいはずはありません。20代の私にはリモートワークは合いすぎるからダメなのです。

 30代の私はまだしも、40代の私は公私ともにとても充実していました。仕事上の大部分のことに怯えることなく対処できるようになっていました。20代のころの反動みたいに人間が面白く、あちこち駆け回って問題解決にあたっているという感じで、家でじっとしているなんて真っ平でした。どこかに私を必要としてくれる人が絶対いてくれるはずだと単純に思えた時期、リモート・ワークで縛られるなんてまったくかないません。

 50代は若い同僚を見守る時期です。目の隅でなんとなく追って行って、助けたり口出ししたり、相談に乗ってやったりするのが中心の仕事となります。オンラインでそれが可能かどうかわかりませんが、いま突然やるとなったら同僚の小さな信号を見落としそうでほんとうに不安です。
 リモートワークはおそらく私には向いていません。しかしもちろん一般化できることでもありません。

 ところで、ここまでは社会人としてのリモートワークについて考えましたが、家庭人としてはどうでしょう。


【リモート・ワークはむしろ家庭に問題】
 ずっと共稼ぎで家事も半分以上やってきましたから、夫婦共稼ぎのリモートワークでもその点ではうまくやって行けるでしょう。しかし同じ妻(と言うのも変ですが)と24時間一緒にいる生活を延々と続けていけるのか――、それは疑問です。

 もちろん農家を始め個人商店や町工場には24時間夫婦がいくらでもいますから、初めからやっていればどうということはないと思うのですが、今からだとどうでしょう。私の妻などは、
「タンスにゴン! 亭主、元気で留守がいい」
などと20年も前のギャグを平気で口にする人です。その人と生活をすり合わせて、お互いにやっていけるのか――。

 これからはサラリーマンと結婚するにしても、勤務形態を確認してからでないとさまざまに目算が狂う時代なのかもしれません。家を購入するにしても子ども部屋と同時に、夫や妻の仕事部屋も確保しておかなければならない。子どもにも気を遣わせることになります。

 そうした意味で、リモート・ワークはむしろ家庭を整えることの方がよほど大変な問題なのかもしれません。

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