2020/9/18

「働いていないことの消耗」〜三浦春馬さんの死とコロナ禍  人生


 テレビで、三浦春馬さんの最後のドラマを見た。
 これほどの人がなぜ死を選ばなくてはならなかったのか、
 若い人にはそもそも生きる力が備わっているはずなのに――。
 そこで想われるのが新型コロナ事態である。
という話。
クリックすると元のサイズで表示します
(写真:フォトAC

【三浦春馬さんがテレビドラマに出ている】
 今週火曜日夜10時からTBSでドラマ「おカネの切れ目が恋の始まり」がスタートしました。主演の三浦春馬さんの急逝のため、4話完結だそうです。

 番組のことは知っていたのですが、ドラマを見ながら“陽気で明るい役柄を演じながら、この時期、この人は何を考えていたのだろう”、そんなことを考えるのも気が重いので、火曜日は別番組にチャンネルを合わせていたのですが、翌日の夕食後、妻が何のためらいもなく自動録画してあった「おカネの切れ目が〜」のボタンを押してしまい、あえてやめてもらうほどのこともないので、仕事をしながら見るともなく最後まで見てしまいました。
 一生懸命やってはいましたが、この人に破天荒に生きる明るい役は、やはり似合わないと思いました。

 家族関係にうまくいかない面もあったようですが、容姿に恵まれ、機会にも恵まれ、いろいろな人々(芸能やファッションばかりでなく、あらゆる世界で一流の仕事をしている人々)にも会える豊かな生活を棄てて、なぜ死んでしまったのか――。

 私のように齢も60歳を過ぎると、あらゆることが大したことでなくなって、昨日のブログではありませんが、思いつめる能力も衰えてつまらぬことばかり考えているうちに日は過ぎてしまいますが、若い人はもっと生臭い世界にいるはずです。

 人間には本来、芯に強い動物性があって強烈な生存欲求で鎖につけられていますから、「死」にそれを上回るほどの力がないと、なかなか死ねないはずです。
 もちろん老人にも自殺する人はいますが、あれは死に吸引力があるというよりは生に執着力がなさ過ぎて、ひょいっと隣の線路に横跳びに外れて、黄泉の世界へ歩いて行ってしまうようなものです。若い人とは違います。

 三浦さんも、そしてつい最近亡くなった芦名星さんという女優さんも、どうやって本来の生きる力を乗り越えてしまったのか――。


【働け、働け、働け】
 悩みを抱える人への最終的な私のアドバイスは、ビスマルクの言った「働け、働け、働け」です。最初からそう言うと抵抗があるのでさまざまな言い方で遠くから攻めますが、行きつくところはそこです。

 この言葉、調べると正しくは「青年にすすめたいことは、ただ三語につきる。すなわち働け、もっと働け、あくまで働け」だそうで、それがどんな文脈で語られたのか知らないので誤解しているかもしれませんが、私にとって「働け、働け、働け」は「原始人のように狩りに行け! 木の実を拾え、食え」です。

「朝、起きて日の出の太陽を浴びよ! 山を下る風に体を晒せ!」
「雨の日は雨に打たれ 雪の日は頬を氷に切らせよ!」
 そんな感じでもあります。
 要するに問題本体を解決するのではなく、身体の中に眠る動物性を自然の力で呼び覚まそうというのです。

 死ぬほど思いつめた問題は解決できない問題です。なぜなら、逆説的ですが、限界まで追い詰めたのにまだ解決していないからです。それ以上考えても答えは絶対に出て来ません。だとしたら当分のあいだ、棚上げにするしかない、忘れたふりをして、ほんとうに忘れてしまうまで時を過ごすしかありません。
 ところがそんなふうに言うと、かならず返ってくるのが、
 棚上げにできるくらいなら、最初から苦しむこともない
という答えです。それも道理です。
 そこで提唱するのが
「働け、働け、働け、太陽の光を浴びよ」
です。


【働いていないことの消耗】
 太陽の光や風や雨や雪、そして働くことは、人間の本来の生命力を呼び覚ますことです。ライオンやシマウマやマンドリルがひたすら”生きるために生きている“ように、人間も本来はそのようにして生きてきました。原始人に限らず、現代人だって多くは生きる意味とか生きる目的とかをまったく考えず、日々を過ごしています。
 ではなぜ三浦さんや芦名さんは生きる力を失ってしまったのでしょう。

 警察庁によると先月(8月)の全国の自殺者は1849人で昨年同期より15・3%も増えてしまったそうです(2020.09.10NHK「8月の自殺者 大幅増加で1800人超 コロナ影響か分析へ」)。ところが遡って4月・5月は例年よりそれぞれ19・8%、19・0%も少なかったのです(2020.07.06 47NEWS「コロナ禍で自殺者が約2割減った理由 『絶望死』を増やさないために社会は何をすべきか」)。

 8月になって失業者がさらに増えその影響が出てきたとみるのが一般的ですが、生活苦だけが理由ということもないでしょう。金銭問題だけなら、失業保険等、解決の道はいくらでもあります。

 問題は「働いていない」というそのこと自体なのかもしれません。
 4月・5月はまだほとんどの人が戦っていた時期です。会社や店を潰さないように戦っていた、新たな仕事を探そうと戦っていた、新たな意味を探そうと戦っていた、働いていた、それがひと段落しての8月です。

 しかし思うのですが、三浦さんや芦名さんは4月・5月の時点でもう戦っていなかったのかもしれません。もっと売れない俳優だったらアルバイトに必死だったその時期を、売れっ子の俳優さんたちはただ無為に過ごすしかなかった。それが生きる力を弱める。さらに言えばSNSで誹謗中傷されて追い込まれたプロレスラーの木村花さんも、新型コロナ事態がなければ別のことに気を奪われていたのかもしれません。
 そう考えると、人の運命のやるせなさを改めて思わされます。


にほんブログ村
人気ブログランキング
4



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ