2020/3/5

「新型コロナへの対応も大事だが、今ある病院の機能も守らなくてはならないと思った話」  政治・社会


 新型コロナ先進国と言っては失礼かもしれないが、
 感染対策で一歩先んじている中国・韓国から学べることは多い。
 先人の過ちの轍は踏まず、示された道をよく見て進みたい。

という話。

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(「大学病院 入り口」フォトACより)

【冷静な目は韓国にある】

 私は韓国の新聞(日本語版)にほぼ毎日目を通しているのですが、3日付の韓国中央日報に「今のコロナ対策ではダメだ=韓国」という興味深い記事がありました。

 記者はまず2014年に西アフリカで起こったエボラ出血熱の流行に触れ、死亡率40%、1年に1万7000人が亡くなったこの伝染病の、しかし、
「本当に恐ろしさは別のところにあった。エボラで亡くなった患者よりも、医療システムの崩壊で犠牲になった死亡者のほうが多かったのだ」
ということを問題にします。
「当時、医者や看護師、そして病床など、ほぼすべての医療資産がエボラに集中したため他の患者は後回しにされた。このため、前年に比べてマラリアによる死亡者だけで1万900人余りも増えた。アフリカではマラリアだけでなく、はしかや肺炎、下痢病、栄養失調および出産などで亡くなるケースが多い。このことを考慮すると、医療システムの崩壊に伴う犠牲者はエボラ死亡者の数倍に達するというのが専門家の分析だ」

 そのうえで一般論として、
「昔から感染病が広がれば対策は大きく2つだった」「1つ目は封鎖・隔離」「2つ目は感染病の流行を既成事実として受け止めた後、重症者だけを治療するやり方だ」
と言います。
 さらに自国の現状に触れて、
「韓国はどちらか。我々は中国の凄まじい感染状況と混乱に恐れをなしたためか、最初から症状の軽重とは関係なく、とにかく感染者を捜し出して隔離した」
(中略)
「その結果、格別な症状のない軽症者は病院の食事を食い減らして重症者用陰圧病室に横になっている場合が多い。当の重症者には病床がなく自家隔離中に死んでいくということだ」
 昨日お話しした通りです。

 記者は日本やアメリカの状況にも触れて、
「米国と日本では、相当期間の高熱と乾いたせきおよび咽喉痛などがないととコロナ検査は行わない。これに対して『米国大統領選挙と日本オリンピック(五輪)開催を意識した消極的対応』という陰謀説も出ているが、それぞれ明確な論理がある。『手当たりしだいに軽症コロナ患者まで入院治療すれば医療システムが崩壊して、寸刻を争う急病患者が治療できなくなる』という主張だ」
と説明しています。

 日本国内にこうした観点からPCR検査を考えたメディアがいくつあったでしょう。ドライブスルーでもできるという韓国の圧倒的な検査能力に狼狽え、嫉妬し、とにかく一件でも多くの検査ができる体制を早く構築せよといったものばかりです。


【韓国は方針を転換する】
 韓国中央日報の記事は最後に、
「今のように新型コロナだけにオールインしていれば、このようなケガ人はもちろん、心臓まひなど急病患者さえもまともに治療受けられないまま犠牲になってしまう。今からでも大きい絵を見るようにして、新型コロナに対抗することが全社会的な犠牲を減らすことができる正しい道だ」
と結んでいます。
 そうした声は多かったようで昨日(4日)の午後には、左派系日刊紙「ハンギョレ」が次のような記事を載せているのです。
韓国政府が、新天地大邱(テグ)教会(*)ではなく高リスク群の大邱市民たちに対して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断検査を優先的に実施する方針を決めた。
(中略)
自宅で待機中の感染者が2千人を越える大邱地域は、2日から退院の基準が緩和され、これまでより病床の確保が容易になる見通しだ。翰林大学医学部のイ・ジェガプ教授(感染内科)は『軽症患者が退院すれば、施設や自宅隔離に移るため、病院はこれを通じて“病床回転率”を高めることに集中する必要がある』と指摘した」
*集団感染を起こした宗教団体
 要するに軽症者には退院してもらいベッドを空けるということです。韓国も状況に応じて、やり方を変えているのです。


【日本の官僚はしたたかだ】
 一方、日本では政府が野党やマスメディアに押され、PCR検査をより多く受けさせる方向に舵を切りました。
 そんなことをしたら“市民が病院に殺到した武漢や検査能力に圧倒的な自信のある韓国と同じ状況になるのではないか”と思ったのですが、日本の役人はやはりしたたかです。
 今週中にPCR検査が保険適用になるのだそうです。
 「適用」と言えば聞こえがいいのですが、要するに無料だったPCR検査を有料にして、民間の流れに乗せるということです。民間の検査会社も参入してくるために検査の絶対量は当然、増えます。

 ところが検査費用が1万8千円になるので3割負担だとしても5400円が個人の出費となります。3日付日本経済新聞(「新型コロナ検査、保険適用後の患者負担に公費補助 厚労相表明」)によると、
 今週に保険適用する新型コロナウイルスを検出するPCR検査について「患者負担を公費で補填する」と表明した。
とのことでその5400円もなくなるみたいですが知れたものではありません。

 全額補填かどうかも分かりませんし、“患者”負担というからには症状のない人は1万8千円を払わないと受けられないのでしょう。さらに補助申請の手間などを考えると、“とりあえず”にしろ5400円払ってまでも検査を受けようという人はグンと少なくなります。
 さらに、それでも検査依頼が殺到することを恐れたのでしょう、保健所を通さない代わりに、検査を受けられるのは今まで通り、
 外来では当面、感染の疑いのある人を診察する専門の「帰国者・接触者外来」で、医師が必要と判断した場合に限る
のだそうです。
 うまくできているものです。

 いずれにしろ現状でも日本のお医者さんがみんな暇を持て余しているわけではありません。軽症コロナ患者までが殺到して病院がパンクしないよう、みんなで心を尽くしていきたいものです。

* 今朝のNHKニュースでは、政府の全額補償のため「窓口での費用が発生しない」と言っていました。また公的機関を設置して検査の空き情報等を共有できるようにするということですが、選抜や制限はしないみたいです。
 私は間違っていたのかもしれません。
 しかしそうだとすると、殺到する検査依頼や入院を前提とする転院等をどう処理するのでしょう。
 注意深く見ていきたいと思います。




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