2020/2/3

「分裂する世界の国々」〜統合から分断へ@  政治・社会


 イギリスがついにEUを離脱した。
 後に残るのは国内の深刻な分断。
 しかし似たような状況は世界各国にある。
 それをどう考えたらよいのか――。

という話。
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(「蔦に覆われた高い壁(イタリア)」 PhotoACより)

【イギリス、EUを離脱】
 先週金曜日をもってイギリスはEUから離脱しました。
 ロンドンの一部ではお祭り騒ぎで、その様子が(日本時間で)土曜日の朝のニュースでさかんに流されていました。
 マイクを向けられた人々は、「これは独立記念日だ」と叫んでみたり、「昔に戻っただけなんだから、どうということはない」とか、「昔も単独でできたじゃないか」とか言ったりしていましたが、“昔、単独で勝負ができなくなったからEUに加盟したんじゃなかったのか?”と半可通の私は思ったりします。

 離脱といっても実際にはしばらく移行期間で、今年の末までにEUをはじめとする世界各国と自由貿易協定を結ばなくてはいけないのですが、これを機にイギリスから自国の産業を守ろうという国もあれば、イギリス国内にも関税で自分たちを守ろうとする産業もあったりしますから、話し合いが簡単に進むはずもありません。

 ジョンソン首相は「イギリスの言うことを聞かなければ合意なき離脱とおなじことにする」と脅しをかける腹積もりのようですが、そうした我がままの効くのは合衆国・中国くらいなもので、GDP世界第3位の日本だってできることではありません。ましてやイギリスをや、です。
 様子を見守りましょう。

【分断をどうするのか】
 今日お話ししたいのは、しかし経済問題ではなく、今回の事態がイギリスにもたらした二重三重の分断をどうするのか、ということです。
 足掛け4年にわたったEU離脱問題は、イギリス国内に“離脱派”と“残留派”というほぼ拮抗した二つのグループをつくってその分断を決定的なものにしました。しかしそれだけではありません。
 それは大雑把に言って保守党と労働党との決定的な亀裂であり、保守党内、労働党内の分裂であり、老人と若者、イングランドとスコットランド、田舎と都会の、それぞれの離反でもあります(いずれも前者が離脱派、後者が残留派)。
 昨年12月の総選挙も保守党(離脱派)の圧勝だったとは言え、“もうここまできたら国民投票で決められた通り一度離脱してみないと話が進まない”といったあきらめが先に立った選挙で、決して国民の多くが離脱に傾いたものではありません。

 この先、各国との貿易交渉がどうなっていくか、実際にEUから縁の切れた後のイギリス経済がどうなっていくのか、それによって国内の対立はさらに悪化していく可能性があります。簡単に片のつく話ではない。これをどうするのか。


【アメリカはどうするのか】
 国内が分断されて対立が深まる、という点ではアメリカ合衆国も同じです。
 共和党と民主党という二大政党が議会を二分する構造には変わりありませんが、かつては共和党が政権を取ればやや右より、民主党が政権の座に着けばやや左よりといった感じで、しかし根本の部分は大きく変わりはしませんでした。
 選挙も民主・共和それぞれが自らの地盤固めをした上で、どれだけ浮動票を取るのかが勝負の分かれ目でしたから、左右極端な政策を訴えるより中間の人々の声に耳を傾けるのが普通でした。

 トランプが編み出した手法はそれとは全く違います。
 アメリカ大統領選挙の投票率はおよそ50%、だからその半数、つまり有権者全体の四分の一以上の鉄板支持さえあれば大統領になれるということを、彼が改めて証明したのです。あとの四分の三には死ぬほど嫌われてもまったく問題ないと。

 トランプはどんなに極端なものであっても自分の支持者の要望に従います。それが再選への近道だからです。しかし極端な政策を進めるということは反対側にいる人々を簡単に捨て去るということでもあります。したがって合衆国の分断は進むしかない。
 現在、民主党ではサンダース候補が一歩リードしそうな雰囲気だそうですが、こちらもトランプと反対側で極端な人で、ほぼ社会主義者です。つまりトランプによって軽く切り捨てられた人々が民主党内で力を持とうとしているのです。
 これではどちらが勝ってもいい目はない。


【韓国も苦しい】
 韓国の文政権は誰の目から見ても素人っぽい。それは明らかです。
 反日反米世論を放置して政府の選択肢を狭くし、中国や北朝鮮にはすり寄って袖にされる。
 外交に成果がないばかりか、二度にわたる徳政令(国民の借金を政府が肩代わりして帳消しにする)で国民の経済観念を堕落させ、最低賃金の大幅引き上げによって大量の失業者を生み出しています。韓国経済はほとんど危険領域に入りつつあると言われていますが、それにも関わらず文大統領の支持率が40%を切ることはありません。
 そういえば前の朴槿恵政権も、本当の最終盤になるまで度重なる失政にもかかわらず支持率40%を切ることはありませんでした。

 それは結局、韓国の場合、革新派40%、保守派40%、その他20%という構造がずっと変わっていないからです。革新が政権をとっても保守がとっても、青瓦台が何をしようとも、支持率4割は容易に変化しないのです。
 「朴槿恵のやることは何でも支持する」「文在寅は常に正しい」といった無節操は、全羅道と慶尚道といった極端な地域対立や生活そのものと絡み合っていますから容易に引けません。

 誰だってこんなことをしていたらヤバイということは分かっているのですが、自分たちを犠牲にしてまでも敵に塩を贈る気にはなれないようです。
 それはそうでしょう。敵はこちらが困っているときに塩をくれるほど、ヤワな相手ではないのです。


【世界の分断】
 世界にはこうした分断が山ほどあります。
 北アイルランドにおけるカトリックとプロテスタント、旧ユーゴスラビアにおける民族浄化、ルワンダにおけるフツ族・ツチ族に代表されるアフリカ諸国内の部族対立、アラブ諸国のシーア派とスンニ派、中国の新疆ウイグル・チベット――等々。
 つまらないことで争っていると言ってはいけません。彼らは親族・家族を信じられないような残虐さで殺されているのですから。

 ここまでくると、“ああ、日本にはこうした二分法がなくてよかった”などとは言っていられません。

(この稿、続く)


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