2020/9/23

「海王星の日」〜惑星とセーラームーンと陰陽師の話  歴史・歳時・記念日


 今日は「海王星の日」。この星の発見された記念日だ。
 ところで、水星・金星・火星・木星・土星はいいが、
 次が天王星でそのまた次が海王星というのは何なのだ?
 この話に、セーラームーンと陰陽師はどうからんでくるのか。

という話。
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(写真:フォトAC

【海王星の日】
 今日は「海王星の日」、ドイツの天文学者ガレが海王星を発見した日です (1846年)。

 海王星はそれまでと違って実際にみつかる前に数学的に予言された惑星でした。フランスの天文学者ブヴァールが、天王星の予期しない軌道変化から未知の惑星の存在を予言し、ルヴェリエという学者がその惑星の位置を予測して、実際にガレが発見した、という順になります。

 海王星の直径は地球の12倍ほど。単純な計算だと体積はその3乗の1728倍、だから質量も1728倍ということになりそうですが実際には17倍にしかありません。ガス惑星だからです。しかしそれでも太陽系の中では3番目という重い惑星になります(木星・土星・海王星の順)。

 海王星という名はこの星がまずヨーロッパで「ネプチューン」と名付けられたところからきています。
 ネプチューンはローマ神話では「ネプトゥーヌス」、ギリシャ神話では「ポセイドン」と呼ばれる海を支配する神です。そこから「海王星」という名前が選ばれたのです。海王星のひとつ手前の惑星が天空の神「ウラヌス」であることから「天王星」と呼ぶのに倣った形になります。


【西洋天文学とセーラームーン】
 ところで地球を除く太陽系の惑星は、天王星の前までは水星・金星・火星・木星・土星なのに、なぜその先は神様の名前なのか――。私たちにはずいぶん妙な感じがしますが、欧米人にとっては何の違和感もないことです。

 私たちが水星・金星と呼ぶ内側の惑星について、欧米人は古くから神様の名前を付けていたからです。主神ジュピター(ゼウス)の家族の名で、太陽に近い方から、マーキュリー(水星)、ビーナス(金星)、昔は惑星と考えていなかった地球を飛ばして、マーズ(火星)、ジュピター(木星)、サターン(土星)となります。

 このあたりのことはおそらく現在30歳代くらいの、特に女性に詳しい人が多いかもしれません。二十数年前に大ヒットした「美少女戦士セーラームーン」に出てくる戦士は、皆この名でしたから。
 ご丁寧に、例えば戦士セーラーマーズの本名は火野レイ、使う技は炎を操る「バーニング・マンダラー」と、しっかり「火星」が浮かぶようになっていました。

 私は、当時まだ保育園児だった娘のシーナの影響で「セーラームーン」に接していたのですが、特にこころ魅かれたのは一人だけ飛び抜けて大人びていたセーラー・プルート(冥王せつな)でした。必殺技はデッド・スクリーム。しかしプルートは第2部であっけなく死んでしまいます。

 このことはけっこう暗示的で、セーラームーンが大ヒットしていた1990年代には太陽系の第9惑星として輝かしい地位を保っていた冥王星は、2006年、惑星の定義の見直しとともに“準惑星”という分類に下げられてしまったのです。

 冥王星の発見者はアメリカ人のトンボーで(1930年)、天文学の新興国アメリカで発見された最初の惑星として熱狂的に迎えられました。ディズニーも新キャラクターの犬にその名をつけたほどです。それが100年も持たずに消えてしまうとは、まさに「(冥王)せつな」的なできごとでした。


【東洋天文学と陰陽師・惑いの星】
 ヨーロッパの天文学はメソポタミアに起源を持ち、ギリシャ、ローマと経て欧米に広がりましたから惑星以外の星々はほとんどがアラビア語かラテン語(一部、新しく発見された星は他の言語)です。しかし中国・朝鮮半島・日本などは中国占星術に起源をもつ天文学から始まっていますから、基本的な考え方がまったく違っていました。中国占星術における基本的考え方というのは陰陽五行(おんみょうごぎょう)のことです。

 陰陽師があつかう陰陽道ではすべての存在は「木火土金水(もっかどごんすい)」の五つの要素から成り立っており、それが陰と陽、二つのまったく異なる様相をみせることから世界が動いていると考えます。

 空を見上げると奇しくも不思議な動きをする7つの天体があります。太陽と月と五つの星、それ以外のすべては、全部、規則正しく動きます。

 例えば夜8時と決めて毎晩天体観測をすると、満天の星のすべてが一斉に、角度にして約1度ずつずれながら、西の方に移動しているが分かります。全部一斉ですから星座の形が崩れることもありません。
 さらにそのまま西へ西へと移動しているわけですから、特定の星座はいつか見えなくなってしまいます。冬の代表的星座であるオリオン座は春には西の山の端に消えて夏の間じゅう姿を見せません。代わりにのぼってくる夏の星座さそり座も秋になると西山に消え、再びオリオン座が上ってきます。つまり1年かけて元の状態に戻るわけです。

 この寸分狂いのない星の運行の中にあって、五つの星だけが自由気ままに動き回っています。中国占星術ではこれを根本的要素の「木火土金水」に当てはめて、「木星・火星・土星・金星・水星」と呼ぶようにしました。これらの星は星座の間をフラフラとさまよっているわけですから、まとめて「惑う星=惑星」と呼ばれました。
 おもしろいことに英語で惑星を表すPlanetsも、語源は「さまよい人」「さすらい人」です。

「水星・金星・火星・木星・土星」――肉眼で見える惑星は五つしかありませんでしたから、昔はそれでよかったのです。
 ところが1781年にイギリス人のハーシェルが7番目の惑星を発見し、その情報が中国に伝わると、陰陽を扱う人や天文学者は困ってしまいました。陰陽道で使える概念は使い果たしてしまったからです。そこでしかたなくウラヌスを「天を司る神=天王→天王星」として受け入れました。あとは申し上げた通りです。


【太陽系の姿】
 現在、太陽系と呼ばれる惑星群は、8個の惑星と5個の準惑星、それらを公転する衛星、そして多数の太陽系小天体などからなっています。
 数として分かっているのは衛星が630個、小惑星は99万933個。小惑星の中には「はやぶさ」や「はやぶさ2」が行ったイトカワやリュウグウも入ります。他に彗星が4188個。
 海王星はそのひとつにすぎません。

 太陽系だけでも、まだまだ未知の部分は大きいのです。


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